569【城ノウハウ】お城の足元には、思いもよらない重要な歴史的価値が埋もれているのです『石垣』

百名城/続・百名城(Castle)
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お城を見に行くと、どうしても華やかな建造物の方に目を奪われますよね。
実際、現存している天守や櫓、御殿などを目的にお城巡りをする人は多いかと思います。
特に、現存している建造物となると本当に貴重なものですから、その価値がいかに高いかは誰もが知ることでしょう。
しかし、それと同等に価値があって、なおかつ日本全国に数多く現存しているものがあるのですよ。
ほら、あなたの足元に。
そう、それは石垣です。

今回は、お城に行ったらどこにでも必ずある石垣について書いています。
お城についたらどうしても建物に目が行きますが、足元にとてつもない価値をもったものが残っているのですよ。
しかも、石垣をよく見てみると、使われている石の形や積み方、出来上がった石垣の勾配など、よく見てみると、それぞれの石垣には様々な特徴があり、そこから年代や築城主の考えなどがわかったりすのです。
そういった特徴を知ったうえでお城巡りに行くと、また一つ楽しめる見どころが増えると思いませんか?

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • お城のもう一つの見所、石垣。ただの石垣と侮ることなかれ。時代を経るにつれて、様々な工夫が施されてきたのです。

石垣とは

石垣とは、城の周囲や土台として石を積んで組まれた石の壁です。
日本では数多くの石垣が城の土台として組まれ、今もなお数多くの石垣が現存しています。
この石垣にも歴史があります。

その昔、中世の頃に砦や城を築いた時には、その周囲や土台には土を盛って造った土手である土塁が主に用いられていました。
掘って盛り上げれば造ることができ、その形状も急斜面をつけたり比較的簡単に工夫したものにできたことから、主に関東地方などを中心に土塁が築かれていました。
ところが、防御力は非常に高い土塁ですが、如何せん土を盛って造られたものであるため、続く雨などにはめっぽう弱く、常に修復作業に追われるような面がありました。

そこで、土塁に代わる強固で維持管理の面でメリットのある石垣が造られるようになり、だんだんと城造りのスタンダードになっていきます。
ちなみに、石垣は表面から内部まですべてが石組なわけではなく、表面に施された石垣の裏側には、たくさんの細かな意思がぎっしりと詰め込まれ、隙間を埋めたり、排水を良くしたりする役割があったりします。

そんな石垣なのですが、もちろん最初から完璧な石垣ができていたわけではありません。
いろいろな手法が試行錯誤され、だんだんとよりよい石垣へとつながっていったのです。

どのような場所に、どのような石垣を組むのがよいのか。
使用する石の材料はどうするのか。
石の形は自然石のまま使うのか、それとも加工するのか。
より崩れにくい積み方はどうしたらいいのか。

こういった試行錯誤の結果、崩れにくく、防御性が高く、見た目にも威圧感を与える石垣が完成していきました、
そんな石垣なのですが、見るときに注意してみてほしいポイントは、石の加工方法と積み方です。

石の加工方法

石の加工方法にも時代を経た工夫が見られます。
大きくは3つの種類があります。
・加工していない石を用いる野面積み
・石を砕いて表面を平らにして用いる打込接(はぎ)
・完成後の石垣から逆にサイズや形を計算してつくった石を用いた切込接(はぎ)

これらも年代によって違いがあります。
もちろん、最も古いのが天然の意思をそのまま用いる野面積です。
石の加工が必要ではない分、実際に石垣として積むときに熟練の腕がないと強度的に問題が出てきます。
その反面、石と石との間隔がたくさんあるため、排水面ではメリットがあるというところもあります。
雨に悩まされるような地域であれば、あえてこの方法をとる場合もあるかもしれませんねん。

石を加工する理由は石と石との隙間をなるべく小さくするために行われます。
打込接になるとかなり隙間は少なくはなりますが、まだまだなくなるわけではないので、小石などでその間を埋めたりします。
そして、切込接にまでなると、計算の上で石垣が積まれることになるので、隙間すらもコントロールできるようになるのです。
それはまるでパズルのようでもありますが、職人の腕の見せ所なのです。

石の積み方

3つの石の種類がありますが、それらを積む方法が2種類あります。

一つ目の積み方は乱積であり、その名の通り、そのまま積み上げていく方法です。
野面積みでは、規則性なくどんどん積み上げていくことになります。
打込接の場合はどうしても隙間が出てしまいますが、その隙間は小石などで埋め合わせます。
切込接の場合は隙間は出ませんが、使われる石のサイズは大小さまざまです。

もう一つの積み方が布積です。
これは乱積と違って、横のラインを合わせて積んでいくため、非常に規則性のあるきれいな仕上がりになります。

石垣の隅石の積み方

石垣の隅にあたる部分は特に強度を考えなければいけません。
積み方を一つ間違えると強度が得られず、簡単に崩落してしまうからなのです。
そのため考えられた方法というのが、算木積みという隅石の積み方です。
簡単にいうと、直方体になっている石を互い違いに積み上げることで強度を得る方法です。
この方法は、戦国時代も終わった城造りの後期に発展したものであり、ここを見ることでだいたい関ヶ原の戦い前か後かということがわかるのだそうです。

そのほかの見所

転用石

石垣づくりにはとにかくたくさんの石材が必要です。
しかし、なかなか材料となる意思がそろわない場合は、墓石や五輪塔などを寺社から集めることもよくあったのだそうです。
そういった石は、転用石と呼ばれています。
中にはお地蔵さんが使われていたり、古墳の石棺が使われていたりということもあります。

刻印石

石垣で使われている石の中には不思議な模様が描かれているものがあります。
石垣づくりはいろいろな経緯があって行われますが、中でも天下普請で時の権力者の命によって石垣づくりを行うようなときには、だれがどこの部分を担ったか、アピールすることが大切です。
また、自分たちがせっかく集めてきた石材を横取りされても困りますよね。
そのため、石垣で使われている石には、自分たちのものだということがわかるような刻印やサイン、記号などが書かれていることがよくあるのです。
こういった石を刻印石といいます。
こういったところも石垣を見るときに楽しめそうですね。

いかがだったでしょうか。
石垣もまた、城見学の際に魅力的な要素であることが分かったでしょうか。
こういった石垣に対する基礎知識を持って城めぐりに行くと、より楽しめるポイントが増えてきそうですね。