507【映画あれこれ】イギリス統治時代のインドが舞台。この時代の女性のおかれた立場がよくわかる伝説的な女優『マドビ・ムカージ』

映画あれこれ(Movie)
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世界のいろいろな国に興味関心が出てくるきっかけはいろいろとあります。
普段読んでいた本に出ていた写真。
テレビで映っていた光景。
人づてに聞いた話。

いろいろときっかけはあるのだろうと思います。
そういった何気ないきっかけをキャッチできるアンテナの高さはいつでももっておきたいものですよね。
今回は、そんな旅につながるきっかけの話なのです。

昨今はオンデマンドビデオサービスがとてもメジャーになってきているため、多くの方々が利用されているのではないでしょうか。
NetflixやHulu、U-NEXTなど、日本国内だけではなく、海外からも利用できる方法があったりするので、見たいときに見るというスタイルがとても一般的になってきました。
自分も利用はしているのですが、気軽に利用できるのがAmazon Primeではないでしょうか。
もともとは配送料のためにというところもあったのですが、動画配信サービスに音楽配信サービス、書籍配信サービスもあったりと、かなり使い勝手はよいのです。

そして、そういったオンデマンドビデオサービスの中では、いろいろな動画が提供されているために、全く知らなかったような動画も目に入ります。
たくさんのサムネイルを見ていると、その中には目に留まるものもあったりするのです。

今回紹介しているのは、そんなオンデマンドビデオサービスで目に留まったある映画作品と、そこから知ったとあるインド人女優であるマドビ・ムカージについて書いていきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 旅につながるきっかけは映画からも。これまでとは少し違った視点からの紹介記事を書いていきたいと思います。

映画に関する記事です。

944【映画あれこれ】イタリアの一都市を襲った恐怖の天災の中で生きた人々を描いた『ポンペイ』
今回紹介している映画は『ポンペイ(Pompeii)』といいます。もちろんそこの登場人物などは架空の人物なのですが、ポンペイで行われていたかつての人々の生活の様子や、ポンペイを襲った大災害の様子など、リアリティあふれる映像で見ている人に伝えてくれる映画となっているのです。
923【映画あれこれ】ローマ法王にかかる重圧。そしてそこにある苦悩を描いた『ローマ法王の休日』
ローマ法王になるということはどういうことなのでしょうか。そんな世界中の人々が知っているけれど、実際にどうやってその立場になるのか。どんな生活をしているのか。そんなローマ法王の事実をコメディ映画として取り扱っているのが映画『ローマ法王の休日』です。
902【映画あれこれ】原爆投下からわずか8年。この出来事を風化させまいとした人々によって作られた映画『ひろしま』
原子爆弾を取り上げた作品の中でも、原爆の悲劇からわずか8年後という時代に、実際に広島での原子爆弾の様子を目の当たりにした多くの一般のエキストラの人々が参加した映画があります。その映画を『ひろしま』といいます。
881【映画あれこれ】インドネシアを震撼させた大虐殺事件を取りあげた映画『アクトオブキリング』
インドネシアは世界でも最大のイスラム教徒人口を誇る国です。それ以外の宗教の人たちには暮らしにくそう・・・。と思ってしまうかもしれませんが、インドネシア国内には、キリスト教の人も、ヒンドゥー教の人も、仏教の人もいます。そして、国の祝日にはそれらのイスラム教徒は違う宗教の特別な日も、国家の祝日として制定されるほどなのです。厳格なイスラム国家とは少し雰囲気が違いますよね。
860【映画あれこれ】インドのムンバイ同時多発テロを取り扱った映画『ホテルムンバイ』
た世界を震撼させた事件は、映画化され後世に語り継がれていく場合があるのです。今回紹介している映画もとあるテロ事件を紹介したものです。その映画とは、ホテルムンバイといい、2008年に起きたインドのムンバイ同時多発テロを取り扱った映画なのです。
839【映画あれこれ】実際の事件を取り上げたドキュメンタリー映画。まさか現代にこのようなことが…『奴隷の島、消えた人々』
今回紹介している映画は、『奴隷の島、消えた人々』。ドキッとしませんか、このタイトル。"奴隷"という言葉が印象的なこの映画のタイトル。いかに古い時代の話なのかなと思いきや、その詳細を見てみると、意外や意外。この映画は実際に2014年に発覚した韓国でのとある事件を取り扱った映画なのです。
818【映画あれこれ】もはや説明の必要のないほどの名作映画。映画と旅とがつながったのはここからかもしれない『ローマの休日』
今回紹介している映画は、日本では1954年に公開されたこの映画ですが、この映画を見て、映画の中で出てきた様々な舞台を巡りに行く!という行動に出た人々も多かったと聞きます。その映画の名前を『ローマの休日』といいます。
797【映画あれこれ】かの有名なこの人物を、一人の少女として新たな角度から映画化した『マリー・アントワネット』
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない。」このセリフを聞いたことがあるのではないでしょうか。誰のセリフだったかなあ、と思い返してみると、歴史上のとある悪女が浮かんでくる緒ではないかと思います。その人物こそが、フランス国王ルイ16世の王妃だったマリー・アントワネットです。
755【映画あれこれ】1950年代のサイゴンが舞台。10歳で奉公に出た少女の成長と人々との交流を描いた作品『青いパパイヤの香り』
今回紹介しているのは、ベトナムの大都市であるホーチミンシティがまだサイゴンと呼ばれていた1950年代のベトナムを取り扱った映画です。その映画の名前は、『青いパパイヤの香り』といいます。
522【映画あれこれ】今の時代ではありえないかもしれないが、人が自分の力で生きるためにはありだったのか『フリークス』
今回ふと目に留まったとある白黒映画。その映画なのですが、邦題では『怪物園』、原題では『フリークス』といい、サムネイル画像には下半身がなく、手だけで体を支える人物の画像が。あまりにも強烈なその画像が気になり、この映画を閲覧してみましたが・・・
573【映画あれこれ】同じ民族が引き裂かれた悲劇の戦争、朝鮮戦争。ある兄弟の姿を通して戦争の現実を物語る『ブラザーフッド』
映画『ブラザーフッド』は、朝鮮戦争に翻弄されたある兄弟を取り扱った映画なのですが、ストーリーとしてはフィクションであり、実際には起こりえないだろうという点もあったりするため、賛否分かれる映画です。ただ、戦争が同じ民族、家族、恋人たちを引き裂き、多くの人々の心の中に傷を残した戦争の雰囲気は十分に伝えてくれる作品だと思います。
555【映画あれこれ】ベトナム戦争時、アメリカはこの国の中でどのような立場だったのか『グッドモーニング、ベトナム』
ベトナム戦争真っただ中のサイゴン(現在のホーチミンシティ)でアメリカ兵のためにラジオ放送を行っていたある空軍兵且つラジオDJの視点から見たベトナムを描いた作品『グッドモーニング、ベトナム』です。このストーリーは実在の人物の体験に基づいて描かれており、ベトナム戦争のまた違った一面を見ることができる映画なのです。
537【映画あれこれ】ポル・ポト政権下のカンボジアでの実話。この国を襲った歴史の一端が見える『地雷を踏んだらサヨウナラ』
ポル・ポト率いるクメール・ルージュによって激しい内戦状態に陥っていた1970年代のカンボジア。そのような状況下にあったカンボジアに単身乗り込み、カンボジアの実情を伝え続けたのが一ノ瀬泰造氏なのです。そんな一ノ瀬泰造氏の半生を映画化したものが、今回紹介している、『地雷を踏んだらサヨウナラ』です。

