世界に数多くあるユネスコ世界遺産。
その登録数は年々増えていっていますね。
各国それぞれに世界遺産に登録をしようと努力をしているのですが、それだけにその国の歴史の歩みを存分に感じさせるのが世界遺産なのです。
この世界遺産を求めて旅をする。いいものですよね。
そんな世界遺産なのですが、気軽に訪れることができるものもあれば、なかなかに過酷さを感じる世界遺産もあるのです。
というわけで、今回のわきみちは、
自分が経験した中で、過酷さを感じた世界遺産を5つピックアップし、紹介していきます。
世界遺産とは
世界遺産とは、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の総会で1972年に採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」に基づいて世界遺産リストに登録された、文化財、景観、自然などのことです。
世界遺産登録することによって、国際的に文化財・自然保護を進めていこうとするものです。
2015年には登録物件が1000件を超え、その数は年々増え続けています。
登録の前提としては「顕著な普遍的価値」を有する文化遺産や自然遺産ということが前提となっており、それが失われたと判断された場合は、登録リストから抹消されることもありえます。
それでは、今回ピックアップした5つの世界遺産について紹介していきたいと思います。
プレアヴィヒア寺院(カンボジア)

どこにあるの
どんな世界遺産

カンボジアといえばアンコールワットですよね。
しかし、現在カンボジアには3つの世界遺産が登録されており、そのうちの1つが今回書いているプレアヴィヒア寺院です。
プレアヴィヒアは2008年に世界遺産登録されました。
プレアヴィヒア寺院はシェムリアップから車で約3時間半~4時間ほど北東に進んだ場所にあります。 カンボジアの北部、タイとの国境付近にあります。
カンボジアとタイの国境にまたがるダンレック山地の山頂にある天空の寺院です。
そこから見る景観はすばらしいですよ。

何が過酷?

シェムリアップか3時間半~4時間車でふもとまで走り、麓から4WDに乗り換えて山頂を目指します。
数十分間車に揺られると山頂駐車場に到着し、そこからは徒歩で1kmほど登っていきます。
ようやくプレアヴィヒア寺院に到着すると、広大な寺院が目の前に広がります。
寺院の奥にある岩を登ってみると、上の写真のような景色が広がります。
ただ、ここまでくる時間と手段を考えると、カンボジアの世界遺産の中では最も辿り着くまでが過酷な世界遺産ですね。
主にここに向かうのは日本人が多いらしく、ツアーもたくさん見つかりますよ。
このプレアヴィヒアですが、2013年に正式にカンボジア領と決まるまで、タイと帰属権についてかなりもめた場所なのです。
そのため現在でも兵士が常駐していたり、弾痕があったりと、生々しいところでもあります。
しかし、今は正式にカンボジア領となったので、安心して観光はできます。
ナスカの地上絵(ペルー)

どこにあるの
どんな世界遺産

ナスカの地上絵とは、ペルーのナスカにある乾燥した高原に描かれた巨大な動植物の絵や幾何学的な模様のことです。
1994年に世界遺産登録されました。
あまりにも巨大な絵であるため、上空からからでないと絵の全体像を見ることができないほどです。
現在でも次々に新しい地上絵が発見されているようで、最近では2019年に100点以上も新しい地上絵が発見されたそうです。

何が過酷?

ナスカの地上絵ですが、地上からの進入は難しいため、基本的にはセスナを使って見ることなります。
このセスナがかなりくせ者です。
地上絵の付近に行くと、強烈に左右に機体を傾けたり、上昇下降をしたりして様々な角度から地上絵が見えるようにはしてくれるのですが、その運転によって酔ってしまうのです。
もともと、上空からも地上絵を見つけるのは結構難しいことに加え、
激しい嘔吐感で地上を眺めることもできなくなり、機体からカメラだけを機体外に出して撮影し、あとで写真の中から絵を見つけるという情けない作業を行いました。
もう少し安心して乗れる運転をしてくれなかったものか…
なお、自分が行った数か月後、ナスカでセスナの墜落事故が起こっています。。。
シーギリヤ・ロック(スリランカ)

どこにあるの
どんな世界遺産

シーギリヤロックは、スリランカのほぼ中央の古都シーギリヤにある遺跡です。
1982年に世界遺産に登録されました。
マグマが硬化して出来た岩頸で、高さは約200mの全方位が切り立った崖になっています。
岩上にある王宮跡と、岩山の中腹にあるフレスコ画『シーギリヤ・レディ』が有名です。
さらに詳しくは、以下の記事にて登頂記録を紹介しています。

何が過酷?

シーギリヤ・ロックで過酷なことは、とにかく岩上までの道のりです。
ずっと続く狭い道。
最後のライオンロックから岩上までの切り立った崖を登る階段。
時折発生するスズメバチの脅威。
など、体力的にかなり過酷な世界遺産の一つですね。
レンゴン渓谷の考古遺産(マレーシア)

どこにあるの
どんな世界遺産

レンゴン渓谷の考古学遺跡とは、マレーシアで4番目に2012年に登録された世界遺産です。
レンゴン渓谷で発見された約200万年前の旧石器時代の遺跡群で、旧石器時代の遺跡としてはアフリカ以外では最古の遺跡のひとつです。
クアラルンプールから4時間ほど、ペナンからは2時間ほどで行くことができるのですが、とにかくアクセスが不便なところです。

何が過酷?

ここの過酷さは、アクセスの悪さということもあるのですが、別の点があるのです。
それは、マレーシアの人が全然知らないのです。
そのため、ここに向かうときも、どう説明しても伝わらず、到着するまでとてつもなく時間がかかってしまいまいした。
自分たちの世界遺産に対する思いと、マレーシアの方々の思いには違いがあるのだなと感じさせられました。
当時は世界遺産登録直後だったということもあるのですが、現在は少しは状況が改善されているのでしょうか。
パシュパティナート(ネパール)

どこにあるの
どんな世界遺産

パシュパティナートとはカトマンズにあるネパール最大のヒンドゥー教寺院です。
1979年に世界遺産登録された『カトマンズ盆地』の構成要素の一つです。
寺院としてももちろんなのですが、このパシュパティナートが有名なのは、それ以外にあります。
実はここは火葬場なのです。
ガンジス川につながるバグマティ川沿いに火葬場があり、そこで常に亡くなった方々が荼毘に付されています。
焼いた後のは灰はそのまま川に流されます。
ここで火葬されることがヒンドゥーを信じる方々にとっては最も理想的な死の形なのだそうです。
バグマティ川に架かる橋の上からは、火葬の様子を見ることができるスポットになっています。

何が過酷?

こちらで過酷なことは、やはり火葬場であるということです。
目の前には、実際に亡くなった方の遺体が焼かれていく光景が広がっています。
日本で生まれ育ったものとしては、かなり衝撃的な光景であり、精神的に過酷な場ではあることでしょう。
しかし、現地の火葬を行っている方々や、家族の方々の様子を見ていると、あまりにも普段通りにふるまっていて、『死』、そして火葬することでさえ、日常の中の一つの光景であるかのように見えます。
そういった意味では、不思議な体験ができる世界遺産ではあります。
今回は、いろいろな意味で過酷、という切り口で世界遺産を紹介してみました。
紹介したそれぞれの世界遺産については、おいおい個々に紹介する記事も書いていきたいと考えています。
次回は、別の切り口から世界遺産をピックアップして紹介してみたいと思います。
世界遺産を学ぶには世界遺産検定がうってつけです。
2級・3級の合格記についてはこちらです。
