292【インドネシア紀行】インドネシアを代表する仏教遺跡。しかし、とうとう禁止されてしまった…『ボロブドゥール寺院』

世界の世界遺産(World Heritage)
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インドネシアのジャワ島中部にある古都ジョグジャカルタからは、インドネシアの2大世界遺産を巡ることができます。
前回は9世紀頃に建造されたとされるヒンドゥー教と仏教が混在した『プランバナン寺院』を紹介しました。
そして今回紹介するのは、それよりも前に建造されていたものの、1000年以上灰に埋もれたり仏教が衰退したことによって人々から忘れ去られていた世界最大の仏教寺院跡『ボロブドゥール寺院』です。
世界遺産の中でも行ってみたいランキングでは上位につけているボロブドゥール寺院。
小高い自然の丘をそのまま利用して、そのまわりを石で固めていったこの巨大な寺院には、下層から上層に向かうにしたがって、人間の本能的な部分から天上界へと解脱していく様子が表されています。

しかし、2020年2月に衝撃的なニュースが世界を駆け巡ります。
大ストゥーパが立ち並ぶことで有名な、ボロブドゥール寺院最上層である第10層と第9層への立ち入りが禁止されてしまったのです。
その原因としては、遺跡に登ったり、落書きをしたり、ストゥーパ内部の仏像にいたずらをしたり…。
こういった来訪者の悪質行為が原因でインドネシア政府はこういった措置にでました。
いつまで制限が行われるのかはわからないのだそうです。
せっかく貴重な世界の遺産を目の当たりにできる機会があるのに、一部の人たちによる行為がこのような禁止行為につながってしまったことは残念でならないことです。
当ブログではまだ最上層に行けたころの内容となっていますが、一日も早く、観光客一人一人が高い意識をもって世界遺産を守っていくことができることを祈りつつ。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • この規模の遺跡が埋もれていたとは…。世界にはまだまだ謎が隠されていることを感じさせる巨大遺跡に行ってみよう。

インドネシアの世界遺産に関する記事です。

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ボロブドゥール寺院

インドネシア最大の人口を誇るジャワ島。
その中央部に位置するジョグジャカルタは、インドネシアを代表する古都です。

仏教やヒンドゥー教の伝来、その後にやってきてインドネシア最大の勢力になったイスラム教勢力の台頭。
そして、オランダによる植民地支配など複雑な歴史を経てきた地域です。
そして、そういった歴史を経た古都であるこの地域からは、インドネシアだけでなく、世界的にも貴重な大遺跡があります。

それが、世界最大の仏教寺院である『ボロブドゥール寺院』と、ヒンドゥー教と仏教の寺院群である『プランバナン寺院』です。

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ジョグジャカルタは物価やホテルが安く、二大遺跡を中心としたツアーも充実していたため、ジャワ島中部の観光拠点としては最適な場所であり、これまでは、ジョグジャカルタに宿泊して、ボロブドゥール寺院・プランバナン寺院を観光するというのが王道でした。
しかし、ジョグジャカルタに新たに新国際空港が建設されたことにより、国際線を使って日帰りに観光なども可能になったため、現地の方々は、ジョグジャカルタへの経済効果が減退してしまうことを心配されている面もあります。

今回紹介しているボロブドゥール寺院は、かつてこの地に伝わった大乗仏教の石造りの寺院です。
1991年には世界文化遺産にも登録されている、世界最大の仏教遺跡です。

ボロブドゥール寺院は、高さ約35m、基壇部分は約120m四方にもなります。
遺跡自体は、もともと自然の丘だったところに盛り土をして、その上に高さ23cmのブロックを200万個積み重ねられた空積み(接着剤などを使っていない)構造になっています。
下部の方形部分は6層となっており、上部円形のは3層からなり、内部は丘のために空間はありません。
最下層の基壇から頂上部へ上ることで、悟りへの道を表しているとされています。

ジョグジャカルタから北西に約40km、ヤシの樹海が広がるケドゥ盆地にボロブドゥール遺跡はそびえています。
8~9世紀前後に50年の歳月をかけて建造されたこの遺跡は、建造直後に仏教を信仰するシャイレンドラ王朝は崩壊してしまいます。
代わりに、新たに伝来してきたヒンドゥー教によって仏教が主流派ではなくなったこと、ムラピ山の噴火によってこの地域が人の住めない場所になったことなどの不運が重なります。
そのため、ボロブドゥール人は、建造後も火山灰に覆われ、密林の中でひっそりと1000年以上も隠れていた、今だ多くの謎に包まれている遺跡です。

