様々な建造物の残るブハラの町。
これまでにもイスラム教のモスクやメドレセ、ブハラ・ハン国時代のアルク城跡など、いろいろな建造物がありました。
そんなブハラの町の北西端には、丸い屋根のドームや円錐形のドーム、それが一つの建物の上に立ち並ぶアンバランスな建物が見えてきます。
もともとあったドームのところに、あとから形の異なる建物がどんどん増築されたのでこのような建物になったのだそうです。
ここは、チャシュマ・アイユブという建物であり、預言者ヨブの伝説が残る場所なのです。
ここに残る伝説とは、預言者ヨブによって泉が湧き出た場所として言い伝えが残っているのですが、今もなお中にはこんこんと水が湧きだしているのです。
チャシュマ・アイユブで湧き出す水は眼病に効くということから、かつては人々によって飲料としても使われていたここの水なのですが、現在は残念ながら飲料として活用することはできません。
(現地では飲料として使っている人もいるのだそうですが、旅行者は飲まないほうがよいでしょう。)
しかし、ブハラを訪れた人々はここの水で顔を洗うことで身を清め、祈りをささげているのです。
そんな伝説として伝わってきた光景が今もなお実際に目の前に存在する貴重な場所なのです。
というわけで、今回のわきみちは、
ウズベキスタンのブハラに関する記事です。









チャシュマ・アイユブ
ウズベキスタンはブハラ旧市街地の中心から北西にある、アルク城。
そこを西に進んだところに、以前紹介したイスマイール・サーマーニ廟があります。
イスマイール・サーマーニ廟のあるイスチロハット公園を北に抜けると、面白い形をした建物が見えてきます。
ここはチャシュマ・アイユブという建物です。
チャシュマ・アイユブという名前は、旧約聖書に登場する預言者であるヨブのチャシュマ”泉”という意味であり、『ヨブの泉』という意味があります。
砂漠に広がるブハラの町。
かつて人々が水不足によって苦しんでいた時に、預言者ヨブが杖でこの場所をたたいたら泉が湧きだしたという伝説が残っています。
12世紀ごろ、この場所に泉が湧き出たのだそうです。
14世紀になるとその場所に現在残るドームの真ん中の部分が築かれました。
その後、16世紀に前方のドームが増築され、その後も19世紀にかけて何度も後から増築が繰り返されていったため、現在のような面白い見た目のアンバランスな建物となりました。
ここで湧き出す泉が眼病に効くということであったため、ここには湧き出した水を汲むため多くの人々が訪れる場所なのでした。
ところが、疫病がまん延してしまったこともあり、ここで水を汲むことが禁止されてしまったことで、現在も水を汲むことはできません。
今でも中には泉が湧きだしており、巡礼に訪れた人々は、この水で顔を洗い清めています。
また、内部は博物館にもなっており、水に関する道具類などが展示されています。
アクセス
ブハラの西にあるイスチロハット公園を北に抜けたところにあります。
チャシュマ・アイユブへ行ってみた
それでは、チャシュマ・アイユブへ行ってみましょう。

ブハラの町を北西に向かって歩き、イスチロハット公園を北に抜けると、上の写真のような不思議な形の建物が見えてきます。
横から見るとそこそこ大きな建物ですね。

チャシュマ・アイユブのすぐ前には、これまた不思議な形をしたイマーム・アリ・ブハリ記念館があるので、すぐにわかるでしょう。

こちらが正面になります。
それでは中に入ってみましょう。
内部は博物館になっています。
時折扉が閉まっていて入れないこともあるそうです。

内部はこのように水が湧きだしており、顔を清めることができるようになっています。
飲料にはできないようなので注意が必要です。
現在はさらに作り替えられており、きちんとした蛇口も設置されているのだそうです。
ウズベキスタンでもほかの場所ではなかなか見られない建物ですね。

内部は博物館にもなっています。
これは、初期の頃のチャシュマ・アイユブの建物のようです。
ここから年代が進むことで建物が増築されていくことになります。

徐々に建物は増築されていきます。
模型も現在の建物に近くなってきましたよね。

他にも展示がたくさんあり、かつて使われていた皮の飲料水袋などが展示されています。
とにかく水に関わる展示が多いですね。

この一画はスザニが飾られていました。
いかがだったでしょうか。
ブハラの町は、本当に様々な建物が残されています。
規模としても大きな町ではないので、いろいろと探し回ってみると、これまで受け継がれてきた歴史の跡がたくさん残されています。
そういったタイプの異なる見どころをたくさんめぐってみてもいいですね。