1013【ニュースあれこれ】持続可能な観光資源維持を目指して、フランス領ポリネシアが観光客数を制限することに!!?

ニュースあれこれ(News)
この記事は約5分で読めます。

広大な太平洋。
ここには巨大な大陸は存在しないものの、無数の島々が存在しています。
そういった島々には、古くにポリネシア人と呼ばれる人々が移り住んできてそれぞれの島々に定住していきました。

ところが大航海時代になると、これらそれぞれが点在していた島々にヨーロッパ人が次々と上陸していきます。
多くの島々はヨーロッパの手に落ち、植民地化されていきます。
そんな太平洋ポリネシアの国々ですが、植民地化されるだけにとどまらず、核実験が行われたりするなど、不当な扱いを受けていたことも確かなのです。

そして、現代。
その多くは独立した国々になってはいるものの、まだヨーロッパ領であり続けている島々もあります。
その中でも、ニュージーランド北東に6000kmほどのところに数多くの島々があります、
これら総数118の島々は、フランス領ポリネシアと呼ばれており、フランスとの密な関係をもって経済運営を行っています。

このフランス領ポリネシアなのですが、主要な産業が黒蝶真珠の輸出なのですが、それ以外にも観光産業の発達が目覚ましく、118の島中でも主要な島々は観光産業に依存して経済が回されているのです。

今回見つけた記事では、この観光産業に依存しているフランス領ポリネシアが観光客数を制限したという内容でした。
では、なぜフランス領ポリネシアは観光客数を制限するに至ったのでしょうか。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 観光産業が主要産業な島々が観光を制限。いったいこれらの地域でどのようなことがあったのでしょうか。

フランス領ポリネシアが観光客数を制限!?

フランス領ポリネシアは、太平洋にある全118の島々からなる地域です。
そのフランス領ポリネシアの島々には、美しい人々の手つかずの自然が広がり、毎年数多くの観光客が訪れています。
フランス領とつくだけあり、ここはフランスの領土なのです。
そのため、フランス国民はフランス領ポリネシアに訪れる際には法律によって海外からの訪問者とはみなされないことになっています。
そうなるとフランス国民がバカンスのためにこぞってやってくるのはなんとなく想像できますよね。
実際、これらの島々は観光産業によって経済運営が行われています。
しかし、観光客というのは増えれば増えるほど、自然環境を持続させていくことも難しくなっていくことは確かなのです。

そんなフランス領ポリネシアの島々では、これからも持続可能な観光産業を維持していくためにそこに上限を設定することを目指し始めました。
コロナ禍前では、年間約300000人の外国人観光客を迎え入れていたフランス領ポリネシアですが、今後5年間の中で、約280000人を上限とする案を出しています。
これは地元の住人の数と同数の外国人観光客のみを1年間で受け入れるという上限となります。
前述のようにフランス国民は海外からの訪問者とはみなされないため、この受け入れ制限の対象とはならないかもしれませんが、それについてはまだ適用されるかどうかは不明なのだそうです。

実際、観光産業が主要産業であるこれらの島々では、この施策によって雇用が減り、収入源も減ることになると想像できますが、そのことによってより環境を考えた観光が行われるようになるのではないかと考えられます。
この大胆な計画は、島々にやってくる訪問者の多様化を促し、経済成長を目指しつつも環境の保護も実現しようとしていきます。
また、住民の生活の質を高めていくことを目指しています。
訪問者の多様化を目指しているということは、世界の様々な地域からの訪問者をも奨励していくことも考えているのです。
これは、最終的にフランス領ポリネシア全体で持続可能な観光モデルへの移行をめざしているのです。

島々の経済に大きな影響を与えかねないこれらの発表ですが、世界の各地を見てみると、観光での訪問者があまりにも増えすぎたために国が規制をかける、ということはこれまでも実際にあったことです。
しかし、フランス領ポリネシアではそういった観光客過多、オーバーツーリズムが問題とはなっていません。

しかし、現実問題としてフランス領ポリネシアでは訪問者の上限を検討し始めるということには奇妙な感覚があります。
しかし、今後の長期的な視点で先んじてこのような決定をしたフランス領ポリネシアは、世界の他の国々が実施した何らかの施策の影響を受けた可能性があるのです。
観光客数の話でよく出てくる国が中央アジアのブータンです。
この国は観光が政府によってコントロールすることがどのような結果となるか例として出されます。
ブータンでは、訪問者1人に対して1日あたり200ドルの観光税が課されます。
そのため、よほどブータンに行きたいと強く願う観光者以外はなかなか気軽に訪れることができないようになっています。
しかし、そうして集められた観光税は、国内のインフラや教育、医療など地域社会の維持向上のために使われているのです。

これとは逆に、ヨーロッパの各地の人気観光地では、年々増え続ける観光客の数に対してより厳しい措置をせざるを得ないところがあります。
例えばイタリアのベネチアではこのオーバーツーリズムが深刻な問題となっています。
そのため、神流を制限するために、日帰り旅行者には課税を課すなどして厳しく取り締まるなどの施策が行われるようになっています。

いかがだったでしょうか。
日本からはるか遠くにあるフランス領ポリネシア。
太平洋に浮かぶこれらの島々が、素晴らしい自然環境をもつことは何となくイメージできることでしょう。
しかし、それらを維持管理していくことには多大な費用と労力がかかることも確かです。
大きな問題が発生する前に、将来を見越した対応を実施する。
フランス領ポリネシアの決定が今後どのような結果に結びつくのか、これが先進的なモデルとなるかもしれないのです。

French Polynesia to cap tourist numbers | CNN
The beautiful islands of French Polynesia might become more difficult to visit as the region announces a new sustainable tourism plan.