そんな1000年にも及ぶ眠りを目覚めさせたのが、当時ジャワを占領していたイギリスから知事として赴任していたトーマス・ラッフルズ氏なのです。
ボロブドゥール寺院は長く人々の眼前から消え去っていたものの、巨大な仏教遺跡の伝説は人々に言い伝えられていました。
そんな伝承を信じ続けていたラッフルズは、言い伝えのあった小高い丘の中からこの伝説の寺院を発見したのでした。

その後は、オランダ統治時代にはオランダ当局主導で、20世紀後半からはユネスコ主導で大規模な保存・修復作業が行われた結果、1991年に世界文化遺産に登録されました。

アクセス

ジョグジャカルタから北西に約40kmほど行ったところにあります。

ボロブドゥール寺院へ行ってみた

それではボロブドゥール寺院へ行ってみましょう。
史跡公園に入ると寺院へ続く道が規制に整備されています。
遠くにボロブドゥール寺院が見えてきましたね。

ボロブドゥール寺院を眺めながら丘を登ると、巨大なボロブドゥール寺院が正面に見えてきます。

遺跡は大きく分けて3層構造になっています。
外周である基壇が煩悩で生きる「欲界」、回廊が造られた方壇が悟りを求める「色界」、最上層にある円壇が物質世界から解脱した「無色界」を表しており、仏教の三界を表現していると考えられています。

隠れた基壇

更に近づいてその基壇部分にやってくると、東南隅の基壇部分の一角にくぼんだ箇所があるのがわかります。
これは、現在表面に見えている第一層の奥に隠れた基壇があることが分かるように、むき出しで残されているのです。
本来はこの隠された基壇がボロブドゥール寺院の第一層だったものの、建造中に補強の必要性が生じたため、このように現在の基壇に隠された形になっているのだそうです。

そこには、やはり精巧なレリーフが残されているのです。
そこには、ここで見られるレリーフには人間が描かれています。
しかし、その醜悪な表情からは、煩悩に支配された欲界に住む人間の姿が描かれているのです。
これは、仏教的に享楽に対する戒めである因果応報の意味が込められているレリーフなのだそうです。

この場所には、パネル上部に、ボロブドゥール寺院でも唯一の古代ジャワのカウイ語が残っている箇所があります。

この基壇部分に使われていた石の数々は、すぐそばに上の写真のように保存されています。

下層部 回廊エリア

回廊部分は4層構造になっており、その壁面には仏教にまつわる物語のレリーフが施されています。
これらのレリーフは大乗仏教の教えを説くためのものです。

上層部 円壇エリア

基壇からカーラ(鬼面の守り神)の門をくぐりながら回廊を一つずつ上がっていきます。

回廊を抜け、円壇のエリアに入ると、視界が開け、中央の大ストゥーパのまわりを小ストゥーバ72基が立ち並ぶ広々とした場所にでます。
それぞれの小ストゥーパの中には安置された仏像をみることができます。
ストゥーパの窓の形も、最初はひし形のものから、正方形の窓、そして大ストゥーパにいたっては全く窓のない形を表しており、それは無の世界を表しているのだそうです。

この写真の訪問時は全ての円壇に立ち入ることができましたが、現在は最上位にある第三円壇とそのすぐ下にある第二円壇には立ち入ることができなくなってしまいまいした。

現在はここも立ち入ることができない区域です。
中央にあるのが大ストゥーパであり、仏教世界で最後に到達する無の境地を表しているのだそうです。

一通り見て回って降りてくると、ボロブドゥール寺院の全景が最もきれいに撮影できる北西角にやってきます。
公園内は見学通路が一方通行になっていますので、一通り見て回った、降りてきた後でこの場所から撮影しましょう。

ボロブドゥール博物館

ボロブドゥールから出土した品々を展示するのが、ボロブドゥール寺院から500mほど北にあるこのボロブドゥール博物館です。
実際の遺跡では一部しか公開されていない、「隠れた基壇」のレリーフ写真は必見の価値があります。
博物館の中庭は、遺跡から発掘された未修復のレリーフで埋め尽くされており、今後の修復を待ち続けています。

いかがだったでしょうか。
実際に行ってみると、なぜこれほど巨大な遺跡が1000年以上も人々の前から消えてしまっていたのか、ますます謎が深まりました。
一説によると、建造と同時に埋められたのではないかという話もあるほど、謎に満ちた遺跡です。
どれが正しい歴史なのかはわかりませんが、1000年以上前の人々が何を思いこのような寺院を建てたのか、それを想像しながら見て回るとなお、歴史に対する強い興味関心が高まってきそうです。