日本各地にはそれぞれの地方に古くから伝わる郷土料理がたくさんあります。
そして、古くから米が貨幣のように扱われてきた歴史のある日本。
そのため、米から作られた郷土料理がとにかくたくさんあるのです。
米から作られるものといえば、せんべいや団子、餅などでしょうか。
今回紹介しているのも、米から作られた餅の一つなのです。
しかし、餅といえばもち米から作られるのが一般的ですが、今回紹介している餅は、もち米からではなく、通常の米であるうるち米から作られているのです。
もち米とは違って通常の米飯に使われる米であるため、粘り気が少ない米であるうるち米。団子などを作る際にはうるち米を粉末状に加工したものが使われますが、餅とするのであれば圧倒的にあの餅の食感を出すには物足りない米なのかもしれません。
ところがそんなうるち米から作られる餅が今回紹介している五平餅なのです。
この五平餅ですが、主に中部地方や北陸地方などに伝わる郷土料理です。
竹串に、潰したうるち米を平たい小判のように貼り付けてそのまま素焼きしていくこの五平餅。
もち米で作られるわけではないので、まだどちらかというと米そのものの食感や味わいを感じ、どちらかというとおにぎり的な部分もあったりするのですが、そこに地域独特のタレが塗られることによって、香ばしくもっちりとした五平餅が誕生するのです。
今回はこの郷土料理の一つである五平餅を紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
五平餅
五平餅とは日本の郷土料理の一つです。
主に中部地方・北陸地方の奥三河と呼ばれる地域、長野県・富山県・愛知県・静岡県などで永らく食されてきました。
餅とは言うもののもち米から作られるのではなく、うるち米から作られるこの料理。
竹串の周りに炊いたうるち米をつぶしたものを練り付け、さらにそれにそれぞれの地域ごとのタレをつけて焼き上げる料理です。
香ばしく焼き上げられた五平餅は、うるち米を焼いた香りと、タレを焼いた香りとが食欲をそそる一品となっています。
米が基調だった時代には、祭りといったハレの行事の際に、みんなで五平餅を作って食べていたと考えられています。
美味しい五平餅を作るコツは、原材料である炊き立てのうるち米の取り扱いにあります。
しっかりとうるち米をつぶして餅のような状態にして、なるべく平たい竹串にさします。
そこにタレをしっかりと塗り、平たい小判のような楕円形を作ります。
この平たいというのが、この後の焼き上げのポイントなのです。
串に巻き付けた状態で火にかけますが、この際に清にまでしっかりと火を通すことによって、美味しい五平餅が完成するのです。
この五平餅の由来ですが、その名前は何となく想像がつくのではないかと思います。
“五平”というのが人の名前っぽいなあと思うかもしれませんが、人の名前からその名称が付いたという説があります。
かつて存在していた御幣という人物が、米の飯をつぶして焼いて食べたことが始まりではないかという説です。
また、その形から、神道の祭祀の際に使わられる御幣に似ていることから御幣餅となり、それが五平餅となったという説もあります。
その起源がいろいろと言い伝えられるように、その歴史が200~300年近くある由緒ある食べ物なのです。
先述したように、この五平餅はたれが決め手になってきます。
最も一般低なのは、醤油やみそと砂糖とで作った甘いたれがたっぷりと塗られています。
それ以外にも、醤油やみそをベースにしたたれに、ゴマや落花生、クルミやにんんいくといったものを混ぜて作られたたれもあります。
お店によっていろいろな味があって、色々食べ歩きが楽しめるのです。
そして、竹串にまきつけてあるので、歩きながら食べたりもできてしまいます。
江戸のファーストフードのような感じですね。
そんなお手軽さが今も支持を受けていて、現在でもなお中部地方ではこの五平餅がよく見られます。
道の駅やサービスエリアなどでも見られますし、スーパーマーケットなどでもよく販売されています。
また、通販などでも購入できるので、全国的に食べることができます。

いかがだったでしょうか。
美味いものはいつの時代でも美味い!!
普段食べている米をこのように少しアレンジするだけで素晴らしい郷土料理が出来上がる。
シンプルだけど万人に好まれる郷土料理を作り上げた先人たちの知恵に脱帽ですよね。
今もなお様々なアレンジが施され、アイデア五平餅が誕生し続けています。
こういったように様々なアレンジをして楽しんでいくところが、古いけれど新しい新世代五平餅につながっていくことでしょう。
そんな種類も様々な五平餅巡りの旅も面白いかもしれませんね。