225【ネパール紀行】ネパール山間部のホームステイ体験で見つけた、村だけで完結する究極のエコシステム

ネパール(Nepal)
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海外旅ではやはり、現地の生活を体験することで、新たな発見がたくさんあります。
そんな生活を体験する方法としては、ホームステイなどはいかがでしょうか?
今回紹介しているホームステイは、ネパールの山間部にある小さな村でのホームステイです。
この村ではホームステイを一つの商品にして、そこでの体験をウリにしているのです。

この村では、都心部とは違い、公共のライフラインはきちんと整ってはいません
電気は通っていますが、最低限です。
上下水道は完備されていません。
もちろん都市ガスやプロパンガスなどもありません。
大型のスーパーもなければ、家々もなかなかに険しい立地の所もあります。
そんな村で生活していくために必要なのは、究極の循環型生活なのです。

(※しかし、携帯の電波は入っていました。
こればっかりは最近は山間部でもマストなようです。
家によってはWi-Fiを入れている家もありましたが、ネパールを現体験できるのがウリな村としてはどうかなあ・・・)

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 険しい環境にある人々の生活は工夫で溢れ、そこだけで完結する循環システムが完成している。

ネパールでのホームステイに関する記事です。

093【ネパール紀行】ネパール山間部の貴重な収入源。牛乳の脂肪分は何%?
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ネパールと聞くとインドも近いこともあり、スパイシーな料理が多いんだろうな、とイメージするかもしれません。しかし、ネパールの国民食ダルバートは、とてもやさしい味なのです。

ネパール山間部の村でホームステイ

ネパールといえば山ですが、この村も山間部にあるため、村からの素晴らしい眺望です。

村の人々はとてもフレンドリーで、気軽に話しかけてきてもらえます。
得意の笛の演奏も聴かせたもらえました。

こちらがお世話になったお家です。
ネパールでは2015年にマグニチュード8クラスの大地震がカトマンズ周辺を襲いました
甚大な被害の出た災害だったのですが、この村も例外ではなく、ホームステイした家も3階部分が壊れた箇所がありました。
雨風だけはしのげるようにしているようなのですが、とりあえずは壊れたそのままにされていました。
近所にも、上層階が崩れ落ちた家がいくつかありましたが、どこもそのままにしてありました。

水の調達

上下水道は村には通っていません。
そのため、生活用水を得る手段は雨水です。
こちらのオレンジ色の建屋は、屋根の上にためた雨水を使ったシャワー室とトイレです。
ホームステイする半年ほど前に造ったのだそうですが、それまでは、トイレもシャワーもない生活だったそうです。
村の他の家には、まだこのようなシャワーやトイレがない家もたくさんありました。

左の蛇口は、屋根の上のタンクから水が出てきます。
右側にある小さなタンクは、食器を洗ったりするための水が入っています。

これらの水は、飲み水には適していないので、飲料水は近くの小さな店にも見えない店で、ボトル入りの水を調達していました。

トウモロコシの循環

この村は、循環型の自給自足生活を行っています。
その中心に来る作物がこのトウモロコシです。
収穫したトウモロコシを挽いて粉にし、こねて薄く延ばして焼くことでパンのようにしてべられていました。

しかし、トウモロコシの活用方法はこれだけではないのです。

かなり大量に収穫されるので、家の3階には大量に収穫されたトウモロコシが保管されていました。

これはけっこう前に収穫された模様です。
かなり乾燥が進んでおり、色も変色してきていました。

トウモロコシを収穫した後の葉や茎などもそのまま廃棄されるわけではありません。
細かくカットする機械を通して、細かく裁断し、家畜の飼料や、再び農作物を作るための肥料にしたりするそうです。
これぞ、ザ・循環型社会ですね。

家畜と共に

それぞれの家では家畜が飼われています。
上の写真は乳しぼりの様子です。
乳しぼりをしながらスマホを触っていた様子が、面白かったのですが・・・!

搾り終わった乳は、基本は毎日競りに出して、それぞれの家の収入となります。
もちろん、一部は家庭で消費したり、上の写真のような撹拌機を使って、バターにしたりします。

牛や水牛、ヤギなどがいました。
その餌には、トウモロコシなどの資料なども与えられます。

そして、家畜から出た糞尿もまた生活に活かされるのです。
ぱっと思いつくのは、農作物のための肥料ですね。

しかしこの村、糞尿の利用方法はそれだけではないのです。
上の写真は、このホームステイ先のキッチンです。
(明確にキッチンと生活スペースが分かれてはいなかったのですが。)
この中に、先ほどの糞尿を活用したものがあるのです。

実は、この食事を作っているコンロの燃料が、糞尿から作られるバイオメタンガスで調理をしているのです。
屋外に、糞尿を発酵させる井戸のようなものがあり、その中で発酵の進んだ糞尿からメタンガスが発生し、管を通って室内のコンロまでやってきて燃料となるのです。
循環型生活ですねえ。

こちらは家の中に造られたかまど(?)なのですが、この家の床やこのかまども、家畜の糞を使って作られているのだそうです。

さきほどのかまどで、トウモロコシの粉から作った薄焼きのパンのようなものを焼いています。
朝は、ここで買ってきたトーストを焼いていましたw
要所要所に現代生活が見えるところも、おもしろおかしかったりします。

こちらは宿泊した部屋ですね。
オーナーが蚊帳を用意してくれたため夜は虫に悩まされることはありませんでした。

ところが、この部屋の窓にガラスが入っておらず、運悪く夜中に大荒れの天気の日があったのですが、一晩中その窓から強烈な風が入り続け、恐ろしく寒かったのでした・・・

命あるものをいただく

家畜にはもう一つの役割があります。
それが、家畜そのものをいただくことです。
もちろん、スーパーでパックに入った肉が売られているわけがありません。
肉が欲しいのであれば自分たちで家畜を処理して調達しなければならないのです。

肉にする家畜のヤギが決まれば、村の若い青年たちによって総出で作業が行われます。

こちらは屠畜され、皮をはいだ後のヤギです。
このあと、それぞれの肉の部位に切り分けていきます。

こちらは首を焼いていました。
このあと首も切り分けていくことになります。

かなり黒焦げの状態になるまで念入りに焼かれていました。

その他の部位は、まず腹を裂いて内臓を取り出し、肉を切り分けていきます。
かなり力のいる仕事なので、若手の男性陣の腕の見せ所なのでしょう。

先ほど焼かれていた首も切り分けられていきます。
内臓もきれいに処理されていたので、どの部位も村で食べられるのでしょう。

自分たちで農産物を育て、家畜を飼い、自分たちで食材を作り出す。
貨幣経済で買えば済むではなく、生きていくために循環型社会の中で自分たちの力で生き抜いていく。
人間が本来、自然の中で生きていこうとする姿がそこにあるのではないでしょうか。

犬もおこぼれをもらいにやってきていました。

いかがだったでしょうか。
大量生産、大量購入、大量消費に慣れてしまった現代の私たちから見れば、自然の中で循環型の生活を作り出し、その中に身を投じることは、私たちから見れば難しいと感じることでしょう。
しかし、現代をむしばんでいる様々な社会的な問題は、このような循環型の社会を忘れてしまったことにもその原因はあるのではないでしょうか。
普段生活しているときにはわからない多くの気づきが得られたホームステイ体験になりますよ。