057【漫画あれこれ】シベリア抑留記を記した『凍りの掌(こおりのて)』

雑記
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旅にでるきっかけとしては、いろいろなきっかけがあります。

普段生活している中で目に入るテレビやCM、読んだ本や人づてに聞いた話など。
そういった小さなきっかけがもとで旅に出ることは多々あります。

そんな中でも、マンガがきっかけになる旅も意外に多いんです。
自分が一番最初に出た旅もマンガがきっかけでした。(いずれblogで書きます。)

というわけで今回のは、

【今回のわきみち】
  • マンガが旅のきっかけになってもいいんじゃない。

について書いていこうと思います。

そして取り上げるマンガなのですが、
シベリア抑留を描いた『凍りの掌』というマンガです。

舞台となったロシアにはまだいくことができていませんが、自分もこのマンガをきっかけにして歴史を辿ることができれば、と考えています。


ロシアってどんな国なのか、気になって調べてまとめた記事です。

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マンガ『凍りの掌』

歴史を知る意味は?

旅に行くと、どこの国でもその国の歴史を物語る史跡であったり博物館があります。
どの国に行った時も、基本はそういったところはまわり、まず最初にその国の辿ってきた歴史を把握するようにしています。

昔のことなんて別に知らなくていいんじゃない?
と思われるかもしれませんが、歴史を知っていることと知らないことには大きな差があります。
歴史を知らなければ、知らず知らずのうちに、その国の歴史にとって失礼なことをしてしまうかもしれませんからね。

また、海外ではよく現地の人とお話をしていると、先の大戦について尋ねられることがあります。

どの国の方々も自分の国の歴史をよく知っています。
そのときにも、自分の国の歴史を自分で語れるって大切なんですよね。
お互いにしっかりとした意見をもって語り合えることで、友好が深まったりもします。

シベリア抑留

というわけでこの『凍りの掌』なのですが、シベリア抑留を扱ったものです。

このシベリア抑留、第二次世界大戦が終わった後、日本軍人捕虜がシベリアの地に連れていかれ、労働などを課されたものです。

その数は50万人以上

シベリアというとイメージで言うと大雪原ですよね。
北海道とは比較にならないほどの極寒の地です。

連行された人々のうち1割は再び日本の地を踏むことはなかったようです。

このような歴史的な事象であるにもかかわらず、あまり学校では習わないんですよね。
“シベリア抑留がありました”、と書いてあるぐらい。

だからこそ逆に、これってどういった出来事だったのだろうか?
と、疑問がわいたわけなのです。

過去いろいろと本は読んだことはありましたが、このマンガはやはりイメージが掴みやすく、どなたにも理解しやすいものになっていますね。

ナヴォイ・オペラ・バレエ劇場

少し話は逸れるのですが、下の写真はウズベキスタン(大戦当時はソ連)にある、ナヴォイ・オペラ・バレエ劇場です。

こちら実は、日本人捕虜によって仕上げが為されたものだということです。

全て日本人が作った!という話も聞いたことがあるのですが、事実としては、ほぼ完成していた劇場の、仕上げを担当したのが日本人捕虜だったのではないかと言われています。
まだまだ痕跡は残されているのですね。

022 【ウズベキスタン紀行】シャフリサブス歴史地区は、世界遺産登録でテンション上がりすぎて危機遺産
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登場人物

この『凍りの掌』の主人公は、小澤 昌一という青年の視点を中心に描かれています。
この主人公ですが、作者の父親がモデルであり、このシベリア抑留で体験したことをベースとして描き上げたものだそうです。

物語の構成

物語は、出征からソ連国内に連行されるところまでを描いた出征編
ソ連国内の収容所編での生活を描いた収容所編
別の収容所への移動から帰国までを描いた帰国編

の3部構成となっています。
しかし、次に簡単なあらすじを書いていきますが、自分は場所にフォーカスして書いていこうと考えているため、

第一章に出てきた孫呉
第二章に出てきたキヴダ
第三章に出てきたライチハ・ナホトカ

に焦点を当ててあらすじを書いていこうと思います。

あらすじ

孫呉編

昭和18年
東洋大学予科の学生であった主人公のもとに召集令状が届いたことから始まります。
兵庫で訓練を終えた主人公は博多から朝鮮半島、そして満州国の孫呉に渡ります。

