1037【人物あれこれ】アニメのイメージがあまりにも強いが、実際は・・・!!?『一休』

人物あれこれ(Person)
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一休さんと聞いたら何を思い浮かべますか?
とんちの名人?
一生懸命修行に励む小坊主?
母上様に思いこがれる少年?
といったように、アニメ一休さんのイメージしかないのがほとんどではないかと思います。
しかし、実際の一休とはどのような人だったのかを知っている人はほとんどないのではないかと思います。
もちろんこの一休という人物、架空の人物ではなく実際に室町時代に実在していた人物なのですよ。

アニメの中ではとんちを駆使しながら様々な問題を解決していく一休少年が描かれています。
ところが、史実として伝わる一休という人物はなかなかに破天荒な部分もあったようで、しかも活躍が主に伝わっているのはその晩年の姿なのです。
そういった一休の子ども時代の説話をもとにしたのがアニメの一休さんなのです。
では、晩年の一休とはどのような人物だったのでしょうか。
色々調べていくとなかなかにイメージとのギャップが強い人物であることが分かってきました。

しかし、その生き方の中には、反骨精神的なものも垣間見ることができる一休。
今回はこの一休について調べてみることにしました。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • アニメのイメージで入ってしまうとその違いに愕然となってしまうかもしれない一休。いったいどのような人物だったのでしょうか。

一休(一休宗純)

一休とは正式には一休宗純といい、室町時代に臨済宗の僧として実在した人物です。
アニメ一休さんのモデルとしても有名であり、この一休の子ども時代の説話である一休咄(はなし)を基にしたのがアニメの一休さんなのです。

アニメ内でも語られていますが、その出自は天皇の血筋を引いているのではないかと伝えられています。
しかし、天皇の私生児であったことから出家させられます。
わずか6歳で安国寺の像外集鑑(ぞうがいしゅうかん)の弟子となった一休は周建という名前となり、秀でた詩人としての才能から、非常に評判の人物となります。
アニメの一休さんではこの安国寺時代を舞台にして展開されている物語となっています。

17歳になると謙翁宗為(けんおうそうい)の弟子となり、名を宗純と改めます。
この謙翁宗為に対して強く心酔していた様子があり、謙翁宗為が亡くなった際に一休は後追いをしようとします。
見張りによって自死を制止されたというようなことも伝わっています。

22歳になると華叟宗曇(かそうそうどん)の弟子となり修行に励み、悟りを開きます。
その後の一休は、権威を否定し、得意の詩歌や書画といった古都に没頭し、仏教を生業とする人物としては到底考えらられない生活を過ごしていくことになります。

仏教では禁じられていた飲酒や行く食は当たり前。
男性同性愛である男色や女性との性的関係を結ぶことも当たり前のように行っていました。
また、宋とは思えないような風変りの格好をして市中を練り歩いたり、杖の先にどくろをしつらえて練り歩いたりしたこともあったそうです。

一見すると危ない人、近寄りがたい人というような人物であった一休ですが、これらの奇抜な行為にも彼なりの意味があったのだそうです。
当時の仏教は、日本に伝わってきて段々と権威化していっていた時代でもありました。
仏教の本来の教えではなく、その権威だけが注目されることによって形骸化されていく仏教に対して、批判や風刺を通して本来の仏教のあるべき姿を訴え続けていたのが一休でもありました。
仏教の僧は一般の人々とは異なる存在。
しかし一休のこのような決まりや形式的なものにとらわれない生き方があったからこそ、一般の民衆には非常に共感を呼ぶ人物となり、後に一休咄なるお話が江戸時代に作られるほどになるのです。
唯の危ないだけの人物ではなかったのですね。

晩年になると、大徳寺の住職に任ぜられることとなり、寺の再興に尽力することになります。
また戦災にあった寺などを中興したりするなどしたことから民衆からも慕われたそうになっていました。
そんな一休も87歳でこの世を去ります。
墓は京都の酬恩庵にありますが、一般の立ち入りはできなくなっています。

いかがだったでしょうか。
なんだかイメージが違う人物ですよね。
しかし、アニメでとんちを駆使している姿が描かれているように、非常に頭脳明晰な人物であったようであり、様々な芸術にもたけた人物であったことは間違いがないようです。
そして彼なりの世間に対する危機感があったからこそ、その中から真理を突き詰めていこうという行動になっていったのだろうと思います。
歴史に名を残す人物というのは、いつの時代も大勢に流されるのではなく、その中から正しいと思うものを突き詰められる人物なのかもしれませんね。
そういった一休という人物のありさまを知ってから、アニメの一休さんを見てみると、また違った見方ができるかもしれませんね。