294【スリランカ紀行】かつてのシンハラ人の王都。巨大な半球状のストゥーパが珍しい世界遺産『アヌラーダプラ』

世界の世界遺産(World Heritage)
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スリランカ中部にある文化三角地帯の一角であるアヌラーダプラ、世界文化遺産にも登録されるほどの多くの仏教遺跡がのこる町です。
それもそのはず、紀元前から1400年以上もスリランカの王都が置かれていた場所なのです。
都が崩壊してからは1000年以上が経っているのですが、そこに残る遺跡群は今もなお健在である場所が多くあります。
それもそのはずで、現在もなおそこに住む人々の祈りの場になっているのです。
そのため、遺跡群はきちんと修復など手入れが絶えず行われており、今にいたるまで旧王都にあった遺跡群を見せてくれるのです。

そんなアヌラーダプラは、丸一日かけてのんびりと見て回るのがおすすめです。
周りを見渡してみると、自転車やスリーウィーラーなど、様々な観光客の人々が思い思いに遺跡群を見て回っている姿を見ることができます。
遺跡群では、スリランカ全土から訪れ祈りをささげる人々が、悠久の時間を感じさせてくれます。

しかし、アヌラーダプラは、ここにあったシンハラ人の王朝と、南インドからやってきたタミル人との抗争が何百年も続き、今もなお続く民族間の抗争の発端となった場所でもあるのですが、今現在のアヌラーダプラはそのような歴史も感じさせないほど、穏やかな表情を見せる町となっています。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 現在のスリランカにつながる長い歴史を持つ王朝のあった古都アヌラーダプラ。古都の雰囲気を感じながらゆったりとまわってみませんか。

スリランカの世界遺産に関する記事です。

438【スリランカ紀行】2000年以上もの歴史があるとされる、世界の三大煉瓦建築のひとつ『ルワンウェリ・サーヤ大塔』
アヌラーダプラのダーガバ(仏塔)は、その表面を白い漆喰で塗り固めた仕上げが一般的だったようです。そしてできあがったダーガバは、純白の外観が美しい壮大な建造物だったのです。そして、その時代の姿を今でも私たちにみせつづけてくれているのが、アヌラーダプラのシンボルでもあるルワンウェリ・サーヤ大塔なのです。
435【スリランカ紀行】道なき道を踏み込んでみると、あるわあるわガイドブックにない遺跡の数々『ラトゥナ・プラサーダはじめ、アヌラーダプラ北部遺跡群』
アヌラーダブラの紹介も数多くやってきましたが、まだまだあるんですよね。今回は、ラトゥナ・プラサーダという遺跡地区の北西端にあるガードストーンの美しさで有名な宮殿跡の遺跡です。また、その周辺にもあった多くの遺跡の様子も紹介しておきたいと思います。
422【スリランカ紀行】紀元前288年に植樹されとされる、インドの菩提樹から植樹された、人類最古の植樹された樹木『スリー・マハー菩提樹』
今回紹介しているアヌラーダプラにあるスリー・マハー菩提樹もそのような仏教の聖地となっている場所の一つです。菩提樹といえば、仏教の開祖である仏陀がその根元に座り悟りを得た樹木です。そして、実際にそこから分け木がスリランカのアヌラーダプラにまで運ばれ、この地に根付いているのです。
413【スリランカ紀行】最近はどこにでもあるんだなということがわかってきた沐浴城跡の遺跡『クッタム・ポクナ』
沐浴場というと、その地域を治めた王のためのものが多かったりするのですが、今回紹介しているアヌラーダプラにあるクッタム・ポクナは、仏教黒スリランカらしく、この地域で修行を行なっていた僧たちが使っていたとされる沐浴場跡です。
395【スリランカ紀行】悟りを開いた仏陀の穏やかな表情が特徴的な『サマーディ仏像』
スリランカのアヌラーダプラにあるサマーディ仏像は、木々に囲まれた中に、ぽつんと風化を防ぐ屋根とともに祀られています。今でこそ屋根とともにあるサマーディ仏像ですが、もともとは仏陀が悟りの境地を開いた場面を表していたとされ、その後長い間発見されずにいた仏像なのです。
380【スリランカ紀行】アヌラーダプラエリアだけではなく、世界一の高さを誇る仏塔『ジェータワナ・ラーマヤ』
2500年以上もの歴史があるスリランカ最古の都があったアヌラーダプラ。非常に高度な文明を持っていた王朝が栄えたこの地には、高度な建築技術がありました。そんなアヌラーダプラには巨大な世界的にみても大きな仏塔が多く残されています。
353【スリランカ紀行】アヌラーダプラに柱とムーンストーンとが残る王妃建物群跡『クイーンズ・パビリオン』
アヌラーダプラのクイーンズ・パビリオンは、王妃の建物があった跡であるのですが、別名ムーンストーン・サイトとも呼ばれています。ここには、今もなお素晴らしい姿を残す、名前の由来となったムーンストーンが残っているのです。
328【スリランカ紀行】アヌラーダプラにある岩肌に沿って造られた元僧院である寺院『イスルムニヤ精舎』
アヌラーダプラでまずはおさえておきたい場所が、今回紹介しているイスルムニヤ精舎なのです。このイスルムニヤ精舎をまず真っ先に挙げる理由としては、アヌラーダプラにありながら、その中でも異彩を放っている、天然の岩肌を利用した寺院だということです。
303【スリランカ紀行】アヌラーダプラ最大の仏塔。しかし過去はもっと高かったらしい『アバヤギリ大塔』
スリランカ中部にある文化三角地帯の一角であるアヌラーダブラ。その中でもアバヤギリ大塔は、紀元前1世紀に建てられたとされている元々は大乗仏教の総本山だったのですが、現在のスリランカの主流派である上座部仏教との争いに敗れ、現在に至っています。
074【スリランカ紀行】地上200mの天空の王宮 シーギリヤロック
南アジア スリランカの中心部にある古都シーギリヤ。そこには1982年に世界遺産登録された、有名な天空の王宮跡シーギリヤロックがあります。登頂までは1200段もある、この岩ですが、頂上から見る景色には圧巻されるものがあります。
161【スリランカ紀行】仏歯を乗せた像が練り歩く聖地キャンディの『エサラ・ペラヘラ祭』
スリランカの伝統的な祭り『ペラヘラ祭り(エサラ・ペラヘラ祭り)』について紹介します。同国各地で行われるペラヘラ祭りですが、その中でも最大規模のパレードが行われるのが、世界遺産都市キャンディで行われるペラヘラ祭りなのです。
188【スリランカ紀行】インド洋に向かう世界遺産の城塞都市『ゴールの旧市街と要塞』
スリランカの南端に、小さな世界遺産都市があります。ゴール(ガル)と呼ばれるこの町は、現在でも強固な城壁に囲まれている要塞都市なのです。現在のゴールの城壁内には、ヨーロッパ様式の建築様式とアジアの伝統様式が融合し、歴史と生活がまじりあった街並みになっています。

