209【大阪紀行】恐ろしく精巧な日本の硬貨製造技術を目の当たりにできる『造幣局』

近畿地方(Kinki)
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日本の硬貨をじっくりとみたことがありますか。
特に500円硬貨など、近年の硬貨をよくみてみると、偽造ができないような精密な偽造防止策が施されており、その技術力の高さには驚かされるばかりです。

では、そんな硬貨はどこで作られているのでしょうか
もちろん、日本の信用に関わるものであるため、どこでも作れるわけではありません。
それ専用の工場があるわけです。
その工場を造幣局というのですが、その本局が大阪の中心地、北区東側の大川沿いにあります。
春に敷地内で行われる桜の通り抜けで有名なこちらですが、硬貨製造の様子の工場見学や、各種資料を見ることができる造幣博物館など、硬貨についてじっくりと学ぶことができる施設なのです。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • とてつもなく高い精度が要求される硬貨製造。そんな様子を見て学ぶことができる工場見学があるのです。

大阪の博物館に関する記事です。

181【大阪紀行】古くからの自治都市"堺"で受けつがれる伝統技術『堺刃物ミュージアム』
大阪の堺には、伝統的な堺打刃物の技術が受け継がれており、現代でも多くのプロの料理人から選ばれているような包丁類の製造が続けられています。そして、このような伝統技術をより広く知ってもらうことができるように、堺には堺刃物ミュージアムと呼ばれる博物館があります。

桜で有名な兵庫県の伊丹駐屯地の基地です。

248【兵庫紀行】伊丹駐屯地の桜の通り抜けで、普段は入れない駐屯地を見てみよう
自衛隊の基地である兵庫県の伊丹市にある陸上自衛隊伊丹駐屯地では、定期的に駐屯地内の見学会やイベントが行われています。 そして、春先には駐屯地内に咲き誇る桜を目玉とした、桜の通り抜けが行われるのです。

造幣局

大阪北区にある独立行政法人造幣局(2003年より独法化)は、現在でも日本の硬貨を中心として製造している工場が所在しています。
造幣局は政府機関のひとつとして明治2年(1869)年に造られました。
ここ北区にあるのは本局であり、その他支局としてさいたま支局、広島支局が所在しています。

明治新政府は、徳川幕府時代の金座・銀座・銭座を廃止したことで、貨幣制度の混乱を急ピッチで立て直すことが求められていました。
そこで、洋式の貨幣製造設備を用いた造幣工場がこの地に設けられました。

建設に当たっては、元々は大坂川崎村の大阪城内外の建築物の造営や管理を行っていた役所であった旧幕府御破損奉行役所の材木置き場跡一帯が選定され、明治元年(1868)に工場建設が開始されました。

明治3年(1870)には近代的な様式設備による造幣工場が完成し、貨幣の製造が開始されました。
大型の機械はイギリスによって設立された香港造幣局から購入し、それ以外の各種機械についてはその政策をすべて局内で自給自足で製作しました。

造幣局では、造幣に関わる機械を積極的に導入したと同時に、欧米文化をいち早く導入したことで、大阪が今日でも商業・工業の中心として隆盛をみるようになった一役を担っていました。

造幣局では硬貨の製造だけではなく、勲章・褒章及び金属工芸品等の製造、地金・鉱物の分析及び試験、貴金属地金の精製、貴金属製品の品位証明(ホールマーク)などの事業を行っています。

アクセス

大阪メトロ堺筋線・谷町線「南森町」駅下車で東に徒歩約15分。
JR「大阪天満宮」駅下車で東に徒歩約15分。 
JR「桜ノ宮」駅下車で南に向けて徒歩約20分
大阪メトロ・京阪「天満橋」駅下車で北に徒歩約20分

このように、公共交通機関のちょうど中間地点にあるため、どの駅からも徒歩の場合かなり時間を要します。

貨幣のできるまで

見学に行く前に、ざっくりと貨幣ができるまでをなぞってみたいと思います。

まずは、お金の材料になる「銅」「ニッケル」「亜鉛」「錫」を溶かして金属の塊を作ります。
その金属の塊を貨幣の暑さまで伸ばしてロール状に巻き取っていく『圧延』が行われます。

