1208【大阪紀行】大阪から奈良へ抜ける最短ルートの街道であった『暗越奈良街道』

近畿地方(Kinki)
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大阪ー奈良間にはとある有名な峠があります。
国道であり酷道でもあるこの峠なのですが、暗峠(くらがりとうげ)といいます。
特に大阪側は非常に急こう配な山道であり、途中で止まってしまうと再び走り出すことができるのか??と思えるほどの急勾配が2.5kmも続く道なのです。
しかし、かつてはこの暗峠を越えることが大阪から奈良に抜けるには直線の最短ルートであったのです。

そして、大阪市中央区にある高麗橋からスタートして、暗峠を越えて奈良の平城京に至る街道がありました。
その街道こそが、暗越奈良街道(くらがりごえならかいどう)といいます。
直線で結ばれたこの街道なのですが、奈良時代では平城京まで訪れるための最短ルートとして、多くの人々に利用されました。
外国からの施設たちもこの道を通ったと言い伝えられています。

さらにこの街道なのですが、暗峠を越えて奈良に入り、そこから伊勢へとつながる伊勢参宮道としても利用されます。
江戸時代には伊勢参拝は人々の中で大ブームとなりました。
庶民の人々にも多く利用されたわけですね。

もちろん現在であれば、生駒トンネルなどの開通によって、最短ルートではあるものの多くは利用されなくなった暗越奈良街道。
その道は現在はどのように残っているのでしょうか??
実は残っているんですよ、この旧街道が。
今回はこの現代に残る古い街道、暗越奈良街道について紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 地図を眺めてみると、なんだか不思議な道があるなあと思うことありませんか?そこは実は古い街道だったりするのです。

大阪の街道に関する過去記事です。

1123【大阪紀行】全国各地に行ったのだから、こんなところにもその足跡が『伊能忠敬宿泊地(庄屋五郎兵衛宅)』
今回紹介しているのは、大阪市の東成区深江。この深江のある一軒の邸宅に、伊能忠敬一行が宿泊したとされてる場所があるのです。それが、伊能忠敬宿泊地(庄屋五郎兵衛宅)なのです。深江の町の中に突如として現れるこの伊能忠敬宿泊地と呼ばれる家。町中にこのようなものが残されているというのは驚きですよね。

暗越奈良街道

暗越奈良街道とは、大阪と奈良とを結ぶ古い街道です。
奈良時代にかつては海沿いだった難波と、平城京とを最短で結ぶ道として設置され、多くの人々がこの街道を通って行き来をしていました。
大阪の玉造・中道のあたりから始まり(明治になり東の高麗橋へと機転が移動された)、生駒山の暗峠を越えて、最終的に平城京へと至る古い街道です。
もちろん現在は新たな大通が整備されていることもあり、この暗越奈良街道もメインの十市ではなくなっています。
しかし、かつての街道だった道は今もまだ道として利用されており、特にこの暗越奈良街道は今もなおその道をたどっていくことができます。
車社会である現代では狭く感じるかつての暗越奈良街道ですが、実際にそこを歩いてみると当時の街道の雰囲気を感じさせる雰囲気が今も残っているのです。

平城京への道として設置された暗越奈良街道ですが、江戸時代に入ると世の中はお伊勢参りブームが訪れます。
この暗越奈良街道ですが、奈良に入りそこからさらに東にある伊勢へとつながる伊勢参宮街道でもあったことから、多くの庶民にも利用されるようになります。
そうなってくるとその沿道には宿場や茶店が立ち並び賑わいを見せていました。

ところが時代は進み、大阪奈良間には鉄道が通されたり、トンネルが設置されたりすることで、暗峠を越えて行き来するよりもずっと速く行き来ができるルートが設置されるようになります。
そのため、街道及びその沿道に立ち並ぶ店々も寂れていくことになります。

メインの通りではなくなりましたが、かつての暗超奈良街道の通りは残っています。
そのため、旧街道をたどる旅というのも行うことができるわけなのですね。
さらには、この暗越奈良街道の奈良側にある区間は、日本の道100選にも選ばれるほどのかつての面影を残す道でもあります。

アクセス

大阪の高麗橋を起点にスタートする旧街道です。

暗越奈良街道に行ってみた

それでは、暗越奈良街道を見に行ってみましょう。

暗越奈良街道を歩いていると、このような『暗越奈良街道』を示す道標をたくさん見つけます。
写真のものは、大阪市側の深江です。
菅笠が有名な深江では、街道を通る旅人がここで必ず菅笠を買い、道中を旅していったと伝えられています。

そしてこの街道を歩いていくと、生駒山上にある暗峠へとやってきます。
石畳の通りになっているこの辺りが非常に有名ですよね。

暗峠を含め、ここから先は日本の道百選にも選ばれている道なのです。
なお、大阪側からの傾斜角はとてつもないものがります。
徒歩ではかなりきついですが、車やバイクでの訪問も結構きついものがありますので、そのあたりは覚悟のうえで訪問する必要があります。

いかがだったでしょうか。
今回は暗越奈良街道の一部分しか写真がなかったのですが、今後この旧街道をさらに訪問してみて、追加の写真を増やしていきたいと考えています。
こうした旧街道というものは、現代社会でも何らかの形で残っていることがよくあります。
旧街道を専門的に取り上げている書籍やサイトなども探せば数多くあるので、そういったものを片手に旧街道を巡る旅というのも面白いかもしれませんね。