573【映画あれこれ】同じ民族が引き裂かれた悲劇の戦争、朝鮮戦争。ある兄弟の姿を通して戦争の現実を物語る『ブラザーフッド』

映画あれこれ(Movie)
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我々の祖先を巻き込んで行われた大きな大戦、第二次世界大戦。そして太平洋戦争。
多くの犠牲者を出し、その後の国のあり方を大きく変えた戦争でした。
日本自体はその後、大きな戦争が起きてはいないのですが、世界で見ると、第二次世界大戦後もあらゆるところで戦いは繰り広げられてきました。
そして、日本のすぐそばにある朝鮮半島でも、第二次世界大戦が終結したのちに国を二分する大きな戦争がありました。
それが朝鮮戦争です。

同じ民族が2つに分かれ、お互いに戦い合ったという悲しい戦いの歴史なのですが、日本も全く無関係ではないのです。
朝鮮戦争は資本主義陣営であるアメリカと、共産主義陣営であるソ連との代理戦争の意味合いを持っていました。
そのため、資本主義陣営に組み込まれていた日本は、この戦いの後方支援としてアメリカ軍の下請けとして間接的にこの戦いに関与していました。
その後、この軍需特需を利用して、日本の経済が復活につながったことはよく知られています。

では、私たちはこの同じ民族が争い合った戦いについてどこまで知っているのでしょうか。
実際、自分も、この戦いがどのようなものだったのか、歴史でも詳しく習ったわけではなかったので詳細までは知ることはできずにいました。
そんな折に出会ったのが今回紹介している映画『ブラザーフッド』です。
この映画は、朝鮮戦争に翻弄されたある兄弟を取り扱った映画なのですが、ストーリーとしてはフィクションであり、実際には起こりえないだろうという点もあったりするため、賛否分かれる映画です。
ただ、戦争が同じ民族、家族、恋人たちを引き裂き、多くの人々の心の中に傷を残した戦争の雰囲気は十分に伝えてくれる作品だと思います。

今回は、この朝鮮戦争を取り扱った映画『ブラザーフッド』について調べてみました。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 同じ民族が争うとはどういうことなのか。映画を通して、近代に実際にあった朝鮮戦争について考えるきっかけにしてみよう。

映画に関する記事です。

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ブラザーフッド

映画『ブラザーフッド』は、2004年に公開された韓国映画です。
チャンドンゴンやウォンビンといった、日本でもよく知られた俳優が起用されたということでも有名である映画です。
この映画が取り扱っているのは、1950年に勃発し、民族を二分して多胎が繰り広げられた朝鮮戦争を取り扱っているものです。
その時代を生きたある兄弟が、戦火に巻き込まれ、それぞれの人生が戦争によって狂わされていった様子がまざまざと表現されています。

この物語は、現在の韓国で、朝鮮戦争の戦場跡の発掘作業中に、ジンソクという名前の入った万年筆が見つかったところから始まります。
そこに連絡を受け、心当たりのあったジンソク氏が、その発掘現場に向かうところから始まります。

この物語の主人公は、靴職人を目指す兄のジンテ(チャンドンゴン)と、高校生の弟ジンソク(ウォンビン)の兄弟です。
2人はソウルで暮らす、貧しいながらも日々を幸せに一生懸命生きているごく普通の兄弟でした。
兄ジンテは、父の亡き後、弟ジンソクを大学へ進学させるために精一杯毎日働き続けていました。
そんな平和で穏やかに過ごしていた兄弟を含むソウルの町の人々でしたが、1950年6月に勃発した朝鮮戦争によって打ち砕かれます。

朝鮮人民軍が攻め込んだソウルの人々は、南に向かって逃亡を始めます。
ところが、その途中に弟ジンソクが韓国軍の強制重用よって連れていかれてしまい、強制的に入隊させられることになります。
弟が捕まってしまったことを知った兄ジンテもつれていかれてしまうことになりますが、自ら志願して韓国軍に入り、弟を軍から助けようとします。
しかし、何の実績も階級も持たない人間の言うことを誰も聞く耳は持ちません。
そのためには、自らが武勲をあげ、大きな力を手に入れるしかないと考える兄のジンテ。
ジンテは自ら危険な戦場に志願し、数々の手柄を上げていきます。
すべては弟を軍から除隊させるために。

ところが、弟ジンソクにはその真意は伝わっていませんでした。
軍に入った兄は、自ら手柄を立てるために正気を失ってしまったかのように感じていました。
兄弟の思いが通じあうことがない中で、中国人民軍の参戦によって戦禍はさらにひどくなっていきます。
再びソウルに戦火が迫っていることを悟った兄弟は、ソウルに戻り兄ジンテの恋人や兄弟の家族を救おうとします。
しかし、そのさなかで兄ジンテの恋人は全く身に覚えのない共産党狩りによって射殺され、兄弟も監禁拘束されてしまいます。

再び引き裂かれた兄弟でしたが、兄ジンテは弟が中国人民軍の捕虜たちと一緒に処刑されたという話を聞き、焼け落ちた牢屋の中でジンソクの万年筆を見つけてことで我を忘れ狂気に及びます。
ところが実際は弟ジンソクは、幸運が重なり生き延びていたのでした。
そんなことは知る由もない兄ジンテは、弟を殺害した国に対して復讐をするために、朝鮮人民軍の一員として戦地で戦い続ける道を選びます。
そんな折、兄ジンテの手紙を読んで兄の真意を知った弟ジンソクは、激戦のさなかに赴き、兄との再会を果たしましす。
しかし、そんな再開もつかの間、激戦から弟を逃がすために兄ジンテはその地に散るのです。

そして場面は映画の最初に戻ります。
戦地で倒れこんだ兄ジンテの体が、現代の発掘された遺骨と重なります。
兄ジンテと現代で出会った弟ジンソク。
二人の何十年もの時間を経た再会がなされたのでした。

いかがだったでしょうか。
物語の内容はフィクションであり、実際にはありえないような脚色があったりもするのですが、同じ民族同士が戦うという恐ろしさが十分に描かれているのではないかと思います。
敵と味方が入り乱れる戦闘。
そこに中国やアメリカの攻撃も加わり、小さな半島がさながら地獄のようになっていたことでしょう。
人々の小さな幸せですら奪ってしまう戦争。
人々がそういった現実を忘れないようにすることと、歴史に対して興味を向けるきっかけとしては、非常に見る価値のある映画だと思いました。