延ばした板から丸い貨幣の形に打ち抜く『圧穿』を行います。

出来上がった貨幣のもととなる円形(えんぎょう)のまわりに膨らみをつける『圧縁』を行います。

圧縁した円形に熱を加えてやわらかくする『焼鈍』を行います。

次に汚れた円形をよく荒井、脱水と感想を行う『洗浄』を行います。

表と裏の模様やギザをつけ、出来上がった貨幣の中で不合格品については取り除く『圧印・検査』を行います。

最後は、検査に合格した貨幣を間違えのないように計数して袋詰めする『計数・封緘』を行います。

これによって、貨幣が一般に流通するようになります。
特に、不合格品については世の中に流れないように徹底的に検査されるわけですね。

それでは実際に造幣局へ見学に行ってみましょう。

造幣局に行ってみた

造幣局見学に行くとルートに沿って案内してもらえます。
最初は工場見学からです。

工場見学

造幣局工場では『圧穿』の工程から行われています。
こちらでは、延ばした板から貨幣の形の円形を打ち抜いています。

圧穿から一通りの工程が見られるのですが、圧穿→圧縁→焼鈍ときて、円形を洗浄・脱水・乾燥する工程が行われています。

洗浄後、円形の数を計数機で数えています。

フロアを移ると、圧印で模様付けを行い、検査で合格してできあがった貨幣を計数機で正確に数える工程のフロアにやってきます。

貨幣のもととなる円形と、圧印して模様がついた後の貨幣が比較できる展示がありました。

これが本日できたばかりの100円硬貨です。

造幣局の製造技術の高さは世界的にも有名であり、世界各国の貨幣も受注して生産しているのだそうです。

工場内では、リフトが自動運転で袋詰めされた貨幣を運びまわっています。

貨幣が封緘されている袋の展示です。

袋のタグごとに金額が決まっています。
また、貨幣ごとに枚数も決まっており、重さも相当なものとなります。
500円では1袋100万円にもなるのです。

都道府県別の記念貨幣もこちらの工場で作られたのだそうです。

それではルートに従って、造幣博物館に移動してみたいと思います。

造幣博物館

現在の造幣博物館の建物は、明治44年(1911)に火力発電所として建てられた建物です。
造幣局の敷地内に残っている唯一明治時代から残るレンガ造りの西洋風の建物です。
造幣博物館としては昭和44年(1969)に、建物の保存と造幣事業の紹介のために、保管されていた貴重な貨幣等の一般公開を始めました。
外観は当時のままですが、内部は改装をすることで造幣博物館として使われることになりましtあ。
平成20年(2008)~21年(2009)にはさらに大改装を行い、展示や設備がより来館者に親しんでもらえるものにリニューアルされています。

造幣博物館は、一部写真撮影禁止のため今回は掲載していない写真もあります。

貨幣の役割や、カラーコインの作り方などの説明がしてありました。

大昔に貨幣として使われていたものの展示がありました。
いかに現代の貨幣が精密に作られているかが分かりますね。

毎年、その年に造られた貨幣の1セットにして貨幣セットとして販売されているそうです。

過去に造られた、国際的なイベントや行事が行われる際などに記念としてつくられる記念千円銀貨についての展示でした。

千両箱や、硬貨の入った袋の重さを体験するコーナーです。

こちらは銀の延べ棒と銀の延べ棒を片手で持ち上げてみようのコーナーです。
相当な重さがありなかなか持ち上がりません。

大きな貨幣の前で記念撮影もできます。
その他、勲章などの展示もありました。

コインをスロープの上に入れると、左下のケースに自動で振り分けられる機会です。
微妙な重さや材質の違いで判別しているようです。

いかがだったでしょうか。
貨幣工場ということでもっと厳重化と思ったのですが、製造と見学とが厳格に分けられているため、思っていた以上に自由に見学することができる施設でした。
こちらの素晴らしいところは、工場見学としても素晴らしいのですが、建物そのものも歴史的価値を持つ建物であるため、見どころが多岐にわたっているところなのです。
大阪でもメジャーな観光スポットではないかもしれませんが、経済の中心だった大大阪を感じ取ることができるスポットととして、お時間があればぜひ訪れてもらいたいところでした。