世界三大宗教の一つ仏教は、アジア地区を中心に信仰の多い宗教です。
日本でも大多数が仏教を信仰していることもあり、各地に仏教関連の建造物があったり、仏教由来の言葉も多数あったりと、日本の歴史とも深いつながりがあるわけです。
そんな感覚で海外の仏教国に行くと、違和感を感じてしまうのです。
仏教は仏教でも日本のそれとはすこし趣の異なる建物、色鮮やかな袈裟、そして日本ではなかなか見られないような修行僧の厳しい生活など、同じ仏教でもかなりの違いを感じることでしょう。
それもそのはず、仏教と一言に行っても、インドで発祥してから世界各地に伝来するにしたがって様々な宗派が生まれ、現在に至るわけです。
というわけで、今回のわきみちは、
仏教
仏教とは、今から約2500年前のインドで起こった宗教であり、釈迦(ゴータマ・シッダールタ)を開祖とするものです。
その教えは、誰もが幸せに生きるための教えであり、人が生きていく中での苦悩から解放され、幸せに生きるための方法を説きました。
現在では発祥の地であるインドでは主流の宗教ではなくなってしまいましたが、アジアを中心に広がっている宗教です。
東南アジア方面へ伝わっていった宗派や、大陸を通じ中国・朝鮮半島を経て日本にも伝えられました。
その宗派を大きく分けると、スリランカや東南アジアを中心に広がっていった上座部仏教。(一昔前までは小乗仏教とも言いましたが、現在は上座部仏教と呼ぶのが一般的です。)
そして、大陸を通じて日本にも到達した大乗仏教です。
そして、大乗仏教からは密教や顕教といった宗派に派生します。
この2つの宗派の違いは、誰が悟りを開くことができるかという点にあります。
上座部仏教は、釈迦の教えを極め、悟りを開くためには出家して信者となり、厳しい修行を経なければならないという考え方です。
反対に、大乗仏教はというと、誰もが悟りを開くことができるという考えなのです。
そのため、より多くの人々が釈迦の教えを知り、救われるというものなのです。
では、現在仏教関連の建造物には何があるか、紹介していきましょう。
様々な仏教関連建造物
日本
日本は世界第二位の仏教徒数を誇る国です。
日本の仏教は大乗仏教です。
また、6世紀中ごろに日本に仏教が伝わったあと、更に宗派は細分化され、現在に至っています。
日本の仏教は大きく13宗派の伝統仏教があるのです。
・天台宗
・真言宗
・浄土宗、
・浄土真宗
・時宗
・日蓮宗
・臨済宗
・曹洞宗
・黄檗宗
・律宗
・法相宗
・華厳宗、
・融通念仏宗


中国
中国、そして台湾は世界で最も仏教徒の多い国です。
1世紀ごろに伝来したとされ、1960年代の文化大革命によって激しい弾圧が繰り広げられましたが、現在は中国政府によって保護政策が行われています。
タイ
タイは世界第三位の仏教国です。
13~14世紀ごろに仏教が伝来し、スコータイ、アユタヤなどの王朝が仏教によって国を治めようとしたため、泰では主流の宗教となってい見ました。
タイでは上座部仏教が主流です。

ミャンマー
ミャンマーは世界第四位の仏教国です。
12世紀ごろにスリランカから上座部仏教が伝来し、主流となっています。





スリランカ
スリランカは世界第五位の仏教国です。
仏教発祥の地であるインドから近いこともあり、紀元前には仏教が伝来していました。
スリランカでは上座部仏教が主流です。
過去のスリランカでは大乗仏教が主流の時代もありましたが、現在は遺跡を残すのみです。
スリランカで世界遺産に登録されている遺跡は、仏教関係のものがほとんどとなっています。


ベトナム
ベトナムは世界第六位の仏教国です。
ベトナムは日本などと同じく基本的には大乗仏教の国家ですが、中国からの影響がかなり大きかったため、中国系の授業や道教といった思想もその中に見られます。
カンボジア
カンボジアは世界第七位の仏教国です。
カンボジアでは国教が上座部仏教と定められており、国内の9割が上座部仏教徒です。
カンボジアは元々はヒンドゥー教国家だったものの、そこに仏教がやってきてヒンドゥー教と合わさったカンボジア独自の仏教が生まれたのだそうです。
国内の仏教徒率ではカンボジアは90%以上と、世界一位です。

韓国
韓国は世界第八位の仏教国です。
朝鮮半島には4世紀後半に伝来し始めます。
その後は仏教は重視されますが、李氏朝鮮時代に仏教は弾圧されます。
王朝の末期から崩壊後、仏教は復興されていき、現在では禅も念仏もというような総合仏教という形が特徴となっています。
インド
インドは仏教発祥の地ですが、世界的にみると現在は仏教徒数9位です。
インドでは大乗仏教・密教が主流ですが、インド全体を見ると8割に人々がヒンドゥー教徒です。
マレーシア
マレーシアは世界第十位の仏教国です。
マレーシアではその大多数がイスラム教徒なのですが、国民の2割ほど上座部仏教徒を主流とした仏教徒が存在します。
ラオス
ラオスでは上座部仏教が主流であり、成人男子は一回は出家をするのが当たり前、のような考えのある国です。
ルアンパバーンに代表されるような、早朝の仏教僧による托鉢の光景が非常に有名ですね。


インドネシア
インドネシアは今現在はほとんどの人々がイスラム教を信仰していますが、7世紀ごろには仏教が伝来しています。
そして今現在も、仏教はインドネシア国内では保護されており、数百万人もの仏教徒が今もなお存在しています。
ちなみに、ボロブドゥール寺院は大乗仏教の遺跡なのです。

いかがだったでしょうか。
仏教と一言にいっても、他国の仏教の様子を知らずにその国を訪れて見ると、日本の物とは大きく異なる部分があることに驚くことでしょう。
しかし、何百年もかけてインドから東の端まで到着した仏教なので、その過程で様々な宗派に派生し、それぞれの思想が発達してきたことも確かなのです。
その国が培ってきた伝統や文化を大切にしながら、同じ仏教国つながりでその違いや共通点などを見つけてみると、より仏教自体のことを深く知ることができるかもしれませんね。