776【映画あれこれ】あのヒトラーが現代にやってきたら。コメディかと思いきや、実は・・!?『帰ってきたヒトラー』

映画あれこれ(Movie)
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あのヒトラーが現代にやってきた
非常に問題のありそうなテーマではありますね。
世界はこのテーマには非常に敏感ではあったりするのですが、そのヒトラーを一見コメディのように扱ったこの作品。
あ、なんか面白そうかな?
と思ってみ始めた人が多いのではないかと思います。

実際、見始めたときは、現代に現れたヒトラーが、自分の時代とは違う様々なことに戸惑っている様子を面白おかしく表現しています。
しかし、全てを見終わった時、あなたはぞっとするかもしれません。
そうなのです。
この映画はただの面白おかしいコメディ映画ではないのです。

では、この映画は見る人に何を伝えようとしているのでしょうか。
衝撃の問題作である帰ってきたヒトラーについて今回は紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 見始めたときの気持ちと、見終わった時の気持ち。見る人はこの映画で起こったことをどのようにとらえるのでしょうか。

映画に関する記事です。

755【映画あれこれ】1950年代のサイゴンが舞台。10歳で奉公に出た少女の成長と人々との交流を描いた作品『青いパパイヤの香り』
今回紹介しているのは、ベトナムの大都市であるホーチミンシティがまだサイゴンと呼ばれていた1950年代のベトナムを取り扱った映画です。その映画の名前は、『青いパパイヤの香り』といいます。
734【映画あれこれ】ベトナムの古い慣習を映像化。しかし、その映像化は問題となり・・・『第三夫人と髪飾り』
ベトナムで作られた『第三夫人と髪飾り』という映画。この映画の舞台は19世紀のベトナム。一夫多妻制が残り、男児を生み育てることが女性の務めとされていた古き慣習の残る時代。その時代に翻弄される14歳の少女が主人公の映画です。
713【映画あれこれ】暗黒の時代を実際に体験した人物が演じるリアリティ『キリングフィールド』
今回紹介しているキリング・フィールドという映画は、地獄のような日々に突き進んでいっていた、当時のカンボジアの状況を表している映画なのです。その映像は非常にリアリティにあふれているのですが、そこまでのリアリティがなぜ表現できたのかというと、この映画の助演の男性が、実際にクメール・ルージュ下のカンボジアを生き抜いた人なのです。
573【映画あれこれ】同じ民族が引き裂かれた悲劇の戦争、朝鮮戦争。ある兄弟の姿を通して戦争の現実を物語る『ブラザーフッド』
映画『ブラザーフッド』は、朝鮮戦争に翻弄されたある兄弟を取り扱った映画なのですが、ストーリーとしてはフィクションであり、実際には起こりえないだろうという点もあったりするため、賛否分かれる映画です。ただ、戦争が同じ民族、家族、恋人たちを引き裂き、多くの人々の心の中に傷を残した戦争の雰囲気は十分に伝えてくれる作品だと思います。
522【映画あれこれ】今の時代ではありえないかもしれないが、人が自分の力で生きるためにはありだったのか『フリークス』
今回ふと目に留まったとある白黒映画。その映画なのですが、邦題では『怪物園』、原題では『フリークス』といい、サムネイル画像には下半身がなく、手だけで体を支える人物の画像が。あまりにも強烈なその画像が気になり、この映画を閲覧してみましたが・・・
555【映画あれこれ】ベトナム戦争時、アメリカはこの国の中でどのような立場だったのか『グッドモーニング、ベトナム』
ベトナム戦争真っただ中のサイゴン(現在のホーチミンシティ)でアメリカ兵のためにラジオ放送を行っていたある空軍兵且つラジオDJの視点から見たベトナムを描いた作品『グッドモーニング、ベトナム』です。このストーリーは実在の人物の体験に基づいて描かれており、ベトナム戦争のまた違った一面を見ることができる映画なのです。
537【映画あれこれ】ポル・ポト政権下のカンボジアでの実話。この国を襲った歴史の一端が見える『地雷を踏んだらサヨウナラ』
ポル・ポト率いるクメール・ルージュによって激しい内戦状態に陥っていた1970年代のカンボジア。そのような状況下にあったカンボジアに単身乗り込み、カンボジアの実情を伝え続けたのが一ノ瀬泰造氏なのです。そんな一ノ瀬泰造氏の半生を映画化したものが、今回紹介している、『地雷を踏んだらサヨウナラ』です。
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507【映画あれこれ】イギリス統治時代のインドが舞台。この時代の女性のおかれた立場がよくわかる伝説的な女優『マドビ・ムカージ』
オンデマンドビデオサービスの中では、これまでに全く知らなかったような動画も目に入ります。たくさんのサムネイルを見ていると、その中には目に留まるものもあったりするのです。オンデマンドビデオサービスで目に留まったある映画作品と、そこから知ったとあるインド人女優であるマドビ・ムカージについて書いていきたいと思います。