アヌラーダプラ

スリランカ中部にあるアヌラーダプラは、『聖地アヌラーダプラ』として世界文化遺産に登録されているエリアです。
ここは、2500年以上も前にシンハラ人を主としたスリランカ最古の都がおかれた場所であり、多くの仏教遺跡が残されています。
また、スリランカの文化三角地帯であるアヌラーダプラ、ポロンナルア、キャンディの3都市のうちの一つでもあります。
このエリアは歴史的かつ美術的にも価値のある世界有数の大遺跡群が多数残るエリアとしてよく知られています。

アヌラーダプラの町にはあちらこちらに仏塔(ダーガバ)があり、この地で発展していった仏教はスリランカ全土だけでなく、そしてビルマやタイ、カンボジアへと広がっていきました。

アヌラーダプラは、紀元前500年頃からシンハラ族の祖先といわれている人々の首都として存在していました。
紀元前3世紀頃になると、仏教が伝来し、インドのブッダガヤから菩提樹の分け枝が運ばれます。
紀元前1~2世紀に入ると、南インドにあったタミル人のチョーラ朝による侵攻が始まり、幾度となく抗争が繰り広げられ、アヌラーダプラは悩まされ続けます。
最終的には、国内の仏教界の勢力争いによる混乱と、一層激しくなったタミル人の侵略により10世紀にシンハラ人の王朝は崩壊し、約1400年間もの間栄え続けたアヌラーダプラを放棄しました。
スリランカはここから長くシンハラ・タミル民族間の抗争が絶えず続いていくことになり、現在でもまだ民族間の問題は残っています。

アヌラーダプラは1982年にユネスコの世界文化遺産に登録されました
登録された遺跡地区は、アヌラーダプラ西側の地区、Malwathu Oya川の西、南北5km・東西2kmのエリアに集まっています。
この遺跡地区に入るにはチケットの購入 (US$25) が必要です。
チケットを購入すると、遺跡地区内は自転車でのんびりと一日かけて遺跡を巡る人々が多くいます。
それ以外にも、タクシーやスリーウィーラーを使うと半日あれば主要なポイントは見て回ることができる規模です。
遺跡の見学時間は、早朝から日没まなので、早朝の涼しい時間から見て回ることがおすすめです。

