大阪といえばたこ焼き。
食い倒れの街大阪では、いたるところにたこ焼き屋があり、大阪に訪れたなら必ず食べたたい大阪のソウルフードですよね。
表面がカリッ(しっとりもあります)、中はトロり。
中心にはタコが入っており、仕上げにソースとかつおぶし、青のり、マヨネーズ(?)。
(もちろんいろいろなお店があって、仕上げも異なる様々なたこ焼きがあります。)
大阪粉もん文化の象徴ですね。
そのお味はというと、がっつり強い味が主張しあっています。
ところが、関西にはこれとは別のたこ焼きが存在しているのはご存じでしょうか?
それこそが、兵庫県は明石の名物『明石焼き』です。
関西圏ではメジャーな存在ですが、他地方からすると、明石焼き??となるかもしれません。
こちらもたこ焼きはたこ焼きなのですが、素材から製法、食し方まで大阪のそれとはかなり異なるのです。
今回はこの明石焼きなるもう一つのたこ焼きについて紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
兵庫に関する記事です。




たこ焼きと明石焼き
兵庫県は明石の名物、それが明石焼きです。
一見すると、ソースのかかっていない黄色が目立つたこ焼き??
というのが感想ではないでしょうか。
この明石焼き、一口食べてみると、普通のたこ焼きにはないふんわり感が口全体に広がります。
また、ソースをつけて食べるのではなく、昆布や鰹節からとった温かいお出汁につけて食べるのです。
しっとりとした生地がお出汁を吸い込み、口の中で解けていく感触。
これは、たこ焼き新感覚といってもいいのではないでしょうか。
そんな明石焼きですが、大阪名物のたこ焼きとは何が異なるのでしょうか?
実はそもそもたこ焼きと明石焼きではルーツが異なります。
たこ焼き
大阪のたこ焼きのルーツはもともとはラヂオ焼きと呼ばれるものです。
ラヂオ焼きは明治から大正にかけて庶民の味だった食べ物なのですが、今のように中にタコが入っていたのではなく、大阪のおでんではおなじみのスジ肉の煮込んだものが入っていました。
それを小麦粉を溶いたものにいれ、丸く焼き上げるのです。
これが屋台などで売られており、庶民の味として親しまれていたのです。
ところが昭和に入ると、明石の明石焼きをヒントに、ラヂオ焼きの具材をタコにしてみることで誕生したのがタコヤジでした。
つまり、たこ焼きよりも明石焼きの方が歴史は古かったのです。
明石焼き
明石焼きのルーツは江戸時代の終わりごろから明治時代中頃と考えられています。
明石の主要産業には明石玉というサンゴの替わりとして使われていた装飾品産業が有名でした。
この明石玉を作るためには、卵の白身を使うため、必然的に黄身が大量に余っていました。
この余っていた君と、小麦粉、明石名産のタコを使って作られたのが明石焼きなのです。
明石焼きがタコ焼きと大きく異なる点は、鶏卵をたっぷりと使うことです。
仕上がりが黄色くなるのもこのためであり、玉子焼とも呼ばれています。
また、じん粉という小麦粉のでんぷんを精製したものが加えられることによって、ふんわりとした触感になるのだということです。
さらには、明石焼き作りに道具にもこだわりがあります。
明石焼き作りのための専用の銅鍋を用いるのです。
たこ焼きの鍋は一般的には鉄鍋ですが、鉄に比べ銅を使うと熱伝導がよく、ムラなく焼くことができます。
そんな道具を作ることができる職人が明石には存在し、今でもすべて手作業で銅鍋を作っています。
ここでつくられた銅鍋は市内だけではなく、他地域でも広く明石焼き作りに利用されています。
明石焼きのための銅鍋のくぼみは、たこ焼きに比べて浅くなっているため、完全な球形にはならず、楕円形につぶれたような形になっています。
提供されるときは下の写真のように板の上にのせて出されます。

斜めになった板の上にきれいに並べられ、一つずつお出汁につけて食べていきます。
お出汁ももともとは熱い明石焼きを食べやすくするために冷めた出汁だったものが、近年では温かい出汁につけて食べる方が一般的になっています。
具材はタコのみ。それ以外のものは一切入っていません。
ただし、小麦粉やじん粉の配合などは店によって異なるため、店舗ごとにそれぞれ独自の味や柔らかさを楽しむことができるのです。
いかがだったでしょうか。
たこ焼きの世界がまた一つ広がったのではないでしょうか。
大阪のたこ焼きも、店や地域によってはいろいろなスタイルがあります。
ぜひ、一つの地域と一つのお店だけで満足しないで、いろいろなたこ焼きにチャレンジしてお気に入りの一品を見つけてみてはいかがでしょうか。