420【カンボジア紀行】王の沐浴場スラ・スランと対になった寺院跡『 バンテアイ・クデイ』

世界の世界遺産(World Heritage)
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前回カンボジアの記事で紹介した王の沐浴場スラ・スラン
そして、その時に紹介していたのが、その対面にあるバンテアイ・クデイです。

410【カンボジア紀行】アンコール遺跡の中でも異色な遺跡。王の沐浴城跡である『スラ・スラン』
数多くの遺跡群がアンコールエリアにはありますが、今回紹介しているスラ・スランという場所は、他の遺跡群と比べると少し異なった遺跡です。アンコールエリアは古くからの農業を中心とした地域であり、いかにして水を確保するかが大切な場所でした。スラ・スランは、その池が貯水目的だけではなく、王のための沐浴地として整備されていたのでした。

元々は東バライの代替え施設として建造された貯水池スラ・スラン。
そして、その対面には僧院があったのだそうです。
しかし、その後その僧院はバンテアイ・クデイに。
そしてスラ・スランは王のための沐浴場として整備されたのでした。
今回はこのバンテアイ・クデイにフォーカスして紹介をしたいと思います。

アンコール・ワットと同様に、長い年月を熱帯の密林に埋もれていたアンコール遺跡群。
このバンテアイ・クデイも同様の状況であったため、激しい崩壊の状態を表しています。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • もとは僧院だった寺院跡。僧院時代の雰囲気も残る迷路のような遺跡を見に行ってみよう。

カンボジアの世界遺産に関する記事です。

525【カンボジア紀行】巨大な人工池の中心に浮かぶ人工島。そこに浮かぶ寺院『ニャック・ポアン』
アンコール・トムの北には、東西バライに比べるとその大きさはかなわないものの、大きな人工貯水池(バライ)プリヤ・カーン・バライが残されています。そしてその貯水池の陸続きになった先に寺院が残されています。この寺院をニャック・ポアンといい、寺院内にも水がたたえられている構造となっています。
520【カンボジア紀行】広大なアンコール・トムの入り口。観音菩薩の四面塔が印象的な『アンコール・トムの南大門』
アンコール地区の観光では、まずは誰しもがアンコール・ワットにまずは向かうことになると思います。そして、そこから北にあるアンコール・トムに向かうと、バイヨンで見られるような四面塔をもつ巨大な南大門が私たちを迎えてくれます。今回はそんな南大門について紹介していきたいと思います。
508【カンボジア紀行】ジャヤヴァルマン5世により建設されたが、王が死去したこっとで未完成で放置されたヒンドゥー教寺院『タ・ケウ』
今回紹介するタ・ケウは、アンコール・トムのすぐ東にあるヒンドゥー教寺院です。ピラミッド式の寺院であり、高く積み重ねられた寺院であることが分かるのですが、アンコールのほかの遺跡とは大きく雰囲気が異なるところがあります。
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449【カンボジア紀行】かつて存在した貯水池東バライの中央にあった、かつては人工の島だった『東メボン』
アンコールの東側にも、巨大な貯水池 東バライがかつては存在していたのです。現在は枯れてしまっていますが、アンコール最盛期には東西のバライによって、農業生産が盛んにおこなわれていただろうことが想像できます。そして、人工の島 西メボン同様に、この東バライにも人工の島 東メボンがあったのです。
440【カンボジア紀行】夕日鑑賞のベストスポット。アンコール遺跡群の中でも唯一の丘の上に建つ遺跡『プノン・バケン』
アンコール遺跡の中でも珍しく、丘陵の上に建てられた寺院を紹介したいと思います。今回紹介しているプノン・バケン寺院ですが、アンコール・トムのすぐ南にある小高い丘陵の上に設けられた寺院です。
430【カンボジア紀行】アンコールで唯一のギリシャ風2階建て建造物をもつ『 プリア・カン』
アンコール遺跡の中でももっとも大きな場所を占めるアンコール・トム。さらにその北には、規模はアンコール・ワットより少し小さくはなるのですが、アンコール遺跡群の中でも有名な遺跡の一つプリア・カンがあります。このプリア・カンですが、アンコールにある寺院の造りである、中央の祠堂を回廊で囲んだ形になっています。
368【カンボジア紀行】川に沿って作られたクメール遺跡。川底に遺跡が眠る異色の場所『クバール・スピアン』
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321【カンボジア紀行】塔四面に彫られた四面像が有名な『アンコール・トムのバイヨン』
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世界遺産の中でもトップクラスに有名なアンコール・ワット。ここを10年を隔てて見比べると、この遺跡がどんどんフレンドリーな遺跡になり、観光のしやすいスポットになってきていることが分かったのでした。
194【カンボジア紀行】タイとカンボジアの断崖絶壁の国境にある天空の世界遺産『プレアヴィヒア寺院』
カンボジアの世界遺産といえばアンコールワットですよね。2007年にシェムリアップとプノンペンの中間地点ぐらいにあるサンボー・プレイ・クック遺跡群が登録され、現在カンボジアには3つの世界遺産が登録されています。その残りの一つが、2008年に世界遺産登録されたプレアヴィヒア寺院です。
037 【カンボジア紀行】世界遺産タ・プローム 今昔物語
カンボジアのシェムリアップ。素晴らしい遺跡群があるこの地を、今と昔を見比べながら、その変遷をたどっていきたいと思います。