孫呉での生活は、戦争末期をかなり感じさせる生活が描かれます。

軍隊内での嫌がらせ。
日ソ中立条約を無視したソ連軍の満州侵攻。
カオス状態になる満州国末期の様相など。

そして、ここで戦争が終結します。
晴れて主人公一行は帰国できるのかと思いきや、向かう先はどうやら日本ではありません。

第一章出征編はここまでとなります。

キヴダ編

次に、第二章収容所編に入ります。
ここは、アムール川を北上したところにあるキヴダ収容所の話。
第二章はここの話が全てとなります。

この収容所生活の様相が、とにかく過酷さ極まります。

ー40度もある地での過酷な労働。
寒さをしのぐこともままならない過酷な生活を送らされる日々。
ろくな食べ物も与えられない収容所生活。
極寒の地で一人また一人と亡くなっていく仲間たち。

自分たちの手で仲間たちを葬っていくうちに、主人公も生死の境をさまようこととなります。

第二章はここまでが描かれていました。

ライチハ編

辛うじて命をつなぎとめた主人公。
その後、西にある新たな収容所ライチハ(現在はライチヒンスク)の収容所に移されます。

こちらの収容所の生活は、風呂に入れたり食堂が完備されたりとキヴダに比べると幾分かマシな生活が待っていました。

しかし炭鉱場や土木作業、道路づくりなど、多種多様な労働が待っていました。
極限まで体力が落ち切った若者たちにとっては、凄惨な現場であることは変わりなかったのです。

ただし、ここに収容された日本兵は、徐々に共産主義に傾倒するようになっていく者が表れるようになっていきます。
後々の日本戦略もここには意図としてあったのかもしれませんね。

第三部ではこういった思想関連によって、内部で争い合ったりする様相が描かれます。

ナホトカ編そして帰国

主人公はその後、農場へ移され農作業生活を行い、最終的には港町のナホトカに移されます。
そして、しばらく後に日本への帰国へとなります。

しかし、復員してからも、抑留者は共産主義者とみなされ就職もままならなかったというようなことも描かれていました。

マンガが旅につながる

感想

シベリア抑留といっても、それが具体的にどのようなことが行われていたのか、実像がよくわからなった点が、このマンガを読むことで明らかになっていったように思います。

特にこのシベリア抑留とされた人々ですが、終戦後に連れていかれたため、捕虜とはみなされないということで、他国からの帰国者とは扱いが異なったりしたそうです。

また、先にも書いたように、思想的に共産主義者ではないかということで不当な扱いを受けたりと、本当に長い間、戦争によって人生を引き裂かれた人々なんだなということを感じさせられました。

旅へのつなげ方

マンガで歴史を学ぶ

ここまで読んでくると、自分の場合、この話の舞台となったところを実際に自分の目で確かめてみたい、というような思いが湧き上がってきます。
マンガが歴史を教えてくれ、動き出すためのきっかけになりえるんですよね。

舞台を巡る

このマンガで、シベリア抑留についての歴史や史実を学び、ここで出てきた具体的な場所をいずれは巡りたいと考えています。
ただし、登場したナホトカや孫呉に関してはたどり着けそうなのですが、キヴダやライチヒはガイドブックにも記載がなくハードルは高そうですね。

現地で歴史理解を深める

そして、現地に赴くことができれば、実際に残されている史跡などを本や人づてで辿っていきたいと思います。

このように旅を計画して実行することで、今のその国の在り方だけではなく、これまで辿ってきた歴史も合わせて学んでいくことができるわけですね。

あわせて、先にも述べたように、自分自身の国のことを自分の言葉でかたることができるということはとても大切だと思います。
そうすることで、より現地の方々からも本音に迫った話を聞くことができるものです。

旅ってこういった角度から膨らませていくのもありだと思いますよ。