今回はブルネイの首都であるバンダル・スリ・ブガワンについて紹介していきたいと思います。
おそらく東南アジアの中でも1・2を争うほど日本ではあまり知られていない国ではないでしょうか。
そして、知っていたとしても漠然と『お金持ち国家』というイメージがあるだけなのではないかと思います。
まさしくブルネイは天然資源によって、王族のみならず国民すべてに対してその富が行きわたるような非常に裕福な国です。
そのため、人々の生活にも非常に余裕のあるこの国は、観光客を集めるために切磋琢磨せねば!といったガツガツした感じをあまり感じず、実際どこが観光の目玉なのかな?と思うような点があることも事実です。
しかし、よくよく見て行ってみると、面白いところがたくさんあるのですよ。
代々多岐にアピールされていないからこそ、逆に開拓していくことが楽しめる国であり町なのではないかと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
バンダル・スリ・ブガワン
ブルネイ(ブルネイ・ダルサラーム)は、東南アジアのボルネオ島にある小国です。
しかし小国ではあるものの、その名前が意味するように「永遠に平和な国」を実現している有数の国です。
国民の平均所得が非常に高く、石油と天然ガスという天然資源によって多くの富を得ることができているため、国民の所得税は無料。
教育や医療は全て無料であり、公共料金も住宅ローン金利も安いというとんでもないイスラム系王国です。
バンダル・スリ・ブガワンはそんなブルネイの首都であり、ブルネイの総人口の約7分の1である6万人の人々が暮らす町です。
王宮や、国会議事堂などの行政の中心であり、ショッピングセンターやオフィスが立ち並ぶ商業地区が集まるブルネイの中心都市です。
その規模は小さいのですが、1時間もあれば徒歩で町を見て回ることができます。
また、東南アジア諸国の中ではトップクラスに治安が良く、町中の一人歩きでも危険を感じることはありません。
ただ、国民の生活に非常に余裕がある同国では、一家に2台以上の自家用車はあたりまえであり、車移動が主になるため、町中を歩いている人はほとんど見かけないくらいです。
ブルネイの中心部ではあるのですが、町の雰囲気は比較的静かで閑散としています。
東南アジアの国々で見られるようなバイクや自転車の大渋滞、人が集まる繁華街や高層ビル群などは全くなく、街全体から生活の余裕を感じるような雰囲気がします。
そのような中に、モスクやヒジャブをまとった人、町中に響くアザーン声のなどムスリムの生活があるため、日本とは異なる独特な異国情緒を味わうことができます。
そんなバンダル・スリ・ブガワンですが、車で数分移動するだけで熱帯雨林のジャングルに到着するなど、人々の生活と自然とが融合した街でもあるのです。
アクセス
空港からバンダル・スリ・ブガワンまで早く8km離れています。
市内まで最も安くいくにはバスで1ブルネイドルで行くことができます。
タクシーという手もありますが、ブルネイはタクシーを捕まえるのが比較的難しい事情があります。
タクシーの場合は25ブルネイドルです。
その他、ブルネイ国内だけで使えるUberのような敗者サービス『Dart』という選択もあります。
バンダル・スリ・ブガワンへ行ってみた
バンダルスリブガワンは大きく4つのエリアに分かれます。
①ダウンタウン
②新興商業地区ガドン
③カンポン・アイール(水上集落)
④バンダル・スリ・ブガワン郊外
エリアごとに解説をしていきたいと思います。
ダウンタウン
バンダル・スリ・ブガワン観光はダウンタウンが中心になります。
ダウンタウンエリアは十分に徒歩で歩き回ることができます。
モスクを中心に、博物館であるロイヤル・レガリア、ヤヤサンSHHBコンプレックスをはじめとしたショッピングセンターなど、見どころの最も多いエリアでもあります。
なお、カンポン・アイール行きのボート乗り場もこのダウンタウンにあります。
スルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク(オールドモスク)

スルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク(オールドモスク)は、バンダル・スリ・ブガワンのダウンタウン中心に位置する、ブルネイを代表するモスクです。
個のモスクの名前は前国王である第28代スルタンからきています。
1958年に造られたこのモスクは、世界各国から一流品を集めて建造されており、ブルネイを象徴するような豪華なモスクとなっています。

モスクの前には、16世紀の王室御座船のレプリカが浮かんでおり、ここに渡ってモスクをながめることもできます。


モスク内は、他のモスクではなかなかできないイスラム教徒以外の人の入場もできるため、豪華な内装もぜひ見てみましょう。
Mercu Dirgahayu 60

ダウンタウンのウォーターフロントには上の写真のモニュメント『Mercu Dirgahayu 60』があります。
これはスルタンの60歳の誕生日を祝うために建てられたモニュメントなのだそうです。
ロイヤル・レガリア

