東南アジアの各国に旅に行くと、近年では至る所で緑色のジャケットを着たバイクタクシードライバーを見かけることでしょう。

そのジャケットに書かれているのは『Grab』。
これはいったいなんぞや?と思われるかもしれませんが、これこそがまだ設立から10年であるにもかかわらず、東南アジア8カ国を席巻した配車サービス企業のGrabなのです。
2000年代ぐらいまでの東南アジアの旅では、タクシーは交渉制(一部メーター性もありましたが)、タクシー代金でぼったくられておおもめ…といったことも日常茶飯事でした。
しかし、スマホの普及と共にGrabといった配車サービスが一斉に普及し、東南アジアの生活インフラは激変しました。
では、このGrabとは、どういった企業であり、どういったサービスを提供しているのでしょうか。
というわけで、今回のわきみちは、
インドネシア生活についての記事です。








Grab

Grabとは2011年にマレーシアにてアンソニー・タン氏が立ち上げたタクシー配車サービス企業、MyTeksiが起源となります。
その後は本社機能をマレーシアのクアラルンプールからシンガポールから移転し、ソフトバンクによって巨額の出資を受けるなどして、破竹の勢いで東南アジアの降雨インフラを席巻していきます。
現在では、マレーシア・シンガポールはもちろん、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアでサービスを提供しています。
なぜこれほどまでに配車サービスが短期間で東南アジアを制圧できたのか。
それにはいくつかの理由があります。
自分も2000年代ぐらいまでに不満に思っていたことですが、タクシー代金が明瞭会計ではないことでした。
乗る前に料金交渉をしないといけない。
慣れない土地だと行先の支持が難しい
降車時に料金でもめることがある。
また、タクシー側からしても、いつどこで客を得られるかが不透明といった環境がありました。
バイクタクシードライバーも暇そうに大きな商業施設などの前でたむろしていたのをよく見かけました。
ところがこの配車サービスの導入によって、どのポジションの人たちもWi-Winの関係になっていったのです。
それぞれのメリット
利用者のメリット
料金はカードで前払いなので、明瞭会計且つ料金でもめない。
また、地図を使って目的地を指定するため、行きたいところが正確に指示できる。
また、利用者の評価が重要となるため、安心安全に利用できることも挙げられます。
タクシー運転手・バイクタクシー運転手のメリット
効率的に客の配車が行われるため、仕事が保証されています。
またタクシー以外に、配送やフードデリバリーなど、仕事の幅が広がりました。
そして、利用者による評価が何よりも重要になってくるため、仕事に対して真摯に向き合えるようになってきたのです。
小売店側のメリット
これまでは配達サービスなどが提供できなかった小規模なお店であっても、Grabを使うことで配達サービスを提供することができるようになり、販売機会を大幅に増やすことができるようになりました。
Grab提供者側のメリット
Grabとして、こういった生活インフラを構築することで、東南アジア全域で影響力を持つ企業になることができました。
こういったように、どの立場の人々にも大きなメリットを提供できるようになったのです。
Grabが提供するサービス

このように破竹の勢いのGrabですが、タクシー配車サービスから始まった同社は、その提供サービスの範囲を年々拡大してきています。
タクシー配車サービス『GrabCar』
GrabCarはGrabドライバーが自家用車を用いて、タクシーサービスを提供する、Grabの基幹サービスです。
バイクタクシー配車サービス『GrabBike』
GrabBikeはGrabバイクドライバーが自分のバイクを用いて、バイクタクシーサービスを提供するサービスです。
配送サービス『GrabExpress』
GrabExpressは、配送元から配送先を指定することで荷物の配送を行うことができる、パーソナル宅配サービスです。
決済サービス『GrabPay』
GrabPayはGrab内での決済に使うことができる決済サービスです。
国によっては国内独自の決済サービスなどと連携していることもあり、インドネシアではOVOと提携しています。
フードデリバリーサービス『GrabFood』
GrabFoodは、日本でも提供されているUberEatsのように、数々のレストランなどからフードのデリバリーを行うことができるサービスです。
スーパーマーケット買い物代行サービス『GrabMart』
GrabMartは、スーパーマーケットで販売している商品をオンライン上で購入し、デリバリーをしてもらえるサービスです。
これ以外にも病院と連携したサービスや金融、ホテル、アミューズメントパークなどとも連携したサービスが続々と現れてきています。
たった10年の歴史で、東南アジアの生活を一変させてしまったといっても過言ではないでしょう。
いかがだったでしょうか。
Grabがいかに人々の生活インフラとして欠かせないものになってきているかがわかったでしょうか。
しかし、Grabも安心してはいられません。
同様の企業が各国で表れ、シェアの奪い合いの様相が見えてきているのです。
インドネシアではGrabと双璧をなすのが、インドネシア発の企業であるGojekです。
ほぼ同様なサービスを提供する両社ですが、お互いにしのぎを削り合っています。
インドネシア国内でインドネシアの人々に人気なのはGojek。
海外からやってきた人々などに人気なのがGrab。
といったところでしょうか。
しかし、これから10年先、このシェア争いはどのようになっていくのでしょうか。予想はできませんね。
