ウズベキスタンの見どころといえば、美しい青のタイルで彩られた数々の建造物です。
モスクに始まり、かつての神学校であるメドレセ。
そして、何といっても忘れてはならないのが、ミナレットです。
人々に時刻を知らせたり、物見台として使われたり、時には処刑場としても使われていたミナレット。
ウズベキスタンの各地域では、このミナレットがある風景が特徴的ですよね。
そして、ウズベキスタンの西にあるヒヴァにもこのミナレットが多数あるのです。
城壁に囲まれた世界遺産であるイチャン・カラ。
町全体が世界遺産になっているヒヴァの町は、砂の色の建物の中に、青のタイルが映える、歴史を感じさせる町なのですが、この町を西門であるオタ・ダルヴァザから入場すると、すぐに目に入ってくるのが、青のタイルで彩られた台形かつ円柱の形をした建物であるカルタ・ミナルです。
このカルタ・ミナル、いったい何の建物なのか、これまで見てきた度の建物とも異なるものなのでわからないかもしれません。
それもそのはず、このカルタ・ミナルは建造途中の未完成の建物なのです。
では、完成すれば何になっていたのか!?
今回はこの未完成の建造物であるカルタ・ミナルについて紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
ウズベキスタンのヒヴァに関する記事です。





カルタ・ミナル
カルタ・ミナルは、ウズベキスタン西部にある砂漠の都市、ヒヴァのイチャン・カラ内にある建造物です。
中央西部にある、オタ・ダルヴァザという西門を入ると、すぐ目の前に見えてくるのが、美しい青色のタイルが貼られ、台形のような円柱の形をしたカルタ・ミナルです。
非常に大きく、美しいこの建物ですが、完成していればこんなものではなかったのです。
それもそのはず、この建物はミナレットとして建造されていたものなのでした。
それはこのカルタ・ミノルという名前にも表れており、”カルタ”という言葉が”短い“という意味を持っています。
ミナレットというと、ヒヴァも含めてウズベキスタンの各地域でよくみられる塔です。
カルタ・ミナルもそんなミナレットの一つとして建造されたものなのですが、工事が途中で中断となってしまい、未完成のまま今もなお残されているのです。
なお、カルタ・ミナルは外観しか見ることができず、その内部の様子や、建造途中となってしまった頂上部など、一般の人々が見ることはできなくなっています。
そんなカルタ・ミナルは1852年から1855年にかけて造られました。
ミナレットというと、モスクやミナレットなどの付属の建造物として作られるのですが、このカルタ・ミノルもムハンマド・アミン・ハン・メドレセ(現在はオリエントスターホテルとなっている。)の付属のミナレットとして建造が計画されたのでした。
しかし、現在未完成のままで残っているように、このカルタ・ミナルの建造は、工事が途中で中断されてしまい、現在に至っています。
カルタ・ミナルの基礎部分の直径は14.2m。
他のミナレットと比べてもかなり巨大であるこのカルタ・ミナルは、完成していれば100mをも超す高さになり、ヒヴァでも随一の高さを誇るミナレットになったことでしょう。
しかし、29mの高さで工事が中断になってしまったこのミナレットですが、ヒヴァのカナーテ州のハンであったムハンマド・アミン・ハンは、高さが109mにもなる、メドレセに付属する立派なミナレットの建造を計画します。
それほどの高さを持つミナレットを立てた理由は、周辺のハン国を監視すること。
その周辺国には、遠く400km離れたブハラ・ハン国も含まれていました。
しかし、そんな思惑を知ったブハラのハンが、カルタ・ミナル建造にあたっていた職人を買収して工事をストップさせたのだそうです。
ムハンマド・アミン・ハンは怒り、その職人を殺してしまいますが、その後ペルシャとの戦いのさなかに1855年にムハンマド・アミン・ハンは命を落としてしまうことになり、工事は中断されたままとなって現在に至っています。
アクセス
イチャン・カラの西部にあるオタ・ダルヴァザ(西門)から入ってすぐのところにあります。
カルタ・ミナルへ行ってみた
それでは、カルタ・ミナルへ行ってみましょう。
カルタ・ミナルは内部に入ることはできませんので、外観のみとなります。

西門から入るとすぐ目の前に、遠目からは台形に見える巨大なミナレットの基礎部分が見えてきます。

近くで見てみると、ターコイズブルーが美しい外観をしています。
艶をかけられたレンガと、マジョリカ焼きという陶器で基壇部分から最上部までが豪華絢爛に覆われた造りをしています。

砂の色の建物がたくさんであるイチャン・カラ内では、カルタ・ミナルのターコイズブルーはとにかく映えます。
今やイチャン・カラのシンボルともいえるカルタ・ミナル。
その大きさと美しさは実際に見行く価値ありです。
いかがだったでしょうか。
イチャン・カラの中でもとにかく目立つこの建物。
内部を見ることはできませんがその外観を見るだけでも、価値ある建物です。
逆に完成しなかったからこそ、もしも完成したらこれぐらいの高さになっていたんだろうなあ、と想像力を掻き立ててくれるわけです。