ロイヤル・レガリアは1992年に建てられた博物館です。
入館は無料です。(ブルネイのは博物館は基本無料です。)
第29代スルタンの国王の戴冠25周年記念で建造されました。
建造から6年後に半焼してしまったそうなのですが、翌年にはリニューアルオープンしました。
内部は写真撮影ができません。
建物内部はかなり広く、膨大な展示品が並べられています。
第29代スルタンであるハサナル・ボルキアに関する資料を中心に、王家ゆかりの財宝などが所狭しと展示されている博物館です。
ヤヤサンSHHBコンプレックス
ヤヤサンSHHBコンプレックスは、ダウンタウン地区中心にあるショッピングモールです。
ブランド関連の店や日用品店、ファストフードやフードコートなど多くの店が入っています。
AEWON

ヤヤサンSHHBコンプレックスの中でも、お土産物屋としてお勧めなのが、AEWONです。
なかなかオシャレなたたずまいですが、こちらで販売されているお土産類はどれもデザイン性もよく、ブルネイ土産としては誰からも喜ばれるのではないかという商品が多数取り扱われています。
キアンゲマーケット

キアンゲマーケットはダウンタウンの東端にある朝市です。
地元の人向けの商品と、観光客向けの商品が並んだ、中規模の市場です。
基本的に毎朝やっているので、ガドンまで出るのが大変・・・というときには、近くて便利なマーケットです。
ユースセンター

ここはユースセンターであり、現地のブルネイの学生たち向けの施設であり、おそらく一般の観光客は訪れることがないところだと思います。
ところが、自分が訪問した時にはここでナイトフェスティバルが行われており、たくさんの食べ物やタイを学生たちが行ったりしたお祭りがあったため、せっかくの機会なので訪問させてもらいました。
こういったイベント関係があったときは、躊躇せず飛び込んでみても楽しいですよ。
ジャラン・ペマンチャ 週末マーケット

ジャラン・ペマンチャ通りでは、週末マーケットが開かれていました。
この日は歩行者天国になって、たくさんの出店が出ていました。
イスタナ・ヌルル・イマン(王宮)

イスタナ・ヌルル・イマン(王宮)は、ダウンタウンの西部にある、現国王が住む王宮です。
上の写真は、リバークルーズの際に撮影したものなのですが、ブルネイの豊かさを象徴する建物であり、その建設費は4000億円以上もしたのだそうです。
1984年に完成したこの王宮はなんと部屋の数が1788もあるのだそうです。
王宮内では1000人以上が働き、300台もの駐車ができる駐車場にはロールスロイスが並んでいるそうです。
ちなみに現スルタンは世界一の車コレクターとしても知られており、世界各国の高級車5000台を所持しています。
一般の立ち入りは普段はできないのですが、ラマダン(断食)明けのみ数日一般公開されている日があるそうです。
新興商業地区ガドン
ダウンタウンから北西に3kmほど行ったところに、新興商業地区であるガドンがあります。
商業地区であるため、ブルネイの中でも最先端のショッピングができるエリアであり、ビジネス面でも国内をリードしています。
ここのメインスポットの一つが、ショッピングモールの『ザ・モール・ガドン』と、バンダル・スリ・ブガワン訪問では外せないナイトマーケットである『ガドン・ナイトマーケット』があります。
ザ・モール・ガドン

ザ・モール・ガドンは、新興商業地区のガドンの中でも、最も大きい一大ショッピングモールです。
中には、デパート、フードコート、映画館、ゲームセンターなどなど、ほとんど何でもそろうショッピングモールです。
そして、高級ホテルも内部に併設されています。

ガドン・ナイトマーケット

ガドン・ナイトマーケットは、巨大なアーケードに覆われた約6000㎡もあるフードコートです。
ブルネイやマレーシアの人気料理、生鮮食品店、南国フルーツの店など約100店舗が常時営業しています。
色々な店で買ってきたものを、一画にあるテーブルエリアに持ち寄って食べることができます。
ブルネイ料理のほとんどはここだけで食べてしまうことができます。
基本どれも持ち帰り前提で販売されているので、そのままホテルまで持ち帰ってしまっても大丈夫です。
カンポン・アイール(水上集落)
カンポン・アイールは世界最大規模の水上集落であり、このエリアだけに42の村と13000人の人々が生活をしています。
ここは観光地ではなくあくまで人々が生活をする村の集合体なのですあり、水上とは思えないほどの様々な建造物が造られています。
学校や病院、消防署やガソリンスタンドまで、陸地にあるほとんどの施設が揃っているのです。
その起こりは今から1000年以上前でもあるといわれており、ほんの100年ほど前までは、ブルネイの人口の約半分がこの水上集落に住んでいたのだそうです。
陸地に王宮や王族が、水上に庶民がというようなすみわけになっていたのだそうです。
世界格好にある水上集落と異なる点は、貧しい人たちが集まって造られた集落ではなく、一般の庶民の人たちが住む集落ということなので、他国で見られるようなスラム感はありません。
カンポン・アイールに渡るには、ダウンタウン側ウォーターフロントからボートに乗ります。
ウォーターフロントは常にボートが客待ちをしているため、そこに乗り込むと対岸のカンポン・アイールまで連れて行ってくれます。
一階の乗船につき1ブルネイドルの明瞭会計です。


