449【カンボジア紀行】かつて存在した貯水池東バライの中央にあった、かつては人工の島だった『東メボン』

世界の世界遺産(World Heritage)
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カンボジアはシェムリアップ
アンコール遺跡地区を見渡してみると、アンコール・ワットやアンコール・トムといった有名な遺跡の西側に大きな池があることが分かるでしょう。
これは西バライといい、東西8km、南北2kmにも及ぶ巨大な貯水池なのです。
その西バライの中央には、小さな人工の島である西メボンがポツンと残っています。

ところで、アンコールの地域の上空からの写真を見ると、アンコール・トムを中心に東西を左右対称にすると、西バライと同じような長方形の形がうっすらと見えるのがわかるでしょうか。
実は、このアンコールの東側にも、西バライと同様の巨大な貯水池 東バライがかつては存在していたのです。
現在は枯れてしまっているこの貯水池ですが、アンコール最盛期には東西のバライによって、農業生産が盛んにおこなわれていただろうことが想像できます。
そして、人工の島西メボン同様に、この東バライにも人工の島とそこに建つ寺院があったのです。
それが今回紹介している東メボンであり、西メボンよりもその遺跡の跡がしっかりと残っている遺跡なのです。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • かつては貯水池に浮かぶ人工の島だった東メボン。その名残が随所にみられる遺跡を見に行ってみよう。

カンボジアの世界遺産に関する記事です。

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東メボン

かつてアンコールにあった巨大な貯水池、東バライ
900年ごろに造られたこの巨大なバライは、シェムリアップ川から水が供給され、乾季であったとしてもアンコールの地域に豊富な水を供給してい増した。
ところがこの東バライは徐々に水が枯れていき、現在では水は残ってはいません。
かつて貯水池の底だったところは、現在は農業用地として使われています。

そんなかつての貯水池の中心には、貯水池に浮かぶ人工の島と寺院、東メボンがあります。
現在は、独立した一つの寺院のように見えますが、かつてはここに渡るまでには小舟で渡る必要がありました。
現在は地続きで訪れることができるようになっています。

東メボンは西暦952年、当時の王であったラージェンドラヴァルマン二世によって創建されたヒンドゥー教寺院です。
ラージェンドラヴァルマン二世は、アンコールにあるプレ・ループも建造した王でした。
東メボンに先立つ半世紀前、すでに貯水池である東バライは造営されていました。
そして、その貯水池に浮かぶ寺院としてこの東メボンが設けられたのです。

その形状はピラミッド型であり、遠くから見られることを前提として造られている寺院です。
現在の東メボンを見てみると、かつてここが水につかっていた遺跡であることがわかる跡が外側の周囲の壁に残されています。

アクセス

アンコールワットから北東に向かって10kmほどいったところにあります。

東メボンへ行ってみた

それでは、東メボンへ行ってみましょう。

東メボンにやってきました。
1000年ほど前の創建当時には、このあたり一帯は貯水池であったわけです。
現在は地続きであり、歩いて寺院まで訪れることができるようになっています。

東メボンはピラミッド型の寺院となっており、一段目の上に二段目が築かれ、祠堂が設けられていました。
四方の入口にはシンハ(獅子)の像が設けられています。

ではまずは、外側にある周壁をぐるっと見て回りたいと思います。

周囲の壁の四隅には巨大なゾウの石像が設けられています。

かつてはこの四隅のゾウが、貯水池の外側を眺めていたわけです。

次は外側の壁に注目してみましょう。

よく見ると壁の色が上部と下部で違うことが分かるでしょうか。
これが、かつて貯水池に沈んでいた部分とそうでない部分の違いを表しているのだそうです。

では中央の祠堂へと行ってみましょう。

内部にはヒンドゥー教の仮眠増が置かれていました。
けっこう内部は崩れているような感もあります。

祠堂から周囲を眺めてみました。
かつては貯水池だった周囲も、現在では木々の生い茂る密林になろうかとしています。
創建当時はここからの光景は全く異なるものだったのでしょうね。

いかがだったでしょうか。
創建当時と現在とで大きく環境が異なっている東メボン。
かつてここが水に浮かぶ寺院だったのかな、と想像しながら巡ることができる興味深い寺院でした。
ここと対になっている西バライの西メボンは、現在もなお貯水池に浮かぶ寺院として残っています。(ただし、寺院の建物などはほとんど残されていません。)
修復のために現在は入島できないという話も聞いたりしているのですが、渡ることができるようになった際は、この東メボンと合わせて訪れて見ることで、往時の姿をより鮮明に想像しながら見ることができるかもしれませんね。