364【ペルー紀行】これぞインカ帝国の技術力。その技術によって造られた建造物は今もなお健在『12角の石(Twelve Angled Stone)』

世界の世界遺産(World Heritage)
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かつては現在の南米にて栄華を誇ったインカ帝国
後にスペイン人による侵略によって、今はその国自体は残っていません。
しかし、高い文明と技術力を誇ったインカ帝国の遺物は今もなお健在なのです。

インカ帝国の建造物の特徴といえば、まず真っ先に思い起こされることが、その堅牢性です。
隙間なく精巧に組まれた基台の上に築かれた黄金の建物は、当時は定刻の大きさを誇示していたことでしょう。
建物自体はなくなってしまっていますが、その強固な基台にはスペイン人も目を付けます。
インカ帝国時代の基台の上に新たにスペインの町並みを再現しようとしたのです。
そのおかげか、、ペルーでは、石積みの基台の上にヨーロッパのような建物が築かれるという、世界的にみてもここでしか見られないような不思議且つ、独特な様相が街の至る所に見られるのです。

今回紹介しているのは、インカ帝国の技術力の高さをまざまざと見せつけてくる、12角の石(Twelve Angled Stone)です。
インカ帝国時代の石積みの基台の石壁の中にあるこの石は、角の数を数えると12角あり、そのすべての角と辺が隙間なく周辺の石と組み合わされているのです。

果たしてそのようなことが実現可能なのか?
実際に12角の石を見に行ってみましょう。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • クスコで発見!この複雑な形の石をよくぞここまで周りと密着させたものだ。と思わせるほどの高い技術力を目の当たりにしに行こう。

ペルーに関する記事です。

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12角の石(Twelve Angled Stone)

ペルーはクスコの町、アルマス広場にあるカテドラルの東にあるアトン・ルミヨック通りに、このクスコ南港の中でもトップクラスに有名な石があります。
石壁の中に不思議な形をした石が用いられているのですが、この石は12角の石(Twelve Angled Stone)と呼ばれています。

現在12角の石が使われている石積みの基台は宗教美術博物館の壁の一部となっていますが、もともとはインカ帝国の宮殿に用いられていたものではないかといわれています。
スペインが占領後は、インカ帝国時代の建造物はすべて破壊されますが、基台は残され、その上にスペイン人によって建物が建てられます。
クスコの町はその後、幾度となく大地震に見舞われるのですが、上に建つ建造物は倒壊してしまっても、インカ帝国時代の石組はびくともしなかったほど、その堅牢性はすさまじいものがあります。
この12角の石の特徴としては、約1メートルもの幅がある石が12角形もの複雑な形に切られているだけではなく、周囲にある石との間は、カミソリの刃すら通らないほど密着しているのです。

この石組みなのですが、その建造には接着剤の類は一切用いられていません。
その代わりに、石の内部に突起やくぼみを設けて、それらを巧みに組み合わせることで石垣を造り上げています。
日本にも複数の木材を強固に接合する木組みという技術が存在しますが、それと似たような物ですね。
しかし、インカ帝国の人々がどのようにこれらの石を削っていたかは、鉄を持たなかったインカ帝国としては謎な部分が多いのだそうです。

アクセス

クスコの町の中心、アルマス広場から東に200mほど行った、細い路地にあります。

12角の石へ行ってみた

それでは12角の石(Twelve Angled Stone)を見に行ってみよう。

クスコの空港、アレハンドロ・ベラスコ・アステテ国際空港に到着しました。
町全体が3300m級の位置にあるクスコは、さすがに呼吸のしにくさを多少感じます。

クスコの町並みです。
世界遺産の町であるため、町全体が好き放題に開発できないため、歴史ある雰囲気を十二分に満喫できます。

上の写真のように、クスコの町の建物は石積みの基台の上に建てられています。
通りの中心に排水溝があることも特徴ですね。

クスコの町の建物の特徴は、このように中心にある庭の周辺を建物が囲うような形になっていることが特徴です。

インカ時代の石積みの基台が残されています。

カミソリの刃も通さないといわれている石積みです。
実際に、紙を当ててみても、全く入る隙間はありません。

こちらはインカの石積みの内部がどうなっているか、分解して展示されています。
内部は様々な突起やくぼみの形状になっており、思っていた以上に複雑な形状になっています。
そして、この形状によって、クスコの堅牢な石積みは今もなお健在なのです。

少し高台からがめてみました。
この赤茶色の屋根による統一感が、クスコならではの雰囲気を醸し出しています。

こちらはクスコの建造物の特徴をよく表しています。
インカ時代の基台の上に、スペイン征服後の建造物があります。

アルマス広場にやってきました。
ここがクスコ観光の中心になります。
上の写真はアルマス広場のシンボル的な建物、クスコ大聖堂です。
12角の石はここを起点に、歩いて5分ほどで到着します。

それでは、12角の石に向かいます。
アルマス広場から東に向かって歩いていきます。

アルマス広場からは200mほどですので、すぐに到着します。

そろそろ到着します。

こちらが12角の石(Twelve Angled Stone)です。
実際に数えてみてください。

この石に手をかざすと、インカの象徴でもある太陽パワーが得られるとして、クスコを訪れた観光客には外せない大人気スポットとなっています。

いかがだったでしょうか。
実はこの近隣に、13角の石や14角の石なるものも存在しているそうなのですが、その中でも抜群の知名度を誇っているのがこの12角の石です。
ツアーにお願いすると必ずついてくるスポットですが、気ままな旅の際にはアルマス広場とセットでお忘れなく訪れてみてください。