兵庫県丹波篠山市。
かつての篠山市と呼ばれていた町の中心部には、当ブログでも何度も取り上げたように、まるでここだけ歴史が止まったしまったかのような城下町が残されています。
この地域のすごいところは、城下町が残されているだけではなく、今もまだ多くの市民によって活用され続けているというところが挙げられます。
今回紹介する現在は美術館として利用されている建物もそんな篠山の歴史を感じさせる場所なのです。
木造建築のこの立派な建物は、現在は丹波篠山市立歴史美物館となっています。
しかしこの立派な建物、もともと美術館を目的として建てられたものではありませんでした。
なんとここは、日本最古級の木造裁判所だったのです。
古い城下町に残る木造裁判所の跡。それだけでも非常に興味がわいてきませんか?
それでは今回はこの建物の歴史と、現在どのようなものを見ることができるのかについて紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
篠山城城下町に関する記事です。





丹波篠山市立歴史美術館
丹波篠山市立歴史美術館は、兵庫県丹波篠山市にある美術館です。
この地域にある篠山城主、青山家代々の家蔵品、武具、漆芸、絵画、蒔絵のなどの美術品が展示されています。
また、焼き物や古代の文化財なども展示されています。
そして、それだけではないこの美術館だけの特色があるのです。
それは、この歴史美術館の建物がもつ歴史によるものなのです。
現在の丹波篠山市立歴史美術館の建物は、明治3年(1870)に、当時の篠山藩庁の建物を使用して篠山裁判所とて設けられ、明治23年(1891)には現存している新庁舎が建てられ「篠山地方裁判所」として活用され続けました。
この建物は、木造裁判所で現存しているものの中では、日本最古級のものであり、重要文化財として指定されています。
昭和56年(1981)まで90年余りもの間地方裁判所として活用され続けましたが、昭和57年(1982)に完成した鉄筋コンクリート造の新庁舎に地方裁判所の機能が移されました。このように歴史的な価値の高い建物であるため、昭和57年(1982)からは歴史美術館として開館されました。
歴史美術館として開館するにあたって、道路敷設計画が裁判所の敷地を貫通することとなってしまったため、裁判所の本館を曳家することで90度向きを変えて、現在の位置に落ち着いたのだそうです。
このような歴史を持つため、この美術館には、法廷がそのまま残されているのです。
法廷は非常にシンプルな造りであり、裁判官席と証言台。
検事席と弁護人席、そして裁判を傍聴する人々のための傍聴席がありました。
法廷は一般にも公開されているため、裁判体験が気軽にできてしまうのです。
また、明治時代雄裁判官の衣装と帽子も借りることができるので、時代を超えた法廷体験ができてしまうのです。
そのほか美術品の展示物としては以下のようなものが残されています。
・古代の雲部車塚古墳から見つかった鏡板や環鈴などの埋蔵文化財
・日本六古窯の一つである丹波焼をはじめとする古陶器類。
・近世城下町時代の刀剣や甲冑、馬具といった、武具の数々や、屏風絵や絵巻など。
・幻の陶磁器、王地山焼。
アクセス
JJR篠山口駅から神姫バスに乗り換え、春日神社前停車場を下車すぐにあります。
丹波篠山市立歴史美術館へ行ってみた
それでは、丹波篠山市立歴史博物館へ行ってみましょう。

現在の歴史美術館は、南北に縦長の立地となっています。
もともとは西側の道路を挟んだ場所にある駐車場までが篠山裁判所の敷地でした。
道路計画によって敷地を東西に真っ二つにしてしまう道路が貫通してしまったため、現在は東側の本館と、西側の駐車場スペースに分かれています。
この門は南側にある門です。

敷地内に入ると貫禄ある木造の建物が目の前に広がります。
今回は美術品関係の写真はなく、内部の法廷の写真のみを紹介しています。

中に入ると、法廷があります。

裁判官席から見た法廷です。
思ったよりこじんまりとしています。

裁判官席のすぐ前には書記官の席があります。

奥にあるのが検事席。
手前にあるのが弁護人席です。
ドラマなどでこの構図は見たことがあるかもしれませんね。

明治期の裁判官の衣装があるので、裁判官体験ができてしまいます。
なかなか法廷に入ることってできないので、貴重な体験ができるのです。
美術館だけど、よく調べてみるとこんな貴重な場所があったりするのですね。
いかがだったでしょうか。
歴史的な街並みがたくさん残り、様々な見どころがたくさんある篠山の城下町。
一日では回り切れないほどの歴史的な建物やお店、食どころがたくさんあります。
これまでの大きな歴史の舞台にも名前がよく出てくる篠山。
なかなか訪れにくい場所ではありますが、歴史好きにはたまらない町なのかもしれません。