440【カンボジア紀行】夕日鑑賞のベストスポット。アンコール遺跡群の中でも唯一の丘の上に建つ遺跡『プノン・バケン』

世界の世界遺産(World Heritage)
この記事は約5分で読めます。

アンコール遺跡の中でも珍しく、丘陵の上に建てられた寺院を紹介したいと思います。
今回紹介しているプノン・バケン寺院ですが、アンコール・トムのすぐ南にある小高い丘陵の上に設けられた寺院です。

麓からはその様子を見ることができず、登山道を登っていって初めて目の前に現れる寺院であり、他のアンコールの遺跡とは少し趣の異なった寺院です。

そして、なによりもここをおすすめする理由としては、アンコールの地域を上から見下ろすことができる唯一といってもいいほどの場所なのです。
アンコール・ワットはもちろん、遠くにある遺跡までアンコール遺跡がどのようになっているかを見渡すことができるのです。
また、高台にあることから、周囲の何にも邪魔されず、サンライズやサンセットのために多くの人々が訪れる場所でもあるのです。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • アンコール地域一帯を見渡すことができる希少な遺跡プノン・バケン寺院。ここから一味違ったアンコールの風景を眺めてみよう。

カンボジアの世界遺産に関する記事です。

637【カンボジア紀行】アンコール・トム王宮近くライ王像で有名な『ライ王のテラス』
アンコール・トムというと、四つの面全てに顔が彫られている四面塔で有名なバイヨン寺院がありますが、敷地内には王宮をはじめ、仏塔やテラスなどの様々な遺跡が残されており、アンコール・トムだけでも見どころが非常に多い場所です。今回紹介しているライ王のテラスは、そのネーミングからアンコール・トム遺跡群の中でも印象強く残る場所です。
525【カンボジア紀行】巨大な人工池の中心に浮かぶ人工島。そこに浮かぶ寺院『ニャック・ポアン』
アンコール・トムの北には、東西バライに比べるとその大きさはかなわないものの、大きな人工貯水池(バライ)プリヤ・カーン・バライが残されています。そしてその貯水池の陸続きになった先に寺院が残されています。この寺院をニャック・ポアンといい、寺院内にも水がたたえられている構造となっています。
520【カンボジア紀行】広大なアンコール・トムの入り口。観音菩薩の四面塔が印象的な『アンコール・トムの南大門』
アンコール地区の観光では、まずは誰しもがアンコール・ワットにまずは向かうことになると思います。そして、そこから北にあるアンコール・トムに向かうと、バイヨンで見られるような四面塔をもつ巨大な南大門が私たちを迎えてくれます。今回はそんな南大門について紹介していきたいと思います。
508【カンボジア紀行】ジャヤヴァルマン5世により建設されたが、王が死去したこっとで未完成で放置されたヒンドゥー教寺院『タ・ケウ』
今回紹介するタ・ケウは、アンコール・トムのすぐ東にあるヒンドゥー教寺院です。ピラミッド式の寺院であり、高く積み重ねられた寺院であることが分かるのですが、アンコールのほかの遺跡とは大きく雰囲気が異なるところがあります。
499【カンボジア紀行】カンボジアを苦しめ続ける地雷の歴史。そして、それに立ち向かい続ける人物がその歴史を伝え続ける『アキ・ラー地雷博物館』
カンボジア全域で人々を苦しめ続けてきたのが、無数に地中に埋められた地雷ではないでしょうか。カンボジアの国の中にも、地雷を除去するために地道に活動を続ける人々がいるのです。今回紹介しているカンボジアはシェムリアップにある地雷博物館を創設したアキ・ラー氏もそんな中の一人なのです。
449【カンボジア紀行】かつて存在した貯水池東バライの中央にあった、かつては人工の島だった『東メボン』
アンコールの東側にも、巨大な貯水池 東バライがかつては存在していたのです。現在は枯れてしまっていますが、アンコール最盛期には東西のバライによって、農業生産が盛んにおこなわれていただろうことが想像できます。そして、人工の島 西メボン同様に、この東バライにも人工の島 東メボンがあったのです。
430【カンボジア紀行】アンコールで唯一のギリシャ風2階建て建造物をもつ『 プリア・カン』
アンコール遺跡の中でももっとも大きな場所を占めるアンコール・トム。さらにその北には、規模はアンコール・ワットより少し小さくはなるのですが、アンコール遺跡群の中でも有名な遺跡の一つプリア・カンがあります。このプリア・カンですが、アンコールにある寺院の造りである、中央の祠堂を回廊で囲んだ形になっています。
420【カンボジア紀行】王の沐浴場スラ・スランと対になった寺院跡『バンテアイ・クデイ』
元々は東バライの代替え施設として建造された貯水池スラ・スラン。そして、その対面には僧院があったのだそうです。しかし、その後その僧院はバンテアイ・クデイに。そしてスラ・スランは王のための沐浴場として整備されたのでした。今回はこのバンテアイ・クデイにフォーカスして紹介をしたいと思います。
368【カンボジア紀行】川に沿って作られたクメール遺跡。川底に遺跡が眠る異色の場所『クバール・スピアン』
今回紹介しているクバール・スピアンはそんな遺跡の一つであり、なんとこの遺跡、実は『川底にある』のです。数多くの遺跡を抱えるカンボジアですが、このように川底や川岸に沿って遺跡が連なる場所は、おそらくここだけではないでしょうか。
321【カンボジア紀行】塔四面に彫られた四面像が有名な『アンコール・トムのバイヨン』
アンコール・トムとは、アンコール・ワットの北に造られた、寺院と王宮を中心とした王都跡の遺跡です。その広大な遺跡の中心にあるのがバイヨンであり、この王都を造った王が考える宗教観と、治政観を体現している遺跡なのです。
282【カンボジア紀行】どんどん観光客に優しい観光地に。10年の変化を見る『アンコール・ワット今昔物語』
世界遺産の中でもトップクラスに有名なアンコール・ワット。ここを10年を隔てて見比べると、この遺跡がどんどんフレンドリーな遺跡になり、観光のしやすいスポットになってきていることが分かったのでした。
194【カンボジア紀行】タイとカンボジアの断崖絶壁の国境にある天空の世界遺産『プレアヴィヒア寺院』
カンボジアの世界遺産といえばアンコールワットですよね。2007年にシェムリアップとプノンペンの中間地点ぐらいにあるサンボー・プレイ・クック遺跡群が登録され、現在カンボジアには3つの世界遺産が登録されています。その残りの一つが、2008年に世界遺産登録されたプレアヴィヒア寺院です。
037 【カンボジア紀行】世界遺産タ・プローム 今昔物語
カンボジアのシェムリアップ。素晴らしい遺跡群があるこの地を、今と昔を見比べながら、その変遷をたどっていきたいと思います。

