702【スリランカ紀行】かつての図書館だったと考えられているポロンナルワの遺跡『ポトグル・ヴィハーラ』

世界の世界遺産(World Heritage)
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スリランカの世界遺産、ポロンナルワは、文化三角地帯と呼ばれており、数多くの遺跡が残っています。
ポロンナルワといえば、アヌラーダプラを追い出されたシンハラ朝が遷都した首都であり、10世紀~12世紀ごろに全盛期をむかえた都市でした。

前回はこのポロンナルワにある、ポロンナルワを華やかな首都として発展させたとして言い伝えられているパラークラマ・バーフ1世ではないかと思われる石立像を紹介しました。

そして今回は、この石立像の近くにあるとある遺跡について紹介したいと思います。
前回も紹介したようにポロンナルワ南端にある石立像は、ヤシの葉に書かれた経典を読んでいる姿の像でしたが、その近くにあるこの遺跡に何からの関係があるのではないかとも考えられています。
その遺跡の名を、ポトグル・ヴィハーラといいます。

今回はこのポトグル・ヴィハーラという遺跡がどういった遺跡だったのか、紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 成熟した都市は、成熟した教育システムを確立していきます。ポトグル・ヴィハーラでも数多くの人々が、ここで多くの知識を得ていったことでしょう。

スリランカのポロンナルワの世界遺産に関する記事です。

685【スリランカ紀行】パラークラマ・バーフ1世ではないかと考えられている状態の良い『石立像』
発掘の進むポロンナルワですが、まだまだ解明されていないことも多いのです。今回紹介しているのはそんな一つなのですが、ポロンナルワ遺跡地区の南部に1体でたたずむ岩に彫り込まれた石立像です。この像はいったい誰なのか?それはまだまだ解析されていないことなのです。
444【スリランカ紀行】レンガ造りの寺院の中に残る、首のない巨大な仏像『ランカティラカ』
ポロンナルワはアヌラーダブラに比べると、仏像が数多く残されています。その仏像も様々であり、座像もあれば立像もあり、涅槃像もあります。そして、そんな数ある仏像の中で立像としては最も大きいものが今回紹介している仏殿遺跡のランカティラカに残されています。
426【スリランカ紀行】古都ポロンナルワ、シンハラ王朝時代の城壁に囲まれた遺跡群『クワドラングル(Quadrangle)』
ポロンナルワの遺跡地区のほぼ中心部にあたるところに、大小様々な遺跡が集まった広い場所があります。正確に四辺形になっているこの場所はクワドラングルと呼ばれています。ここは元々は、寺院があったところと言われており、仏教を古くから信仰しているスリランカでは特別な場所であったようです。
394【スリランカ紀行】ポロンナルワの北端、崩壊が進む寺院の遺構の中には、辛うじて見える壁画が『ティワンカ・ピリマゲ寺院(Thivanka Image House)』
今回はスリランカの世界遺産都市ポロンナルワの中でも、かつての美しい外観が偲ばれ、強く印象に残ったティワンカ・ピリマゲ寺院です。他の遺跡群とは距離を置き、北の端にポツンとたたずむこの寺院は、近年までは保存状態が良くなかったようであり、その風化状態がなぜか強く印象に残りました。
382【スリランカ紀行】見事な石像の残る世界遺産ポロンナルワを代表する『ガル・ヴィハーラ』
今回はポロンナルワについて初めて取り上げてみたいと思います。ポロンナルワは、11世紀にアヌラーダプラから遷都された都市であり、250年近くシンハラ王朝の首都として存在し続けました。今回紹介しているガル・ヴィハーラは、ポロンナルワを代表する一枚岩に彫られた4体の仏像が有名な場所なのです。

ポトグル・ヴィハーラ

ポトグル・ヴィハーラは、スリランカの世界遺産であるポロンナルワにある遺跡です。
ポロンナルワの遺跡地区の中では南端の地域にある遺跡ですが、南側からポロンナルワ観光を始める場合にはここが起点となります。
巨大な貯水池であるパラークラマ・サムドラに沿って走る道路から少し東の林に入ると、いくつかの遺跡が点在する場所に行きつきます。
いくつか遺跡が点在する中に、4つのダーガバ(仏塔)に囲まれたドームのような形をした建物があります。
それが今回紹介しているポトグル・ヴィハーラです。

そんな場所にあるポトグル・ヴィハーラなのですが、ここはもともとは仏教の経典などが保管されていた図書館であったと考えられています。
経典といっても現代のように本の形になっているのではなく、ヤシの葉でできた仏教の経典が保管されていたと考えられています。
建物の形は円形の形になっていて、仏教経典が納められていただけではなく、僧たちによって仏教の仏典などの朗唱などが行われていたのではないかと考えられています。

このエリアにあるもう一つの遺跡である石立像
あの石立像はヤシの葉でできた仏教の経典を読んでいる姿でしたよね。
もしかしたらこのエリアはポロンナルワ中心地より離れた場所にありますが、当時の文教地区のようなエリアだったのではないでしょうか。
図書館であるポトグル・ヴィハーラ、そしてそれをその近くに立つ石立像は、この図書館の敷地内にあるモニュメントのような位置づけだったのでは?といったことも考えてしまいますね。

アクセス

ポロンナルワの遺跡地区南端の方角、石立像の近くにあります。

ポトグル・ヴィハーラへ行ってみた

それでは、ポトグル・ヴィハーラへ行ってみましょう。

石立像のすぐ南には、レンガ造りの土台の上にいくつかのドーム状の建物が残る遺跡があります。
これがポトグル・ヴィハーラです。

中央のドームを囲むように4つの小さなドームがあり、さらにその基壇の下にはいくつかの建物跡が見られます。

こちらがポトグル・ヴィハーラの全体図です。
それでは、中央のドームがある基壇の上に行ってみましょう。

かなりしっかりしたレンガ造りの跡と、階段が残されています。

中央のドームにやってきました。
ここでは、僧たちによって仏教の仏典などの朗唱などが行われていたのではないかと考えられている場所です。
このドームの周囲に小さなドームが4つあります。

横からもドームの様子を見てみました。
かなりしっかりした遺跡が残されています。
しかし、ポロンナルワの中心部からは離れているためか、見学に来ている人はいませんでした。
その分ゆっくりと遺跡見学ができます。

こちらも別角度から見たところです。

ポトグル・ヴィハーラの全体は同じようにレンガで造られた壁が造られていたようでした。
現在では一部分のみが残されている状態です。

壁の外から中央のドームを見たところです。

いかがだったでしょうか。
前回紹介した石立像と今回紹介しているポトグル・ヴィハーラはセットで見て回ることができる遺跡です。
中心部から離れていることもあるので、現地のタクシーなどにお願いするともしかしたらここは回ってもらえないかもしれません。
きちんとここも回ってほしいことを伝えておくことか、前回も紹介したように自転車を借りて自分なりのプランで回るのがポロンナルワ観光ではベストだと思います。