672【和歌山紀行】熊野那智大社の創建はここのため。自然がつくりだした壮大な『那智滝』

近畿地方(Kinki)
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今回は今まで取り扱ってきていなかったについて紹介していきたいと思います。
これまでにいろいろなところで大小さまざまな滝に出会ったことはあったのですが、今回紹介するほど滝一本で観光名所になっているところはありませんでした。

そんな中今回紹介する滝ですが、那智滝(なちのたき)といいます。
以前紹介した熊野那智大社は、この那智滝を神聖視し信仰してきた神社でした。
それほどの人々の歴史と深いかかわりがある滝なのです。
それはユネスコの世界遺産に登録されていることからもわかります。

しかし、ただの滝がなぜそこまで信仰を集め、世界遺産にまでなっているのか!?
それは実際にこの滝を見てみれば一目瞭然かもしれません。
今回は、この那智滝について紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 古くから人々の信仰を集め続けた那智滝。この場所の神聖な雰囲気は実際に行ってみなければ味わうことはできないのです。

和歌山に関する記事です。

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那智滝

那智滝は、和歌山県那智勝浦町の那智川にかかる滝です。
日本の三名瀑に、栃木県の華厳の滝と茨城県の袋田の滝とともに数えられているほどの名滝です。
そのため、国の名勝にも指定されているとともに、ユネスコの世界遺産に『紀伊山地の霊場と参詣道』として登録もされています。

ところが、那智滝として多くの人がイメージする滝は、厳密にいうと那智滝ではないのだそうです。
実際、那智山中には多くの滝があり、その中でも古くから神道や仏教、儒教などの様々な宗教の滝行修行の場として使われていた48の滝を那智四十八滝といいます。
この那智四十八滝のことを那智滝として呼んでいたのだそうです。
その中でも、最も大きな規模の滝である一の滝のことが那智滝として知られるようになっています。
那智滝を代表する滝であることから那智の大滝とも呼ばれます。

この一の滝は非常に古くから自然信仰の聖地として人々から崇められていました。
その証拠に、この那智滝を信仰する熊野那智大社の社殿が、那智滝の正面に設けられていました。
4世紀ごろに熊野那智大社は現在の場所に移転されました。
その跡地には飛瀧神社が設けられています。
この飛瀧神社は本殿や拝殿が存在せず、那智滝そのものがご神体である神社なのです。
この飛瀧神社の境内にある滝見台から滝を見上げることができ、この滝の飛沫に触れることで長寿の御利益があると考えられています。

那智滝は垂直な断崖に沿って滝つぼまでの133mを落下する巨大な滝です。
一段で133mもの高さを垂直落下する滝は、その落差は日本一なのだそうです。

アクセス

JR那智駅から北西に4~5kmのところにあります。

那智滝へ行ってみた

それでは那智滝へ行ってみましょう。
熊野那智大社から、青岸渡寺を抜け北西に向かって歩いていきます。

青岸渡寺のあたりから見た那智滝です。
三重塔とのコントラストが美しい場所です。
この辺りから見るとまだまだそんなに大きい滝なの?と思うかもしれせん。
しかし、この地点から那智滝までは直線距離400m余があるのです。
そう考えると・・・!?近づいていってみましょう。

遠目からカメラのズームを使って撮影してみました。
美しい全景が撮影できますね。

落ち口のところを見ると三か所から水が落下しています。
縄もはられていますね。

では実際に近づいて行きましょう。

飛瀧神社の鳥居前です。
那智黒の飴は、那智の名物です。

飛瀧神社鳥居前にやってきました。
那智滝についての情報です。

ここからは那智滝に向かって下っていきます。

長ーい石段を下りていきます。

那智滝に向かう周囲はこのような雰囲気。
一気に空気が変わり神聖な雰囲気を醸し出しています。

滝つぼ近くまで降りてきました。

こちらが下から見上げた那智滝です。
133mの高さは伊達ではありません。

ここからは上部の様子はよくわかりませんね。
だからこそ、先ほどの青岸渡寺から全体が見渡せる光景も大切なのです。

いかがだったでしょうか。
自然の創り上げた光景にはやはり人間の力では及ばないものを感じますね。
特に永く自然信仰が根付いてきている日本にあっては、このような自然がつくりだした絶景には神聖的なものを感じずにはいられないのでしょう。
那智滝の自然信仰を表すかのように、この周囲には飛瀧神社、青岸渡寺、熊野那智大社など見どころがたくさんあります。
明治の神仏習合が廃されたことによって、今のような形になっていった那智滝周辺の名所の数々。
古くからの人々の信仰心が受け継がれてきた、この地独特の雰囲気をぜひ感じ取りに行ってみてください。