カンポン・アイールから対岸のダウンタウンのウォーターフロントまでは上の写真ぐらいの距離です。
多くのボートがひっきりなしに行き交っています。
Kunyit 7 Lodge

前述したように、あくまで普通の村が集まっているカンポン・アイールですが、近年そこにゲストハウスがオープンしました。
このKunyit7 Lodgeは、そんなカンポン・アイール生活を気軽に体験させてくれるゲストハウスです。

どうですか?
一般の家屋と全く違いが分からなくないでしょうか。
オーナーさんが優しく出迎えてくれる、カンポン・アイールのおすすめの宿です。

バンダル・スリ・ブガワン郊外
コタ・バトゥヘリテージパーク
コタ・バトゥヘリテージパークはダウンタウンから南東に道沿いに3kmほど行ったところにある、ブルネイでも珍しい遺跡などが集まっている地域です。
イセキだけではなく、博物館(全て無料!)が3つと、古くから残る廟なども見ることができます。
マレー技術博物館

マレー技術博物館は、ブルネイの人々が代々用いてきた技術を、住居模型やマネキンなどを用いて展示している博物館です。
展示室は3つに分かれており、1つ目は、カンポン・アイールの伝統的な住居について。
2つめはカンポン・アイールの伝統的な技術、第33つめは部族の伝統的な家などが展示されています。

海洋博物館

海洋博物館は、沈船から引き上げられた品々が展示された2015年にオープンしたばかりの博物館です。
この博物館があるコタ・バトゥ地域は、かつては東南アジアの貿易の拠点であったため、その当時のこの地域についての展示資料や、近海の沈船でみつかった15~16世紀ごろの陶器やガラス、象牙製品や、銅や銀製品などが展示されています。

玄関にある鯨の骨格です。
海洋博物館ではここ以外の撮影は禁止されています。

スルタン・シャリフ・アリ廟

ブルネイの15世紀に第3代スルタンであったシャリフ・アリを祀った廟です。
このスルタンは、現在の国境でもあるイスラム教を広め、国内にモスクを初めて建設した人物であるといわれています。
コタ・バトゥ考古学公園

コタ・バトゥ考古学公園は、16世紀ごにコタ・バトゥの地域が東南アジアでも有数の貿易の重要拠点だった時代の遺物が残されています。
その当時はこの地域には2万5000戸の住居があり、現在その跡地からは多くの墓地跡などが見つかっています。
中心の屋根で覆われいるのは、15~16世紀ごろのものといわれる墓地の跡です。
左に見える建物は規模は小さいですが、この地域で見つかったものなどを展示した博物館です。


スルタン・ボルキア廟

15~16世紀ごろにブルネイの第5代スルタンであったボルキアの廟です。
個のスルタンの時にブルネイの勢力範囲が最大になったらしく、ボルネオ島だけでなく、はるか東にあるフィリピン南部にまで勢力範囲を広げていった王なのだそうです。


マングローブ・リバーサファリ
ダウンタウンのウォーターフロントでうろうろしていると、ボートから『リバークルーズにいかないか?』としきりに、売り込みをしてきます。
手軽に行きたいのであれば、ダウンタウン内のツアーデスクでも取り扱っているのだそうですが、自分自身でボートの運転手と交渉してリバークルーズに行くこともできます。
どうやら、運転手同士のネットワークができているようであり、交渉する人と、実際にリバークルーズに連れて行ってくれる人とは別の人になります。
ある程度交渉もできますが、25ブルネイドルぐらいが落としどころのようです。
大体1~1時間半ぐらいで、マングローブとテングザル見学を行ってくれます。
また、カンポン・アイールもお願いすればセットで(+α必要ですが)まわってくれます。

テングザル見学

テングザルとはボルネオ島でしか見ることができない固有種の猿であり、その名の通り天狗のような鼻が特徴の猿です。
現在は15000頭ほどしか生息していない、貴重な絶滅危惧種の動物です。
そんなテングザルを気軽に見行くことができるのです。
ボートで20分ほど走ると、テングザルを見られるスポットに到着します。
ただ、野生の生き物なので出会えないこともまれにあるのだとか・・・。
両岸はマングローブが生い茂っており、その木々の上でテングザルが気ままに生活をしています。
ただし、テングザルはとても臆病な動物であるため、あまり近づきすぎると逃げてしまいます。

いかがだったでしょうか。
ブルネイ自体が小さな国ですが、ブルネイの見どころのほとんどがこのバンダル・スリ・ブガワンを中心としたエリアに集まっています。
そのため、思っていたよりも効率的に見どころを廻ることができるエリアでした。
世界一裕福な国ともいわれているように、国全体に余裕がある雰囲気を感じられます。
どこを見に行ってもゆったりと見て回ることができるのですが、経済活動もけっこうゆったりしているので、ガツガツしていない点はいいのですが、顧客サービスが細かいところにまで手が届いていないなあと思うところもありますが、それもこの国の余裕がなせるワザなのかなとも思いました。