090【滋賀紀行】史上最も過酷だった山城『鎌刃城』で山城の真髄を見た

百名城/続・百名城(Castle)
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今回は滋賀県、琵琶湖の東に位置する戦国期の山城『鎌刃城』について書いていこうと思います。

日本百名城・続日本百名城巡りを続けていくと、日本国内にいかに多くの山城が存在したのかを実感させられます。

そして、数多くの山城を見ていくうちに、どんどん個性豊かな山城を求めていくようになるのですね。

今回紹介する鎌刃城は山城は山城でも、本格的に戦国期に存在した往年の時代を感じさせる、King of 山城なのではないでしょうか。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 入り口すら発見困難!?THE山城を体感できる、大自然のロッククライミング城

日本百名城・続日本百名城の記事です。
また、滋賀県の記事です。

1078【滋賀紀行】歴史を大きく動かした三姉妹。その三姉妹にまつわる、関ヶ原から賤ヶ岳を結ぶ街道にある『道の駅 浅井三姉妹の郷』
滋賀県の長浜市。浅井家と縁の深い土地であり、数々の史跡や資料館などがある観光名所なのです。そして現在の滋賀県の長浜市にある道の駅が、『道の駅 浅井三姉妹の郷』なのです。どストライクにこの地域に縁ある三姉妹をその名称にもってきた道の駅。実際この道の駅を訪れると、浅井三姉妹の像が訪れた人々を迎えてくれます。
1060【滋賀紀行】滋賀県の地元の食材を使った特産品があなたを待っている!『道の駅 マキノ追坂(おっさか)峠』
滋賀県は琵琶湖の北。高島市のマキノ町というところに一つの道の駅があります。この道の駅を『道の駅 マキノ追坂峠』と言います。何と読むの?となると思いますが、"マキノおっさかとうげ"と言います。
1012【滋賀紀行】中山道に残るかつての宿場町の跡『柏原宿』
今回紹介している柏原宿(かしわばらじゅく)は、滋賀県米原市にあるかつての宿場です。江戸時代の主要な街道であった中山道の60番目の宿場であったこの柏原宿は、かつての宿場の建物が数多く残り、かつての街の姿を鮮明に残し続けている場所なのです。
423【滋賀紀行】いつも観光客であふれる現存天守。そして世界遺産も視野に入れているらしい『彦根城』
琵琶湖の周囲に残る城でも際立って有名な城がこの彦根城ではないでしょうか。何しろ、現存十二天守の一つであり世界遺産も視野に入れているほどの天守が残る城なのです。天守をはじめ、城の敷地内が非常に整備されており、見応えのある城なのです。
416【滋賀紀行】それまでの城と、ここからの城との大きな転換点となった、天守そびえる織田信長の夢の跡『安土城』
これまで数々の城や城跡を見てきましたが、一つの山にこれだけの規模の城を造ったのは、やはり織田信長だけではないでしょうか。天下統一を目前にして散った織田信長。その信長が、造り上げた天下人の住まう城が安土城なのでした。
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329【滋賀紀行】名だたる武将が戦いを繰り広げる舞台、そして浅井長政悲劇の地『小谷城』
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071【ピックアップ】日本百名城・続日本百名城 こだわりのお城ピックアップ5選①
日本には数多くの城や城跡があります。どれも個性的であり、その城が存在していた年代を感じさせる作りのものがほとんどです。今回は、自分が訪問した百名城・続百名城の中で、印象深かったところを5つピックアップし、書いてみました。

鎌刃城

鎌刃城跡は滋賀県米原市番場にある戦国時代の山城跡(標高384m)です。
応仁の乱のころ(1467年~1478年)には築城されていたのではないかと言われていますが、鎌倉時代に築城されたのではないかと伝えられていたりすることもあり、築城年についてははっきりはしていないようです。

城跡の規模は県内でも有数の物であり、当城が「境目の城」であり、城跡が村から離れた山中に立地していることからも、軍事的な目的を主として築かれた城だろうということがうかがえます。

城跡の周囲は鎌刃という名前どおりけわしい急斜面となっています。
主郭は石垣によって構成され、枡形の虎口が見つかっています。

戦国時代、この地は有力な大名が群雄割拠していた地でした。
近江の地の北と南の国境に位置しており、南の六角氏と北の京極氏や浅井氏の国境にあることから、鎌刃城は国境を警備する境目の城として築城されたと考えられています。

永禄2年(1559)に城主の堀氏は浅井氏に属するようになりますが、元亀元年(1570)一族の樋口氏とともに織田信長に与したため、信長軍の最前線基地となりまが、その4年後に堀・樋口氏が突然改易(※領土や役職などを取り上げられる、侍に課される罰)され、その後まもなく廃城となったようです。

