696【スリランカ紀行】建物自体に歴史的価値がある、19世紀末建造のスリランカ国内で最古の博物館『コロンボ国立博物館』

スリランカ(Sri lanka)
この記事は約5分で読めます。

どこの国やどこの地域でも、その場所にどのような歴史があるのか、訪れた人たちなどが知ることができる博物館が存在します。
その場所がどのような変遷を遂げて現在に至っているのか、これを知っているのと知らないのでは、同じ観光地を訪れてみても受ける印象は大きく異なります。
だからこそ、知らない場所に訪れてみれば、まず最初には博物館を訪れて、しっかりその場所についての情報を仕入れることがおすすめです。
今回はそんな博物館についての記事です。

スリランカの主要都市であるコロンボには、コロンボ国立博物館と呼ばれる博物館があります。
ここは、スリランカで初めて造られた博物館であり、スリランカの宗教的な展示から、先史時代の展示、スリランカの民俗学関係の品の数々が展示されています。
今回はこのコロンボ国立博物館について紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • スリランカに訪れたらまずここに行ってみて、スリランカの歴史や文化などの前知識をもっていろいろな都市に移動してみよう。

スリランカのコロンボに関する記事です。

592【スリランカ紀行】白亜の建物をリノベーションした、独立広場すぐ近くのショッピングモール『アーケード・インディペンデンス・スクエア』
今回はスリランカのコロンボを取り上げています。コロンボはスリランカの中で最も栄えている街です。大小さまざまなショッピングのできる施設があるのですが、まとめていろいろなお店が見たいのであれば、ショッピングモールが一番です。今回はそんなアーケード・インディペンデンス・スクエアというモールを紹介します。
516【スリランカ紀行】スリランカがイギリスの手から離れ、自分たちの歩みを始めた象徴『独立記念ホールと独立広場』
他国から統治が続いた歴史的な経緯を持つスリランカですが、そんな同国の中心都市コロンボにはイギリスからの独立にあたって、独立の公式行事が行われた場所に現在も残るのが今回紹介している独立記念ホールであり、その周囲に広がる独立広場なのです。
387【スリランカ紀行】仏教寺院と思って訪れて見ると…摩訶不思議な世界へ入り込んでしまう『ガンガラーマ寺院』
今回紹介しているコロンボにあるガンガラーマ寺院は、ある種のカオスな世界を作り出しています。おそらく、仏教ワールドとしてやりたいことをあれやこれや詰め込んだら、こんな感じになりました!といってもいいほどバラエティ豊かな寺院です。
263【スリランカ紀行】2019年にはテロの被害にも…。スリランカの経済の中心都市『コロンボ』
スリランカは日本と同じく仏教国であったり、島国であったり、世界的に有名な紅茶がどこでも堪能できたりと、魅力満載です。そんな、スリランカで有名な紅茶製品の交易港であったコロンボもまた、歴史によって形作られてきた足跡を見ることができる大都市なのです。
033 【スリランカ紀行】スリランカ鉄道 コロンボからゴール(ガル)までのコーストライン120km
スリランカにはすばらしい見どころがたくさんあります。世界遺産も数多くあり、それ以外にも山のように見どころがある島国です。その中で今回は、コロンボからゴールまでを結ぶ海沿いを走るコーストラインについて書いてみました。速さだけが移動手段のメリットではありませんね。

コロンボ国立博物館

コロンボ国立博物館は、スリランカの主要都市である西部州コロンボにある博物館です。
その創建は古く、1877年のイギリス領セイロン時代に、当時のセイロン総督であったウィリアム・グレゴリー卿(※博物館の庭には同氏の銅像が立っています。)によってつくられた建物であり、現在では、各地域に9つの分館が造られるほどになっています。
今ではいくつかあるスリランカ内の博物館ですが、ここが最も古い博物館となります。
そのため、この建物自体が歴史的価値を持つ建物であり、イギリス統治時代の建築様式を今によく伝えている貴重な建造物です。
館内はかなり広く、じっくり見ていくとここだけでも一日使ってしまうほどの規模があります。
スリランカは残念ながら歴史的な品々の多くが植民地時代にヨーロッパの国々に流出してしまっていますが、それでも奇跡的に残った多くの展示物がここには残されているのです。

