1057【愛媛紀行】司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』の世界を存分に味わえる博物館『坂の上の雲ミュージアム』

四国地方(Shikoku)
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明治維新による近代国家としての歩み。
そして、日清戦争、日露戦争と進んでいった戦争の時代。
その時代を描いた歴史小説。
それが、司馬遼太郎氏による坂の上の雲です。
NHKで巨費を投じてドラマ化されたこともあったため、知っている人も多いのではないかと思います。

その物語に登場する主人公は3人います。
秋山好古、秋山昌之、そして正岡子規。
この3人を軸に展開される壮大な物語は、多くのファンを魅了している物語なのです。

そして、この3人の主人公たちの故郷が愛媛県の松山市です。
この坂の上の雲の世界をより多くの人に体験してもらいたい。
そんな地元の思いから生まれたのが、2007年にオープンした『坂の上の雲ミュージアム』なのです。
愛媛県松山市の中核施設として重要視されるこの坂の上の雲ミュージアムについて今回は紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 坂の上の雲の世界を堪能できる松山市の中核施設、坂の上の雲ミュージアムに行ってみよう。

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坂の上の雲ミュージアム

坂の上の雲ミュージアムは、愛媛県松山市にある博物館です。
司馬遼太郎氏の小説である坂の上の雲の世界を展示したミュージアムであり、松山市全体を屋根のないフィールドミュージアム構想として考えている同市の中でも中核に位置する施設とされ、2007年にオープンされました。

歴史小説である坂の上の雲とは、1968年から4年半の期間に新聞連載をされていたささくひんです。
物語の主人公である秋山好古、真之兄弟と正岡子規の3人の生涯を通して、日本が近代国家へと成長していく姿を現しているこの物語の世界を存分に堪能できる内容となっています。
時代に翻弄され、時代を生き抜いていった3人の生き様から、訪れた人々が時代の流れを感じ、考える場としてこの施設が運営されています。

ミュージアム内では、小説で描かれた時代を感じられるように、パネルや模型、映像を使った展示がなされています。
また、松山市内全体をフィールドミュージアム構想として考えている同市の中核市説として、それぞれの情報を集約して発信する施設ともなっています。
松山市のフィールドミュージアム構想とは、坂の上の雲ミュージアムと松山城を中心とした市街地地区にあるセンターゾーンがあります。
ここには、物語の主人公縁の施設が数多く存在するエリアになっています。
また、道後温泉や松山総合公園などのあるサブセンターゾーン
そして、さらに各地に点在するサテライトと、この3つのゾーンによって構成される、町全体をミュージアムとして考える構想となっています。

アクセス

伊予鉄道環状線の大街道駅下車すぐです。

坂の上の雲ミュージアムへ行ってみた

それでは、坂の上の雲ミュージアムへ行ってみましょう。

こちらが入り口になります。
建物自体が独特な形をしています。
なんと、三角形の形をした建物になっているようであり、地下1階から地上4階までの鉄骨鉄筋コンクリート造の建物です。
安藤忠雄氏とその建築研究所によって設計されたこの建物自体が、坂の上の雲ミュージアムの見どころの一つともなっているのです。

ミュージアムの前から続く道を反対方向に進んでいくと萬翠荘(ばんすいそう)という建物に行くことができます。
こちらは、1900 年代初期に建てられた西洋風の別邸であり、現在は美術品の展示や、イベントなどが開催されているようです。
その建物の姿は、坂の上の雲ミュージアム内からよく見ることができます。

坂の上の雲ミュージアム内へと入ってきました。
各階がスロープで結ばれた造りになっているこのミュージアム。
特に上の写真のところは、ミュージアム内でも見どころの一つとなっている場所です。
2階から4階へとつながる階段なのですが、よく見るとこの階段、中間部分を支えるための支柱がありません。
支柱を設けることなく設置されているこの空中階段
どのようにして実現しているものなのでしょうね。
その構造は、建築関係者からも珍しい構造として注目されているようです。

館内は基本的には一部を除き撮影はできなくなっています。
こちらは東郷平八郎のパネルです。

連合艦隊の旗艦である三笠のミニチュアモデルです。

先ほど、ミュージアム前の道でつながっていた萬翠荘(ばんすいそう)がこちらです。
全面の窓がガラス越しに、建物の全景がよく見えます。

こちらはミュージアム内の回廊の様子です。
コンクリート壁がおしゃれな漢字が出ていますね。

松山市にある釣島灯台の模型です。
明治初頭にイギリス人技術者の設計によって造られた西洋建築なのだそうです。

第三回日露講和会議の出席者の様子です。
こちら側からは日本の参加者が。
反対側から見ると、相手側の様子を見ることができるようになっています。
あまり写真撮影ができるスポットができないのが残念ですが、あとはご自身の目で見ていただければと思います。

ミュージアムを後にしました。
このような歴史を感じる建物が前に建っていたのですが、こちらは萬翠荘(ばんすいそう)の旧管理人舎なのだそうです。
国の重要文化財に指定されているようですよ。

また、ミュージアムのある場所には、かつて江戸時代の武家屋敷跡があったことが確認されています。
その発掘調査によって発覚した遺跡の記録が記されていました。

いかがだったでしょうか。
坂の上の雲のファンの方が訪れることはもちろんなのですが、坂の上の雲にまだ触れることができない方も、このミュージアムを訪れることによってこの物語に興味がワクのではないかと思います。
ドラマ化もされているので、そこから坂の上の雲の世界へと入っていくのもよいかもしれませんね。
街全体をフィールドミュージアム構想と考えている松山市。
その中核にあるこの坂の上の雲ミュージアムから、松山を堪能してみませんか。