713【映画あれこれ】暗黒の時代を実際に体験した人物が演じるリアリティ『キリングフィールド』

映画あれこれ(Movie)
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かつてカンボジアを包んだ暗黒の時代。
クメール・ルージュがカンボジア全土を支配し、同じ国の中の国民が虐殺を繰り返し、当時のカンボジアの三分の一もの人々が犠牲になりました。
よく知られた話では、知識層を嫌ったポルポト率いるクメール・ルージュは、行きつくところ、眼鏡をかけているというだけでもいちゃもんをつけ、殺害したほどなのだそうでした。

では、このクメール・ルージュによる支配が行われた1970年代。
年代だけを聞くとほんのつい最近のことなのですが、リアリティが薄いですよね。
実際クメール・ルージュがカンボジアを占拠するまでは、普通に発展していた普通の国だったのです。
そんな普通の国が、ある日突然地獄のような非違に突き落とされる。
それはどのような状況だったのでしょうか。

今回紹介しているキリング・フィールドという映画は、そんな地獄のような日々に突き進んでいっていた、当時のカンボジアの状況を表している映画なのです。
その映像は非常にリアリティにあふれているのですが、そこまでのリアリティがなぜ表現できたのかというと、この映画の助演の男性が、実際にクメール・ルージュ下のカンボジアを生き抜いた人なのです。

では、このカンボジア内戦時代を描いた映画キリング・フィールドとはどのような映画なのでしょうか。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 当時は全ての情報が世界から隠されていたクメール・ルージュ下のカンボジアの様子を表した衝撃の映画を見てみよう。

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映画『キリングフィールド』

映画『キリング・フィールド』は、1984年にイギリスとアメリカが合作で作った映画です。
この年代だけを見ると、この映画で取り上げられているクメール・ルージュによってカンボジアが支配された時代から約10年後に作られた映画です。
まだまだカンボジアが地獄に突き落とされた時代から間もない時期にこのような映画が撮られていたということが驚きですよね。

この映画『キリング・フィールド』は、実際にカンボジア内戦の状況を取材したアメリカのニューヨークタイムズ記者であったシドニー・シャンバーグ氏の実話が元になっている映画です。

シドニー・シャンバーグは、現地で取材するにあたって、現地の新聞記者であるディス・プランと共にカンボジア内戦を取材することになりました。
しかし、クメール・ルージュの台頭により、アメリカ軍はカンボジアからの撤退を開始し、カンボジア内にいたアメリカ人たちは自国に戻ることになりましたが、プランは自らの家族だけを国外に逃がし、自身はシャンバーグと共に取材を続けていくことを決意します。

カンボジア国内の状況はさらに悪くなり、次はフランス大使館に避難をした二人でしたが、カンボジア人であるプランは国内から逃げることができず、クメール・ルージュが支配していた集団農場へと移されます。
クメール・ルージュの悪行は目を覆いたくなるほどのものであり、多くの人々は何の理由もなく銃殺されていきました。

そんな地上の地獄のような光景が広がっていた集団農場を脱走することに成功したプラン。
しかし、カンボジアの状況は、どこにいってもおびただしい白骨が広がるさらに上を行く地獄絵図だったのでした。

必死で逃げるプランでしたが、力尽きてしまいます。
ところが別の集団農場の人間に助けられたプランは、その場所で幹部の世話係となります。
そんな幹部の人物も、プランがインテリであることから殺害されそうになりますが、それを拒否ししたため、逆に殺害されることになってしまったのでした。

プランは幹部からたくされた子どもたちや仲間たちと国衙への逃亡に成功し、行きついた難民キャンプでシャンバーグと再開するのでした。
シャンバーグは、プランだけが捕まった後の時からずっと、彼の消息を探し続けていたのでした。

このプランを演じているハイン・S・ニョールこそがカンボジアでクメール・ルージュにつかまり、強制労働や拷問にあいながらも、自らが医者であることを隠し続け、最終的にタイに脱出することができた人物なのでした。
そのため、素人感覚の残る演技ではあるものの、その演技の中には真実を知るものでしか知りえない演技を感じさせられたことも事実なのです。
この映画によって各種助演男優賞を得たハイン・S・ニョールでしたが、アメリカのロサンゼルスに在住していた1996年に、強盗によって射殺されてしまっています。

いかがだったでしょうか。
クメール・ルージュ下のカンボジアのリアルを再現しようとして意欲的な映画でした。
何よりもこの映画を見てリアリティを感じたのは、当時のプノンペンの街が、田舎町なのではなく、整えられた都市だったということでした。
そんな街中に突如としてクメール・ルージュの少年兵が表れ、手に持ったナタで人々が虐殺される。
このような恐ろしい状況が、当たり前のように目の前で繰り広げられていたこと。
そんなカンボジアのリアルを痛いほどに感じる映画なのでした。