バンテアイ・クデイ

バンテアイ・クデイはアンコール・ワットやアンコール・トムの東にある寺院跡の遺跡です。
さらにバンテアイ・クデイの東には巨大な貯水池であり、王の沐浴の地であるといわれているスラ・スランが位置しています。
セットのように見えているこの2つの遺跡ですが、実際、現在の形になる前にはバンテアイ・クデイの場所にはクティと呼ばれるヒンドゥー教の僧院があり、スラ・スランはかつて存在した巨大な貯水池である東バライの代替え施設として設けられた貯水池でした。
そのため、バンテアイ・クデイは「僧房の砦」という意味があります。

しかし、12世紀末にジャヤヴァルマン7世によってバンテアイ・クデイが仏教寺院に建造される際に、併せてスラ・スランも王の沐浴場として整備され、今に至っています。

バイヨンが設けられた同時期に設けられたこともあってか、その寺院全体の構成はバイヨンと共通しています。
東塔門からテラスを抜け、東楼門から内部に入ると、ナーガが模られた欄干、踊り子のテラスがあり、中央伽藍を囲む回廊の入口である塔門が見えてきます。
中央の伽藍の周囲を四重の周壁で囲んだ構造であり、中央祠堂や経堂、塔門などの諸建築が十字形の回廊で囲まれた構成をしています。

アクセス

東バライの南、スラ・スランの西にあります。

バンテアイ・クデイへ行ってみた

それでは、バンテアイ・クデイへ行ってみましょう。

バンテイ・クデイに到着です。
もちろんこのときは、スラ・スランを訪れてからその足で訪れました。

見えてくるのが一番外側の外壁ですが、700m×500mほどの広さもあるのだそうです。
上空から見ると、アンコール・ワットの3分の2ほどの規模なので、なかなかの広さがあります。

バンテアイ・クデイの発掘、修繕の様子のようです。

進んでいくと東塔門の手前に、崩落した御堂のようなところが見えてきますが、こちらでは274体もの仏像が発見された場所なのだそうです。

東塔門を抜けるとナーガのテラスが見えてきます。

ナーガのテラスであり、上の写真の中央に見えるのが東楼門です。

東楼門を越えるとナーガの欄干に出ます。
その先に見えるのが踊り子のテラスです。

ナーガの欄干横には、瞑想のために使われていたとされる建物があります。

東楼門を振り返ってみました。

踊り子のテラスを抜けるとその先に中央祠堂を囲む回廊の入口である塔門が見えてきます。

内部に入っていきます。
高さはそれほどでもない寺院です。

比較的回廊もきれいに残っており、内部を歩くことができます。

訪れた当時はかなり修復作業が進められている最中でした。

それもそのはず、こちらをみてみると、回廊の天井部分が崩落してきており、大部分で支えが必要な状態でした。

しかし、そんな状態でも比較的自由にこの寺院内は見て回ることができます。

中央祠堂付近の壁には綺麗な状態のデバターが残っています。

回廊の内部の様子です。
それほど複雑ではないのですが、真っ暗な回廊の中は、迷路のようにも見えます。

こちらの壁にも綺麗に彫られている様子が見えます。

こちらは反対側である西側から見た様子です。
崩落具合はこちらの方がひどい様子でした。

周囲には崩落した状態のままの御堂などが残されています。
後々修復されていくことでしょう。

周辺からは中央祠堂あたりの塔がよく見えます。

しかし、近くまでよってみてみると、これらもかなり支えのある状態でした。
かなり崩落の危機があるのでしょう。

回廊と壁に囲まれた空間です。

こちらの回廊もかなり支えられています。

ここはかなり修復されたようであり、壁や柱も整然と並んでいます。

この外から回廊をみると、一直線に先が見えることがバンテアイ・クディの特徴でもあります。

いかがだったでしょうか。
まだまだ修復途中の寺院であるため、アンコール・ワットとはまた違った魅力あふれる寺院だったのではないでしょうか。
アンコール遺跡群の中ではなかなか優先度は高くはない遺跡かもしれませんが、日程に余裕がある時には、スラ・スランとともにゆっくりと訪れてほしい遺跡の一つでした。