本格的な発掘調査が行われた中で、平成10年から実施された発掘調査で、枡形虎口や、御殿の礎石、3mを超える石垣などが見つかりました。

鎌刃城 アクセス

徒歩で向かう場合は、番場集落からのルートと林道を通るルートがあります。

車で行く場合は、かなり近くまで一気に向かうことができますが、駐車場は整備されていません。(2~3台辛うじて停めることができるスペースはあります。)
また、後述しますが、入り口が非常にわかりにくいので、見落とす可能性が非常に高いです。

鎌刃城 スタンプ 設置場所

Cafe&Gallery「源右衛門」
というところの前にスタンプはあります。
ほぼ閉店しているそうなのですが・・・??

鎌刃城に行ってみた

それでは鎌刃城に行ってみましょう。
なお今回は、麓から登山道ではなく、車で途中まで登るルートで行っています。

道路わきに、この小さな立札が建てられています。
車で行くと十中八九見落とします
この付近を3~4往復してしまいまいした…。

道沿い?に進んでいくのですが、道と行っても上の写真のような道です。
道なのかどうかなのかがかろうじてわかるレベルです…。

道??わからないですよね。

もはやどこが道かわかりません。
真ん中の木の横をまっすぐに通っていくのが正解ルートのようです。

少し城跡の様相が見えてきました。

北側の堀切(外敵の侵入防止ために曲輪などを開削して溝(堀)にしたもの。)に到着しました。
この城は、とにかく至る所に堀切が設けられているので、アップダウンが激しい城跡です。

ちなみにこの北側の堀切、しばらく続いた豪雨でかなり崩れてしまっていたとのことです。



主郭跡に向かいますが、北側から、曲輪の脇を通っていきました。
このルートは上り下りはほぼありません。

しばらく進むと上りになります。
ここから有名な枡形虎口に向かいます。

曲輪上に上ってきました。
このあたりが主郭部になります。

主郭部の先にある枡形虎口です。
石垣の遺構が残されています。

枡形虎口の横の石垣ですが、かなり崩れてきているためか補強が為されていました。

では、また入り口に戻ろうと思うのですが、帰りは曲輪を北に向かって突っ切ることにしました。

巨木だらけです。
長い年月を感じさせます。

このあたりはまだまっすぐ進んでいくことができます。

副郭跡です。

堀切の説明がありました。
ここから、何度も堀切のアップダウンがあります。

鎌刃の名の由来にもなっている、険しい急斜面が左右に広がります。
気を抜くと余裕で滑落します。

がっつりと登っていくと、

その先には下りが待ち受けています。

このような岩場を登り下り。
ロープは設置されているところもあるので、慎重に進んでいきます。

こんな巨大な岩の横を、ロープ一本で進んでいきます。

右側の木に張られてるロープをつたって進んでいきます。

堀切を上から眺めています。
足場に気を付けながらここを降りていきます。

そしてまた昇る。
もはや道?わかりません。

急激な登りです。

本当に両側の斜面が険しいです。

急斜面から下を眺めると…。
侵入できるかどうか以前に、味方にとってもきついですよね。

ロープを伝って降りていきます。

ここを乗り切ったら、スタート地点の、北側の堀切です。

帰ってきました。。。
かなり過酷な登山でした。

そして道に出てきます。
駐車スペースは上の写真程度しかありません。

とまあ、登城記を書いてきましたが、なんとなく伝わったかとは思いますが、かなり過酷な場所になります。
軽装だと絶対にけがをしますので、最低限の装備は必須です。
スニーカーはけっこう厳しいかも
なあ。

自分たちは遭遇しなかったのですが、ヒルもかなりいてるそうなので、服装も注意が必要です。

鎌刃城まつり

とまあ見どころたくさん(?)の鎌刃城ですが、地元の方々によって何十年もかけて調査・整備され、愛されてきた鎌刃城です。

2018年から続百名城スタンプラリーも始まり、ますます盛り上がりを見せていくことでしょう。

地元では毎年6月に鎌刃城まつりが開かれているそうです。
集まった参加者で鎌刃城を見学に行ったり、資料館で学習したり、講演会が開かれたりと、徐々に地元の名物企画として認知されだし、年々参加者も増えてきているようです。

このように自分たちで城を中心とした町おこしを行うというのもよいものですよね。
自分はまだこの鎌刃城まつりには参加したことはないですが、いずれ参加してみたいと考えています。

なお、鎌刃城に訪れたときに使ったゲストハウスです。

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