カンボジアはシェムリアップ。
アンコールエリアにはまだまだ遺跡が残されています。
今回紹介するタ・ケウは、アンコール・トムのすぐ東にあるヒンドゥー教寺院です。
ピラミッド式の寺院であり、高く積み重ねられた寺院であることが分かるのですが、アンコールのほかの遺跡とは大きく雰囲気が異なるところがあります。
それは、他の寺院などではよくみられる壁面の彫刻がほとんど見られないのです。
そのため、どちらかというと物悲しい雰囲気も感じたりするのですが、なぜ壁面の彫刻がないのかというと、この遺跡が未完成であるということが挙げられます。
なぜタ・ケウは未完成なのか?
それにはいくつかの説があるようなのです。
というわけで、今回のわきみちは、
カンボジアの世界遺産に関する記事です。












タ・ケウ
カンボジアはシェムリアップ、アンコール・トムのすぐ東側、アンコール・ワットからは北東に位置する場所に、ヒンドゥー教寺院であるタ・ケウ(プラサット・ケウ)はあります。
10世紀末から11世紀初頭に、当時の王であったジャヤバルマン五世によって建造されたピラミッド型の寺院です。
高さは約50mもあり、なかなかの威圧感があります。
タ・ケウという名前は、”タ”=おじいさん、という意味があるため、『ケウおじいさん』という名前を持っています。
同様に、タ・プロームやタ・ソムといった他の寺院も同じ意味を持っています。
また、『クリスタルの古老』という意味も持っています。
ジャヤヴァルマン五世が建造を始めたこの寺院ですが、実は未完成のまま現代まで放置されています。
その原因は、ジャヤヴァルマン五世が寺院の建造途中に突然亡くなってしまったためと考えられています。
また、王の死後に国で内乱があったため建造を続けることができなくなった、中央祠堂への落雷を神の怒りだと信じてしまったため、といった建造中止の理由も言われていますが、本当のところはまだわからないようです。
寺院の構造は、二重の回廊がある内側にピラミッド型の寺院がそびえています。
かつては回廊の外には水の張った環濠もあったのではないかと考えれれています。
そのピラミッド部分には、シヴァ神が祀られる中央の祠堂と、その四方に副祠堂が配置された寺院となっています。
ピラミッド型に石材が積み上げられた状態で未完成のまま放置されていることが見てみるとわかります。
特に、タ・ケウがほかの遺跡などと雰囲気が大きく異なる点は、壁面の彫刻がほとんど見られないことです。
これも未完成のまま放置されたためなのですが、このことからも当時の寺院建造が、石材を積み上げてから壁面彫刻が施されていたことなどから、当時の建築工程がわかる遺跡として、貴重な遺跡とされています。
現在は崩落したところを修復する作業などもしっかり行われているため、今後もきちんと管理され、構成に受け継がれていくことができるでしょう。
アクセス
アンコールワットから北東に向かって6~7kmほどいったところにあります。
タ・ケウへ行ってみた
それでは、タ・ケウへ行ってみましょう。

こちらは南側の入り口になります。
タ・ケウの正門は東側になるそうなのですが、東側入り口が森に囲まれたところになるため、通り沿いにある南側から案内されることがほとんどだそうです。

回廊の壁ですね。
窓のように見えますが、全て偽窓です。

こちらがタ・ケウの東側入り口になります。
東側はここから参道が伸びていて、500kmほど先にかつてあった人工池東バライにまで続いていました。

年代を経て崩壊してきているだけではなく、もともと建造途中で中止されてしまったため、石材を積まれたままの荒々しい感じが残っていますね。

50mほどの高さを登っていき、中央祠堂へやってきました。



中にはシヴァ神が祀られています。
きちんと手入れがなされており、お祈りもできるようになっています。

中央祠ら堂から見下ろしたところです。
高さがあるのが分かるでそうか。
そして、おそらく寺院建造に使われる予定だったであろう石材が散乱していました。


いかがだったでしょうか。
アンコール地域には本当に様々な形状の寺院が残っているため、様々な発見がありますよね。
当時の人たちの感性によって、ばっちり仕上がった建造物もよいのですが、タ・ケウのように未完成であるからこそ、後世の人々に伝えられることもたくさんあるのです。
そんな遺跡を見て回ることで、当時の人々が寺院建造にかけた思いを感じ取ってみてもいいかもしれませんね。