プノン・バケン寺院

プノン・バケン寺院はプノン・バケン山と呼ばれる高さ60mの丘陵の上にある丘状ピラミッド式の寺院です。
アンコール・トムの南大門のすぐ南にあるこの場所は、地上からその姿を見ることはできないほどの場所にあり、急勾配の参道を登りきると目の前に突然ピラミッド式の寺院が現れます。
ここからは樹海の中にあるアンコール・ワットを見下ろすことができたり、アンコール・トムの西側に広がる貯水池である西バライといった、アンコール遺跡を見渡すことができる、アンコールの絶景を楽しむことができる遺跡です。
そのため、サンライズやサンセットの時間になると多くの人が集まってきます。

プノン・バケンは9世紀末にヤショーヴァルマン一世によって造られたヒンドゥー教寺院です。
アンコールの他の遺跡と異なり、自然の丘陵を活かし、その上に六層の基壇が積み重ねられ、各所に祠堂が配置された造りとなっています。

プノン・バケンの参拝は、プノン・バケン山をぐるっと反時計回りに上っていく参道を上がっていきます。
今回紹介している写真では、以前利用されていた東の急こう配の参道が使えた当時の写真です。
現在この東参道は使用することはできなくなっています。
また、300人までと入場制限があるため、サンセットなどを見たい場合は、かなり早めに訪れておく必要があります。

アクセス

アンコール・トムの南大門からを南に300m。
そこからさらに西に300mほどいったところから登山道となります。

プノン・バケン寺院へ行ってみた

それでは、プノン・バケン寺院へ行ってみましょう。

こちらは、以前利用することができた東参道の写真です。
見ての通りかなりの急勾配であり、大きな岩がごろごろしている道を登山していました。
現在は、ここから右に回って、プノン・バケン山を反時計回りに緩やかな斜面を登っていく登山道を歩いていきます。

また、ゾウに乗って頂上へ向かうサービスもあるため、興味のある方はそちらを利用してみてください。

これは東参道です。
以前はここを通っていました。
現在は閉鎖されているため、この写真と同じ写真とは思えないほど緑が生い茂はじめています。
あと数年もすれば熱帯の森林に埋もれてしまうかもしれません。

山頂に登ると東門の前には仏陀の足跡が祀られていました。
プノン・バケン寺院はヒンドゥー教寺院ですが、元々はアンコール・ワットと同様に仏教寺院だったのでしょうか。

なお現在は、参道を登っていくと、プノン・バケン寺院の南側に到着するようになっているようです。

こちらが東門から見たプノン・バケン寺院です。


さらに寺院の階段を上っていくと、5つの祠堂のある場所に到着します。
上の写真は中央にある主祠堂です。
まわりには、サンセット目的の観光客がちらほらと集まってきていました。

まわりにはも小さな祠堂が点在しています。

さて、ここからが名物のプノン・バケン寺院から眺める絶景です。

だんだんとサンセットの時間が近づいてきました。

遠く向こうに巨大な貯水池である西バライ、そして中央に浮かぶ西メボンが見えます。

こちらの方角には、遠く向こうにシェムリアップ国際空港があります。

いよいよ西の空に陽が沈み始めました。

沈んだ後の暗闇にうっすらと映るアンコール・ワットです。

いかがだったでしょうか。
アンコール観光でなかなかメジャースポットではないかもしれないのですが、いつもとは異なるアンコールの姿が見られるスポットとして、時間があればぜひ訪れてもらいたい場所なのです。