1177【神奈川紀行】なんと300年以上続く和菓子の老舗。江ノ電長谷駅近くの『力餅家』

関東地方(Kanto)
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歴史と伝統ある町には、様々な建造物などが残されています。
しかし、歴史と伝統というものは必ずしも建物だけというわけではないのです。
今回紹介しているのは、そういった歴史と伝統を今に伝える”“なのです。

そんな歴史と伝統をもつ町というと、神奈川県の鎌倉ですよね。
鎌倉幕府を有したこの町は、大河ドラマの鎌倉殿の13人が大ヒットしたこともあり、改めて多くの人々が訪れる場所となっています。
そんな鎌倉の王道観光地というと、鎌倉の大仏、そして長谷寺という、江ノ島電鉄の長谷駅を中心とした観光地ではないでしょうか。

そんな長谷駅の近くには、何と300年以上の歴史をもつ歴史と伝統ある和菓子店があります。
その店の名を力餅家といいます。
この力餅家なのですが、江戸時代でも中期、1700年前後にあたる元禄年間創業した和菓子店です。
この和菓子店の名物は、店名にもなっている名物である権五郎力餅という商品です。
創業以来この人気商品である権五郎力餅は、鎌倉を訪れ、様々な名所を歩き回り、歩き疲れた人々の疲れを癒してきたのです。

今回はこの鎌倉にある名物和菓子店である力餅家を紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 300年以上の歴史をもつ和菓子店で、江戸から伝わる伝統的な和菓子である権五郎力餅を味わて見よう。

鎌倉観光はこんなところも。

1178【神奈川紀行】力餅家のすぐ近く。ここには、これを求めて訪れる人がいるほどの秘伝のソースが!?『三留商店』
ただの食料品店かなあという印象をもってしまうこのお店。しかしその創業は明治15年。すでに100年を超える歴史をもつお店なのです。そのお店の名前を三留商店といいます。こちらのお店、様々な食料品が販売されており、街の食料品店だなあ、という第一印象なのですが、実はそれだけではにあ食料品店なのです。

力餅家

力餅家は、元禄年間に創業された和菓子店です。
すでに300年以上の歴史をもつ力餅家は、9代続いている和菓子店です。
現在の建物は終戦後に急ごしらえでバラックを建てて営業し続けていた建物をそのまま現在も使用しているのだそうです。

この力餅家の主力商品は、権五郎力餅と呼ばれる和菓子です。
この和菓子の名称はとある人物 鎌倉権五郎景政からとられています。
その人物とは、かつて河内源氏の当主であった源義家とともに後三年の駅で活躍をした力自慢の若武者からきています。
その若武者の武勇に感激した武士たちが、力比べをした力石という石が神社の境内に残されており、その力石にそなえた餅を参列者に分け与えたことから権五郎の力餅と名づけられ、力餅家の祖先が代々この力餅を伝え続けてきました。

昨今の和菓子というとどうしても添加物が数多く使われていることが多いですが、力餅家の権五郎力餅は一切の添加物が使われていません。
歯ごたえある餅に、こしあんがのせられたこの力餅は、日持ちはしないためその日のうちに食べる必要がある和菓子なのです。
鎌倉 長谷寺を訪れた数多くの旅人たちがこの味を味わっていたと考えると、なかなか感慨深いものがありますね。

力餅を味わった後は、いよいよ観光の名所である長谷寺へ!行ってみましょう。

力餅家ではこの主力商品である権五郎力餅だけではなく、他にも名物があります。
出来立ての餡を求肥でくるんだ求肥力餅。
御領神社の面掛行列のお面を模して作られている、カステラ生地でこしあんを包んだ福面めんじゅう。
さらには、神奈川県指定の銘菓にもなっているゴマの小豆餡を卵とバターの皮でくるんだ源氏山など、数々の名物が訪れる人々を待っているのです。
創業300年の伝統をもつ味を、気軽に味わいに行ってみませんか。

力餅家

江ノ島電鉄の長谷駅から徒歩1分ほどで到着します。

力餅家へ行ってみた

それでは、力餅家へ行ってみましょう。

力餅家は、長谷駅そして長谷寺近くにある和菓子店です。
また、多くの旅人たちは極楽寺方面からやってきていました。
極楽寺方面からやってきた旅人は、極楽坂の切通という上がり下がりのひどい難関を乗り越えてきました。
そして疲れ切った旅人を、切通し下にある力餅家が出迎えてくれたのでした。

この力餅屋では創業以来の人気商品であるのが権五郎力餅なのです。
名前の由来は、鎌倉時代の武将であった力持ちで知られた鎌倉権五郎に由来しています。
薄手着きたての柔らかい餅をこしあんで包んだだけのものではありますが、その素朴な味わいは多くの人々の疲れを癒しているのです。

この力餅家は長谷寺への近道に折れ曲がる角に位置しており、江戸時代の絵図にも描きこまれています。
そして、店先には上のような石碑が建てられており、長谷観音を表す『はせくわん音』と刻まれていることが確認できます。
この石碑を道しるべとして、当時の多くの旅人はこの角を曲がり、長谷寺へと訪れていました。

いかがだったでしょうか。
歴史と伝統ある場所には、歴史と伝統ある食というものも残されているのです。
そして、代々数多くの人々が味わい続けてきた味を現在でも味わうことができるということは、幸せなことですよね。
多くの人々の疲れを癒してきた伝統的な味を求めて、新たな旅に出かけてみませんか。