海外映画というとどうしてもアメリカ、ハリウッドなどを代表とする全米第何位うんたらの映画が中心となりますよね。
しかし、21世紀の現在、アジアの映画も非常に良いものがたくさんあるんですよ。
インド映画がその中でも有名だったり、中国韓国の映画もたくさん目にするようになってきましたよね。
今回はそんなアジアの映画の中でも、ベトナムの映画で気になったものがあったので紹介していきたいと思います。
その映画は、『第三夫人と髪飾り』という映画です。
この映画の舞台は19世紀のベトナム。
一夫多妻制が残り、男児を生み育てることが女性の務めとされていた古き慣習の残る時代。
その時代に翻弄される14歳の少女が主人公の映画です。
しかしこの映画。
上映直後にベトナムでは上映中止となってしまった、ある意味の話題作なのです。
では、いったいこの映画はどういったものなのでしょうか。
今回はこの古きベトナムを描いた映画『第三夫人と髪飾り』について紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
映画に関する記事です。

















映画『第三夫人と髪飾り』

第三夫人と髪飾りは、19世紀のベトナムを映像化した映画です。
この映画は、14歳の少女名が、ある北ベトナム大富豪の主人のもとに三番目の夫人として嫁いできたところから始まります。
その当時のベトナムは、まだまだ伝統に則った社会であり、一夫多妻制が普通の時代でもありました。
富豪の住む大邸宅にはすでに先に二人の婦人が暮らしています。
奥様と唯一呼ばれ、一人息子をもたらした第一夫人。
三姉妹の母親ながら息子は生まれていない第二夫人。
そして、新たにメイは第三夫人となるのです。
14歳のメイは、どうやって世継ぎをもうければいいのかもわからないほどの少女です。
しかし、嫁いできた嫁は、世継ぎの男児を生んでこそはれてその地位が上がり、奥様となることができます。
第二夫人は、そんなメイに、夜の営み、主人の喜ばせ方などについて指南していきます。
その結果、主人から気に入られ、毎晩のように営みを求められるようになったメイ。
そうしてメイは晴れて妊娠します。
そんなある日、メイは、第二夫人が第一夫人の息子と関係を持っていることを知ってしまいます。
そして、第一夫人の妊娠。
男児が生まれることで正式な妻となれるベトナム社会。
メイは自らのおなかにいる子が男児になること、そして第一夫人に対してはネガティブなことを祈ってしまいました。
その後第一夫人は流産してしまったことから、自らを攻めてしまうメイ。
そんなメイをなぐさめてくれた第二夫人に対して、メイは行為を要求する。
こういった独特の風習や、性に対する多様性などが官能的な表現で繰り出されるのです。
結果的にメイが生んだのは女児でした。
メイは自分の娘を川辺で抱き、その口に黄色い花を近づけます。
この花は毒花であり、生き物を死に至らしめます。
映画はここで終幕を迎えます。
生まれてきたのが女児だったこと。
そして自分が女性だったからこそ、この時代で女性が生きづらい世の中だったこと。
そして、メイの下した判断は・・・?
満を持して公開された映画『第三夫人と髪飾り』でしたが、公開わずか4日で上映中止に追い込まれます。
それは、撮影当時13歳だったメイ役の女優が、ベッドシーンを演じたことに対して、中傷が吹き荒れたことだったのでした。
この映画は、全編を通してベトナムの柔らかな自然が、ゆったりとした時を感じさせてくれる映像を見せてくれます。
それが、アジアの田舎に流れるようなゆったりとした雰囲気を存分に感じさせてくれるのです。
舞台だけを見ると、日本の昼ドラのようなドロドロした雰囲気に話なのかと思いがちですが、そんなことはなく、女性監督ならではの視点で全編が構成されているのが特徴です。
最後のシーンでは、第二夫人の次女が自らの長い髪の毛を切り川に流します。
男だったら。男として生きていければ。
それほどの強い気持ちを持たせるほど、性によって抑圧されていた時代に対するアンチテーゼを感じさせる場面でした。
いかがだったでしょうか。
最後のシーンは、自分たちの力だけではどうにもならなかったヒロインたちのあきらめではなかったのだと思います。
当時のベトナムが男尊女卑の時代であり、女性たちにとっては非常に生きづらい時代だったこと。
その時代を耐えた女性たちが、伝統的な古い社会と決別して、多様性が認められる新しい時代への希望をもとうとしている姿が、強く印象に残る映画だと思います。
若い女性監督ならではの表現がちりばめられたこの映画。
ゆっくり時間をとってみてみてはいかがでしょうか。