マドビ・ムカージ

マドビ・ムカージは1942年生まれのインド人女優です。
数々のインド映画に出演し、インドの映画界では偉大な人物の一人として知られています。

1942年というとインドがまだイギリス領インド帝国であった時代です。
イギリスが数々持っていた植民地の中では最も重要な場所ともいわれていました。

子役時代から映画出演していたマドビ・ムカージは、その後も数々の映画に出演していきます。

そんな中、1960年代初頭に、マドビ・ムカージはサタジット・レイと出会います。
そして、同氏の映画に採用され、出演していくようになります。
このサタジット・レイによって撮影された映画の中に、『チャルラータ』そして『ビッグシティ(Mahanagar)』という白黒映画があります。
この2本のマドビ・ムカージ映画がオンデマンドビデオサービスで配信されていたのです。

これらの映画では、インド帝国時代に女性がどのような立場で生活をしていたのか、映画を通して当時の時代状況を表現しているのです。

チャルラータ (1964)

映画『チャルラータ』は、インドがイギリスの支配下にあった1880年を舞台にしています。
ある新聞社の社長である、上流階級の知識人であったプパティ。
そして彼には、若くて美しく知的な妻であったチャルラータ(マドビ・ムカージ)がいました。
チャルラータ裕福な生活の中で何不自由なく生活をしていますが、年中多忙であった夫は妻のための十分な時間がありません。

チャルラータはいつもそんな生活の中で、興味のあった芸術や文が、誌などを嗜みながら退屈を持て余していました。
そんな中で、プパティの従兄弟であるアマルが訪ねてきます。
年齢も近く、チャルラータと同じく文学に興味のある彼との出会いは、チャルラータの心境に大きな変化をもたらします。

そんな中でプパティの経営する新聞社にある事件が起こります。
それもあり、チャルラータの前から去るアマル。
アマルに対するチャルラータの気持ちに気付いたプパティ。
そして物語はクライマックスに向かっていきます。

この映画の中では、イギリス統治下インド帝国時代のインド人上流家庭の様子を見ることができます。

ビッグシティ(Mahanagar) (1963)

映画『ビッグ・シティ』は、インドがイギリスの統治下から独立した直後、1953年のカルカッタを舞台にした映画です。
中流階級にいた女性が、変化していく社会、女性として社会の中に進出していく様子を表した映画です。

マドビ・ムカージ演じるアラティは、銀行の係長であるスブラタを夫に持つ主婦でした。
ところが、そこに病気の父親も抱えることになり、家計のために外で働かざるを得ない状況になります。
ところが、当時のインドは、主婦が外で働くということは考えられないような時代。
反対もあった中で、自ら働くことで、徐々にアラティは働くことに対して才覚を発揮していくことになります。

ところが、夫のスブラタの勤める銀行が倒産してしまい、アラティが家庭内で唯一の働き手となります。
スブラタはアラティを働かせたくはないものの、家計のためには仕事を続けさせるしかない状況になってしまいます。

社会的に転落しきったところで男が気付くのは、インドにおける女性の地位についての現実でした。
今もなお根強く差別の残るといわれているインド。
そういいった社会の問題点に対して、これほど早い段階から警鐘を送っていた映画なのでした。

いかがだったでしょうか。
インドの映画というと、ダンスムービーしか思い浮かばなかった自分が恥ずかしいです・・・。
偶然とはいえ、サムネイルがふと目に留まり、この映画の存在を知ったことで、歴史の授業で習った以上の、生のインドが経てきた姿を知ることができます。
おそらく遠くない将来、再びインドの地を訪れることがあると思います。
インドの歴史をどれだけ知っているか、ということは、同じくインドを訪れたときに見るべき視点も変わってくることだと思います。
映画から得られる知識は侮りがたしですね。