247【インドネシア紀行】ヨーロッパの国々に翻弄された歴史を知る『ジャカルタ歴史博物館』

インドネシア(Indonesia)
この記事は約5分で読めます。

東南アジアの島国インドネシア
この国も数々の歴史を積み重ねて今日ここにあります。

世界遺産サンギラン初期人類遺跡に見られるような原人が生息していた先史時代。
ボロブドゥール遺跡や、プランバナン遺跡のように、小さな王国がたくさん存在した王国時代。
そしてヨーロッパの国々による植民地時代には、インドネシアも例にもれずオランダの支配下にありました。
忘れてはならないのは、第二次世界大戦末期の日本統治時代
これら数々の歴史を乗り越え、独立を勝ち取った今日のインドネシアがあります。

そんなインドネシアがこれまで積み重ねてきた歴史を見学することができる博物館『ジャカルタ歴史博物館』が、インドネシアの首都ジャカルタにはあります。
その建物自体もオランダ統治時代の歴史ある建造物であり、展示物だけではない見どころも多い博物館なのです。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • インドネシアが辿ってきた歴史をしっかりと理解し、より深くインドネシアの見どころをめぐってみよう。

インドネシアの遺跡関連の記事です。

310【インドネシア紀行】インドネシアがオランダから独立した記念の巨大な塔『インドネシア独立記念塔~モナス塔~』
インドネシアの大都市では独立を記念するようなモニュメントや博物館などが数多くあります。今回紹介しているインドネシア独立記念塔(通称モナス塔)もそんなインドネシアの独立を記念して建てられたジャカルタのシンボルでもある塔です。
165【インドネシア紀行】ほんの数年でも光景が変わった世界遺産『プランバナン寺院』
インドネシアのジャワ島中部にある古都ジョグジャカルタからは、インドネシアの2大世界遺産を巡ることができます。その一つが『プランバナン寺院群』です。このプランバナン寺院群は複数のヒンドゥー教寺院と仏教寺院とで構成され、まだまだ発掘や修復が継続して続けられている遺跡です。
166【インドネシア紀行】なぜ一つの町に二つの王宮が??『マンクヌガラン王宮』
今回は、インドネシアのジャワ島中部にある古都ジョグジャカルタからさらに北東にある、ソロ(スラカルタ)という街にある王宮を紹介します。ソロといえば、ジョグジャカルタと並ぶ古都ではあるのであり、2つの歴史ある王宮があります。今回は王宮の一つであるマンクヌガラン王宮を紹介したいと思います。
077【インドネシア紀行】バリ島ウブドの24時間絶え間なく水の溢れる『ティルタウンプル寺院』
バリ島、ウブドから北に10km行ったところにある、歴史あるティルタウンプル寺院。こちら世界遺産の構成要素ではありませんが、地元の方から観光客までこぞって訪れる有名な寺院です。その理由は、境内に湧き出る聖なる水にあったのです。

ジャカルタ歴史博物館

ジャカルタ歴史博物館は、インドネシアの首都ジャカルタにある博物館です。
博物館は、インドネシア伝統の人形劇であるワヤン博物館と、美術陶磁器博物館近くのファタヒラー広場(旧バタビア市広場)南側にあります。
この建物は、オランダのアムステルダム王宮をモデルにしていると考えられています。

もともとこの建物は、オランダ領東インド会社の管理本部が置かれるために建造されました。
現在の場所に1627年に建てられたこの建物は、1649年まで建設が続けられ、完成を見ます。
その後、1707年~1710年に改装が行われた結果、現在の建物になりました。

オランダ東インド会社の破産後は、建物はオランダ植民地政府に引き継がれ、オランダ植民地政府の市庁舎(スタダイス)として使用されました。
その後、バタビアの市が南に拡大し続け、1913年には建物の市庁舎としての機能は終了しました。

1945年に日本統治下時代が終わり、インドネシア独立宣言が発表されが宣言された後、1961年まで、この建物は西ジャワ州知事事務所として使用されていました。
その後、この建物は西ジャワの軍事司令本部として使用されました。

1970年には、この建物前にあるファタヒラー広場が文化遺産に指定されます。
1974年3月30日には、ジャカルタ市の歴史に関連する文化遺産の収集、保存、研究の中心として、『ジャカルタ歴史博物館』として開館します。
インドネシアの先史時代から1527年のジャヤカルタの設立、16世紀のオランダ植民地時代、そして1945年のインドネシア独立までの展示が行われるジャカルタでも屈指の博物館として親しまれています。

アクセス

ジャカルタ駅から北へ150mほど進んだ場所にあります。

ジャカルタ歴史博物館へ行ってみた

それでは、ジャカルタ歴史博物館へ行ってみましょう。

こちらの建物がジャカルタ歴史博物館です。
元々ははバタビア(ジャカルタの旧名)のスタダイス(市庁舎)として使われていた、オランダ統治時代に建てられたオランダ様式の建物です。

ジャカルタ歴史博物館の北側には、スタドハイス広場が広がっています
この広場は現在はファタヒラ広場として知られています。
広場の中央にある噴水は、オランダ植民地時代には給水のために使われていたのだそうです。

ジャカルタ歴史博物館の建物には37の部屋があり、1846年まで地下牢として使われていた小部屋も残されています。

館内に入ると、いきなり衝撃的な展示が出迎えてくれます。
こちらは死刑執行の様子を再現した展示なのですが、1900年ごろにはこのような死刑執行の風景が、この市庁舎の建物の前にあるスタドハイス広場で行われていたのだそうです。

ジャカルタ歴史博物館には約23,500の展示品があります。
そのうちのいくつかはオールドバタビア博物館(ジャカルタ歴史博物館に隣接している現在のワヤン博物館)から継承されています。

コレクションには、オランダ領東インド会社のオブジェクトや、古地図、絵画、陶器、家具、古い碑文や剣などが展示されています。



こちらは楽器類の展示です。
インドネシア伝統のガムランの展示もあります。



これら以外にも、17世紀から19世紀までのジャカルタの原住民であったバタウィ人の家具のコレクションもあります。



こちらはかなり近代になってきますが、最近は観光地以外ではあまり見かけなくなってきた自転車タクシーのシクロです。


こちらは屋台ワルンですね。
こういった屋台はまだまだインドネシア内でもバクソ(ミートボール)などのお店がよく見られます。

いかがだったでしょうか。
今回紹介した以外にも、碑文のレプリカや、貴重な古地図なども展示されています。
残念ながら日本語での説明はありませんが、英語での表記はあるため、博物館内を見て回るとなんとなくインドネシアがこれまで辿ってきた歴史を知ることができるでしょう。
ジャカルタに訪れた際は、まずはここでインドネシアについて勉強し、各方面へと足をのばしてみてはいかがでしょうか。