アクセス

コロンボからはバスで5~6時間で到着します。
鉄道も運行していますが、一日の本数が少ないため、バスの方が効率は良いです。

アヌラーダプラへ行ってみた

それではアヌラーダプラへ行ってみましょう。
今回は、アヌラーダプラの見どころをダイジェストで紹介していきます。
個々の紹介記事は、今後追加していきます。

イスルムニヤ精舎

イスルムニヤ精舎は岩肌に造られた寺院であり、通称”ロック・テンプル“です。
岩肌を彫るようにして造った御堂、岩上にある仏塔(ダーガバ)、仏像を祀った本堂や宝物館などがあり、アヌラーダプラの他の遺跡と比べると異彩を放っています。

イスルムニヤ精舎では寺院裏側から岩の上へ登ることができます。
個々に上るとアヌラーダプラの町の全域をながめることができます。

トゥーパーラーマ・ダーガバ

トゥーパーラーマ・ダーガバは、仏陀の右鎖骨を祀った仏塔(ダーガバ)です。
高さ19mもの仏塔(ダーガバ)であり、アヌラーダプラ最古のものといわれています。
アヌラーダプラの遺跡ではほかでもよくみられるのですが、仏塔(ダーガバ)の周りには何本かの石柱画見られます。
これは屋根を付けるために建てられていたものですが、現在は柱のみが残されています。

アバヤギリ大塔

アバヤギリ大塔は、赤茶けたれんがのようなものを積み上げた、現存するアヌラーダプラの中でも最大の仏塔(ダーガバ)です。
ここはかつての大乗仏教の総本山であり、紀元前1世紀に建設されました。
現在は高さが75mなのですが、建造当時は高さ110mもあったのだそうです。。
12世紀には、ここを中心とする大乗仏教派と、マハー・ヴィハーラ寺院を中心とした上座部仏教とが勢力争いし、スリランカから大乗仏教は姿を消すことになりました。

クイーンズ・パビリオン(ムーンストーン・サイト)

クイーンズ・パビリオン(ムーンストーン・サイト) は、階段跡や柱などが残るかつての王妃の建物跡です。
この建物の階段入口には、半円型をしたムーンストーンが残されています。
このムーンストーンは仏教の輪廻を意味しているのだそうです。

サマーディ仏像

サマーディ仏像は木々に囲まれた仏像です。
4世紀頃に造られたとされていますが、当時は背後に菩提樹をもつ仏陀が悟りを開いたの姿であったそうです。
その表情は、正面から見たときと、左右から見たときとで違った表情を見せるといわれています。

クッタム・ポクナ(ツイン・ポンズ)

クッタム・ポクナ(ツイン・ポンズ)は、かつてアバヤギリ大塔そばにあった僧院の修行僧たちの沐浴場です。
当時は近くの池から水を引き、沐浴後は周辺の水田にその水を流していたそうです。

ジェータワナ・ラーマヤ

ジェータワナ・ラーマヤは、アバヤギリ大塔に似た仏塔(ダーガバ)です。
このダーガバは、3世紀に建てられたもので、高さ70mあります。
元々は高さ122mもの高さがあったのだそうです。
このダーガバでは9世紀頃のサンスクリット文字で書かれたマハーセーナ経典の金板が見つかっています。

スリー・マハー菩提樹

スリー・マハー菩提樹は、紀元前3世紀にインド・ブッダガヤの菩提樹の分け木がここへ運ばれ、樹齢2000年にもなります。
19世紀に入り、菩提樹保護のため、石台や鉄柵が造られました。
現在は白壁の中に厳かに祀られ、多くの巡礼者がここへ祈りをささげにやってきています。

スリー・マハー菩提樹の石門を抜けると、ローハ・プラサーダという、紀元前2世紀に建てられた僧院の跡があります。
当時は黄金色の屋根をもつ建物であったそうですが、現在は多くの柱のみが残されています。

ルワンウェリ・サーヤ大塔

ルワンウェリ・サーヤ大塔は白く巨大な仏塔(ダーガバ)です。
現在の高さは55mですが、当時は110mもの高さがあったといわれています。
紀元前2世紀に建造されたダーガバであり、現在もなお熱心に祈りをささげる人々で溢れています。

いかがだったでしょうか。
今回はアヌラーダプラの見どころを簡単に紹介してきましたが、2500年も続く遺跡群の数々とは思えないほど、現在も人々によって祈り場として大切にされていることが伝わってくるのではないかと思います。
仏教国として日本とも通じるような部分を感じることもあるアヌラーダプラをゆっくりと巡ってみませんか。