ここの博物館では、フロアによって様々な展示がなされています。
2階建てになっている1階にはスリランカの歴史関係の展示物があります。
スリランカの先住民族であり山間部の狩猟民族であるヴェッダ人が使用していたとされる石器や土器などの展示があります。
また仏教国スリランカならではの様々な時代に作られた仏像展示から始まり、ヒンドゥー教のシヴァ神の像などの展示があります。

2階にはスリランカの民俗学関係の展示があります。
かつての王朝時代の貴族の装束や、君主の王冠など、非常に重要なコレクションが展示されています。
また、象牙で作られた工芸品や木彫りの彫像、悪魔を追い払うために用いられていた仮面の数々なども同フロアに展示されています。

アクセス

コロンボフォート地区から南に4kmほどのところにあります。

コロンボ国立博物館へ行ってみた

それではコロンボ国立博物館へ行ってみましょう。

まずは通りから見たところです。
金網越しにはなってしまっているのですが。

前庭には、この博物館を建造したウィリアム・グレゴリー卿の銅像が立っています。

コロンボ国立博物館の敷地にやってきました。
博物館の周囲は広大な庭になっており、周囲の様々な建物と比べてもここだけが異色の雰囲気を醸し出しています。

そして、奥に見える真っ白なヨーロッパ間のある建物がコロンボ国立博物館です。
この建物そのものが150年近い歴史をもつ貴重な遺構の一つなのです。

博物館前にはこんなに立派な大木が。
いつ頃からこの場所にあるものなのでしょうか。

そして博物館の建物前です。
イギリスが統治していた当時の最先端の建築様式が取り入れられた建物です。

館内にあるこの地図には、スリランカ国内にある主要な遺跡のある場所が書かれていました。

ポロンナルワやアヌラーダプラといった古都の遺跡でよく見かけるムーンストーンの展示です。
遺跡の現地では、表面部しか見ることができないので、このように地中がどのような状態になっているのかを見ることができる展示は貴重です。

館内にもさまざまな展示がありますが、スリランカの様々な場所から持ってこられたであろう遺跡の一部については、博物館の廊下や屋外テラスなどに展示されており、間近で見ることができます。

こちらは世界遺産都市であるポロンナルワにあるランカティラカです。
ポロンナルワも長く人々から忘れさられた遺跡でしたが、発見された当時の様子が書かれた絵画が一緒に展示されています。

スリランカでよくみられる巨大なダーガバ(仏塔)も発見当時にはこのように草木で覆われた様子であったのだそうです。
今のダーガバの様子からは想像ができないですよね。

こちらは以前紹介したポロンナルワの石立像です。
こちらも発見当時のものと思われますが、本当に保存状態よく発見されたのですね。

ポロンナルワにあるクワドラングル内にあるワタダーゲですね。

ここは千巡民族の人々の暮らしの様子でしょうか。

ひとまわりするだけでもたくさん時間がかかりましたが、一通り見て回って博物館をあとにしました。

ここの裏には国立自然史博物館があり、スリランカの動植物についての展示がなされています。
合わせて訪れてもよいかもしれませんね。

いかがだったでしょうか。
コロンボはどちらかというと歴史的なものを見るという街ではなく、ショッピングを楽しんだり新しくできた施設などを楽しんだりする側面が強いところではありますが、スリランカ国内の観光の起点となる場所でもあります。
まずは、ここの博物館でスリランカに関する様々な情報を入手してから、各地域の有名な観光拠点に訪れることでより理解が深まるのではないかと思います。