映画『帰ってきたヒトラー』

帰ってきたヒトラー
衝撃的なタイトルですが、あの第二次世界大戦の時代から本物のヒトラーがタイムスリップして現代に現れたら?
一つその取扱いを間違えると大変なことになりそうなテーマですが、このセンシティブなテーマをうまく映像化したのがこの映画なのです。
タイムスリップというSF的な要素を用いた作品であるため、まあフィクションだよねと思ってみ始める人がほとんどなのでしょう。
しかし、フィクションであったはずのこの映画。
実は現代であっても起こ得るということに対して警鐘を鳴らす、強いメッセージ性をもった映画なのです。

ある日、ヒトラーはドイツのとある公園で目を覚まします。
なぜここにいるのか?全く分からないままヒトラーは、新聞の日付から自分が2014年にいることを知ります。
自分は何もわからないのに、道行く人々は自分のことを知っている。
出会う人出会う人自分のことを知っている不思議。
そして、物語のキーとなるフリーディレクターであるザヴァツキと出会うことで、いつしかヒトラーの物まね芸人として、本物のヒトラーはその地位を現代で確立していきます。

もちろんそのヒトラーを本物とは思わない現代の人々。
その姿を面白おかしく人々は眺めます。
人心を掌握するヒトラーの喋りは健在であり、現代であってもヒトラーの話術は多くの視聴者を惹きつけます。
それもそのはず、ヒトラーは決してジョークを話しているのではないからです。
テレビの一タレントとして活躍を始めたヒトラーはあるとき、噛みついてきた犬を射殺してしまいます。
そのショッキングな映像が流れてしまったことで、ヒトラーはテレビの世界から一旦は去ります。

しかし、一度人々の心を掴んでしまったヒトラー。
今度は、自らが現代にやってきて体験した自伝を発行します。
これが大きな反響を呼び、映画化にまでなってしまいます

しかし、その様子を見て第二次世界大戦当時を思い出す老婆は、当時と今とが全く同じ状況であることで気が動転してしまいます。
ヒトラーの姿かたちだけでなく、言うこと、やること、そんなヒトラーを見て面白がる周りの人間たち。
全てが、かつての戦中と同じ状況だというのです。
このときにザヴァツキはようやく、ヒトラーが本物のヒトラーではないかということに気付きます。

極めつけは、ネオナチにヒトラーが襲撃されることで、国民にとって英雄的な存在にまでなってしまうのです。
ザヴァツキはヒトラーが本物であることを伝えようとしますが、誰もそんなことは誰も信じてくれません。
誰もヒトラーを止めることができなくなってしまっていたのです。
そんなヒトラーの影響はどんどん大きくなっていき、信奉者はどんどん増えていきます。
そして、映画の最後にはかつて世界を恐怖に陥れたヒトラーの強烈なカリスマ性が現れてくるのです。

あの悲しい時代を知っている現代の人々は大丈夫!
・・・本当にそんなことが言い切れるのでしょうか?
現代にヒトラーほどのカリスマ性をもった人物が現れたとしたら・・・。
人々の心はこの映画のように簡単につかまれてしまうのではないでしょか?
そういった警鐘を我々に伝えているのがこの映画なのです。

いかがだったでしょうか。
最初は面白おかしい気持ちで見ていたこの映画。
見終わった時には、何とも言えないぞっとした気持ちにさせてくれます。
この映画の見方としては、ヒトラーだけに注目して見てみてください。
彼は、最初から最後まで一貫してふざけているわけではなく、真面目に自分の思う通りに動いていることがわかるでしょう。
それをどう味付けするかは、その姿を見せる映像を操る人々の手腕。
そんな見せるものの思惑次第で、人々の気持ちなどは簡単に操ることができてしまうのではないでしょうか」?
見終わった後に、様々なことを考えさせられる映画の一つなのです。