吐血!!?
ミャンマーを歩いているとそう思う経験があるかもしれません。
そんなに道端で体調不良を訴える人が多いのか!?
というわけではもちろんありません。
しかし、頻繁に見かけるこれが何なのか、気になりますよね。
それとともに気になるのが、ミャンマーの主に男性が口をクチャクチャと動かしている様。
これっていったいみなさん何を食べているのでしょうか。
実は皆さん、口をクチャクチャと動かしているのは、とあるものを噛んでいるからなのです。
それは、噛みタバコで名称をクーンといいます。
タバコを噛む?
そして、この真っ赤な唾は??
っていうか、これ何なの???
というように疑問が盛りだくさんの謎の噛みタバコ クーン。
いったいどのようなものなのでしょうか??
というわけで、今回のわきみちは、
ミャンマーの食に関する記事です。

噛みタバコ クーン
ミャンマーの通りなどを歩いていると、まるで吐血したかのような真っ赤な跡をよく見かけます。
何も知らなければ、「何かあったの!!」と大騒ぎになってしまいますが、知っていると冷静に対処できますよね。
もちろんこれは吐血ではありません。
ミャンマーの嗜好品、噛みタバコのクーンというものを嗜んでいた人が吐いた唾の跡なのです。
タバコは吸うものですよね。
では、噛みタバコとはいったい何なのでしょうか?
クーンは、キンマというコショウ科の植物の葉に石灰を溶いたものを塗り、ヤシ科の植物であるビンロウの実の胚乳部分を包んで丸めたものです。
これをそのまま口に入れて、ガムのように噛んで嗜むのです。
クーンを口に含んで噛むと清涼感とともに、舌のしびれるような不思議な感覚があります。
また、ニコチンのような作用があるとされており、労働者が疲れをごまかせたりしたことから、人々の嗜好品となっているのです。
クーンは飲み込むものではなく、嗜んだ後は口から吐き出します。
味付けはいろいろとあり、それぞれのお店の味付けにお任せな部分もありますが、こだわりがある人は自分なりの味付けに注文することもできるのだそうです。
例えば、カルダモンをはじめとしたスパイスや砂糖などの調味料系、タバコの葉なども入れる人もいるのだそうです。
そして、これらの材料を目の前で混ぜ合わせて作られるのが一般的です。
きれいに丸められて作れらたクーンは、ビニール袋に複数個入れて持ち歩きます。
では、このクーンを噛むと、なぜ冒頭のように赤い色の唾液になってしまうのでしょうか。
それはこのクーンの含有物の作用が原因で唾液が赤く染まってしまうのだそうです。
だから、その唾液を吐いてしまうため道などに赤い跡が残ってしまっているのです。
しかも赤く染まるだけではなくいろいろとデメリットも多いことが近年ではわかってきています。
赤くなった唾液と石灰成分が歯石となり、粘膜炎になってしまったり、歯が赤黒く染まってしまったりするのだそうです。
さらには、口腔ガンの原因にもなっているという報告ですらあるのだそうで、日本のたばこのように、ミャンマーでもこの噛みタバコの居場所は徐々に狭められてきているのだそうです。
そのため、近年では若い人はこのクーンを嗜む人は減ってきているのだそうです。
確かに、口の中が真っ赤の人と向かい合って話し合う・・・、あまり気持ちのいいものではありませんね。
噛みタバコ クーンにチャレンジしてみた
それでは、実際にクーンを売っている様子を見に行ってみましょう。
自分がクーンを体験したのは、ミャンマーは中部バガンからのアクセスが便利な、ポッパ山の天空の寺院タウン・カラットへの参道途中にあった屋台です。


こちらが天空の寺院タウン・カラットから下山してきた参道です。

その途中でこのようにクーンを作っている屋台がありました。

キンマの葉を並べ、そこに石灰を塗っています。

石灰を塗り終えた後は、そこにビンロウの実をのせていきます。
跡はキンマの葉を丸めて包んでしまえはクーンの完成です。
包んだ葉ごと口の中に入れて嗜むのです。

では実際にクーンを口に含んでみるとどうなのでしょうか。
実際の食感は、木屑の塊を口に入れているような感じであり、決しておいしいと感じるものではありませんでした。。。
ただ単に慣れていないだけか、味覚が大きく違うのか。
なんとも文章では表しにくいものでした。
いかがだったでしょうか。
ミャンマーの伝統的な噛みタバコ クーンについて今回は紹介させていただきました。
ただ、健康的な問題や、環境美化の観点からも、クーンを嗜んでいた人たちも普通のたばこにシフトしてきているのだそうです。
伝統が途絶えてしまうのは何とも言えないところがありますが、ミャンマーの文化の一つとしてお試ししてみるのはありかもしれませんね。