今回も鎌倉にある観光スポットです。
賑やかな鶴岡八幡宮とは異なり、その近くにあるにもかかわらずあまり多くの人ば訪れないお寺があります。
そのお寺とは来迎寺といいます。
この来迎寺は、かつて鎌倉幕府の大倉御所、西御門にあるお寺なのです。
かつて西御門には数多くのお寺が建てられていましたが、この来迎寺はその中でも唯一残っているお寺です。
その創建は1293年とされており、次週の開祖としても有名な一遍上人によって建立されたといわれていますが、その沿革には不明な点が多くあります。
かつての大倉御所の西にあったとされるこの西御門にある来迎寺。
なお、来迎寺は鎌倉にはなんと2か所あります。
この西御門にある来迎寺と、材木座と呼ばれる場所にある来迎寺です。
今回は、西御門にある来迎寺について紹介をしていきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
鎌倉に関する記事です。




















来迎寺(西御門)
来迎寺は、鎌倉の西御門と呼ばれる場所にあるお寺です。
西三門とは、源頼朝が開いた鎌倉幕府の大倉御所、その西門があった場所にちなんでつけられている地名です。
かつてこの辺りには、鎌倉幕府の重鎮たちが邸を構えていたのではないかと考えられています。
鶴岡八幡宮からは北東に500mほどと、非常に近い所にあります。
鎌倉には実は来迎寺というお寺が二か所あります。
そのうちの一つがこの西御門にある来迎寺なのですが、もう一か所はJR鎌倉駅から1kmほど南にある来迎寺です。
二か所あるのでどちら?となりそうですが、今回紹介しているのは、鎌倉駅から北にある来迎寺です。
この来迎寺なのですが、一向上人によって開山された時宗のお寺です。
1293年に建立されており、すでに700年以上が経過している由緒あるお寺なのです。
この年には鎌倉大地震が鎌倉の地を襲いました。
そのため多くの民の命が失われたのです。
そんな大地震によって亡くなってしまった人々を供養するために、一向上人が同年に創建したのが来迎寺なのです。
1293年というと鎌倉時代後期。
9代執権北条貞時の時代です。
それではなぜこの来迎寺が鎌倉幕府との関連があるのでしょうか。
来迎寺の本堂内には、御本尊である阿弥陀如来坐像あがあります。
時宗では阿弥陀如来を御本尊にするということであり、極楽浄土に坐している仏さまを表しています。
また、客仏として南北朝時代の作と言われる地蔵菩薩像。
本尊脇にある如意輪観音像。
そして跋陀婆羅尊者(ばったらそんじゃ)とがあります。
本尊以外の3体の像なのですが、これらが源頼朝を葬った法華堂にあったものなのでした。
明治になって、政府による神仏分離が行われた際に、法華堂が神社となったため、近隣にあったこの来迎寺に移されたとされています。
そのため、源頼朝と関連があるお寺なのですね。
しかし、その法華堂にあったとされる3体の像も、法華堂以前に異なった寺から移されたとされています。
地蔵菩薩像と跋陀婆羅尊者は、廃寺となっている報恩寺から。
如意輪観音像については同じく現在では廃寺となっている光福寺から移されたということが分かっています。
両寺ともこの来迎寺の近くにあったとされています。
この中でも如意輪観音像は、鎌倉特有の仏像装飾技法である土紋の装飾が美しく、鎌倉で最も美しい仏像と言われるほどなのです。
厄除けと安産にご利益があるとして人々から敬われています。
土紋とは、土や漆を混ぜて作った型を像に張り付けることによって、像の衣の文様を立体的に表現する技法です。
鎌倉時代作の像に見られるものであり、現存するものはこの如意輪観音像を含めわずかしかないそうなのです。
跋陀婆羅尊者の像は浴室で悟りを開いた仏さまを表しており、こちらの像は頭部や目、肩、腰、そして足などの病気の治癒にご利益があるとされています。
アクセス
鶴岡八幡宮から北東に500mほどの場所にあります。
来迎寺(西御門)へ行ってみた
それでは来迎寺(西御門)へ行ってみましょう。

この辺りがかつての西御門だった場所です。
今は住宅地が立ち並ぶ場所になっており、見渡す限り観光客はいませんでした。
そんな住宅街の中に、来迎寺の案内が見えます。

こちらの階段の上が来迎寺になります。

来迎寺の由来が書かれています。
建立は鎌倉時代の1293年ということで、700年以上の歴史がある由緒あるお寺です。

階段を上っていきます。
参拝者はいませんでした。
境内を手入れしている方がいるのみでした。

こちらが本堂です。

階段を上ると、この本堂とお墓があるのみのこじんまりとしたお寺です。
この周辺には、源頼朝の墓や北条義時の墓のある法華堂跡などがあります。
あわせてまわりたいところですね。
いかがだったでしょうか。
こちらの来迎寺ですが、前述したように、歴史的な価値のある場所というだけではなく、厄除けや安産祈願でもご利益があるとされているお寺。
それを目的にして訪れるというのもいいかもしれませんね。
しかし、鎌倉には軽く数百年を超えた史跡がたくさんあるので、見ていて飽きることがありませんね。