城といえば、豪華絢爛なものが思い浮かびますが、その興りとしてはやはり攻防の拠点としての施設でした。
ということは、迫りくる敵から城を守るための防御の設備や、そこから反転して攻勢を仕掛けるための設備など、様々な工夫が施されているわけなのです。
そういった工夫が、日本の城の独特な形につながっているわけですね。
それもそのはず。
攻防の設備を怠ってしまっては、あっというまに自分の居城が敵の手に落ちてしまいます。
そうなってしまっては一巻の終わりですからね。
では、城の設けられた攻防施設にはどのようなものがあるのか。
今回は城全体を見渡してみてどのような攻防設備があるのかについて見ていってみることにしました。
というわけで、今回のわきみちは、
城に備えられた攻防施設

日本に数ある城。
かつては砦から始まった城は、山の尾根を利用した山城、徐々に平地に進出してきた平山城、完全に平地に造られた平城と、時代を経るごとにその立地や構造が変化し、それに伴って城に設けられた攻防の設備も変化していったのでした。
では、そんな城に設けられた攻防設備にはどのようなものがあるのでしょうか。
土塁や石垣
城を守る設備として最も単純かつ、効果的なのが土塁であり、後の石垣です。
敵の侵入を防ぐために高い壁を設ける。
そのために効率的なのが、城の周りの地面を掘り、そこで出た土砂で土塁を設けて城を囲うことです。
単純なものではありますが、敵を足止めするためには効果抜群。
しかも、土塁を作るときに土砂を採掘してできた溝は、そのまま濠として使うことができるのです。
濠+土塁。これだけで、敵が白に進入するためには驚くほどの高さが目の前に現れるわけなのです。
時代は進み、石垣を設ける技術も発展していきます。
石垣の利点としては、土塁に比べると驚くほどの傾斜角があること。
石垣を登って侵入、というものはかなり難しいことでしょう。
できなくはないですが、あっというまに見回りに見つかって命を落とす、ということにもなりかねません。
土塁や石垣は、城の攻防施設としては欠かせないものなのです。
濠/堀
土塁や石垣と同じように城の周囲を囲っているのが濠です。
濠があることによって、城の周囲に見た目以上の高さが現れます。
また、堀には大きく2つの種類があります。
それが水堀と空堀です。
単純に考えると、水堀の方が水によって足止めを食らうので侵入が難しそうだなあと思いますが、攻防の面から考えると実は空堀の方が効率的だったりするのだそうです。
それは、空堀であれば、堀を越えて侵入してこようとする敵が一目瞭然であり、城内からその敵を狙い撃ちにできるという点があるからなのだそうです。
そのため、それぞれの城では、この水堀や空堀を効果的に配置し、城の攻防力を高めていったのです。
曲輪/郭と土塀
城の縄張(構造)では、曲輪をどのように配置するかが大切な点です。
天主のいる御殿や天守を守るために、いかに敵が侵入しにくい郭の配置にするか、設計者の腕の見せ所ですね。
また、敵からは進入しにくい形であり、自軍は敵を迎え入れやすい形であることが必要ですよね。
そのためには、曲輪に高さの違いを設けたり、その大きさを変えたりするなどして、敵の侵入経路を限定していくことで城全体の攻防力を高めていきます。
そんな郭に設けられたのが土塀です。
敵の攻撃を防ぎつつ、そこに設けられた狭間からは相手を攻撃することができる。
いかに敵に見つかりにくく、どこからでも攻撃が可能なようにするのか。
土塀には大切な役割があったのでした。
櫓
城の攻防力を格段に高めることが櫓です。
特に、土塁や石垣などの上に置かれる長大な櫓である多門櫓を置くことにって、城の防御力は格段に発揮されることになります。
単純に壁面の高さが上がるので防御力が上がりますし、櫓内からの攻撃が可能になるため、天候に左右されることもなくなります。
さらには、兵糧や貯蔵庫としても使われていた櫓は、攻防一体の抜群の城の設備だったのです。
門
門にも攻防の設備は設けられていました。
唯の門と侮ることなかれ。
重厚な門はそれだけでも敵の侵入を阻む設備になります。
また、櫓が上部に設けられた櫓門であれば、それだけでも敵に対して攻撃を仕掛ける拠点にもなったりするのです。
また、門扉や柱などに鉄板を張り付けることによって、堅牢さや延焼を防ぐように工夫されているものもあります。
天守
天守にまで敵がやってくるということは、その城にとって相当なピンチです。
しかし最後の最後まで攻防設備を怠ってはいけません。
もちろん天守にもさまざまな設備が設けられているのです。
天守の攻防設備の特徴的なところとしては、窓や破風の配置ではないでしょうか。
破風の墓に屋根裏を設けることで
その限られた空間を利用して攻撃のための場所を設けたりされています。
また、窓をあえて出窓にすることで、天守からあらゆる角度に対して攻撃を仕掛けるようにも設計されているのです。
それでもさらに進入されてくることはあるでしょう。
そこで重要な設備が石落です。
字のごとく石を落とすためのものかと思われますが、実は石垣を登ってくる敵に対して鉄砲を放つさま的な役割を想定していたものだったのだそうです。
いかがだったでしょうか。
今回は城に設けられた攻防の設備について見ていきました。
一つ一つの建造物をよく見てみると、それぞれによく考えられたものなのだなあと感心させられるものがたくさんあります。
城を見に行った時に、見るポイントが変わってくるかもしれませんね。