地形を見れば、その土地の歴史がわかる。
日本の各地は、大きな土地の変化や、人の手による土地の利用などによって、大きくその表情を変えて現代に至っています。
しかし、そんな現代の街に覆いかぶさられた地形の中に、その地域の歴史を垣間見ることができる部分があるのです。
そんな地形からその地域についてのことを読み取る番組としては、ブラタモリがありますね。
最近ではすっかりタモリさんの豊富な地形に関する知識に挑戦するような番組になっている感があります。
この通りは、元々は川ですか?
この石がここにあるということは?
ここは少し土地が盛り上がっているからもしかして?
などなど、すっかり定番のタモリさん目線になってきています。
そんなブラタモリにも登場した案内人の方が書いたとある書籍があります。
それが、大阪及び大阪城・真田丸スペシャルを案内した新之介による著書、『ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ』です。
もうその名前からマニアックだなー、という感すら漂うタイトルの本ですが、実際にタモリさんを案内し、大阪の高低差からかつての真田丸の位置を考察した案内人によるこの書籍は、大阪の土地からその歴史を考えるのにぴったりの本であり、この本を片手に大阪の街を歩いてみると、大阪という土地のことがより見えてくるのです。
今回はこの 『ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ』 について紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
旅のガイドブックに関する記事です。





ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ
大阪の中心部のほとんどは、かつては海だった。
そんなことを聞くと、信じられますか?
しかしこれは事実なのです。
実際、大阪でもその中心である大阪市のほとんどは、かつては海なのでした。
それもはるか遠い昔のことではなく、歴史的に見たらほんのつい最近まで。
その時代の大阪には大きな海と、南から北に向かって突き出た、現在の上町台地が半島としてつきでているだけの地域でした。
だからこそ、大阪城や四天王寺、住吉大社といった古くからの長い歴史がある場所は、この上町台地の上に存在しているのです。

歴史的には、近畿圏では奈良、そして京都が最初に歴史の日の目を見ています。
それはなぜかというと、現在の大阪が海であったため、ここが両都の玄関口であったためです。
今現在と比べると、海から奈良・京都までのアクセスは、川を経由して短い旅だったのです。
そんな大阪だったのですが京都方面から流れてくる淀川が土砂が扇状地をつくり、河口付近には三角州ができ、そういった自然の力によってかつて海だった大阪のエリアには土地がつくられていきました。
また、かつては奈良から大阪にやってきて、南から北に北上していた大和川は、東から西に流れる川にその流れが変えられ、それも大阪の土地が変化していくことの一役を担っていたのです。
ここまで聞いただけでも、大阪の土地の変化というものがとてつもなく大きなものであったことが伝わってくるでしょうか。
だからこそ、大阪の街をぶらり歩き回ってみると、歴史の痕跡が垣間見える特徴ある土地がたくさん残されているのです。

では、この本を片手に、どのような大阪の姿を見ることができるのでしょうか。
大阪城外濠、そして真田丸の痕跡を探す旅
まずおすすめなのが、大河ドラマにもなった真田幸村の出城、真田丸が存在していた痕跡を探す旅です。
その名は非常に有名な真田丸。
しかし、その場所のおおよそは特定されていますが、確実にどこにあったのかというとそれはまだわからない部分も多くあります。
しかし、その真田丸が存在していた大阪城南にある外濠の痕跡は、まだまだ大阪のいたるところに残されているのです。
大阪城の外濠跡に造られたことが予想できる道。
かつての外濠部分に設けられた石積みの擁壁。
真田にまつわる建造物の数々。
これらが、現代のわれわれに、かつての大阪城外濠、そして真田丸の存在を想像させるのです。
大河ドラマ以降、真田にまつわる碑文や、説明パネルなど、以前よりも多くのものが設けられるようになったため、まさしくぶらりさんぽするのが楽しい、大阪の名所めぐりとなっているのです。

かつての川沿いの痕跡をたどる旅
水の都大阪。
今の大阪を代表する2つの大きな川、淀川と大和川。
この2つの大きな川ですが、元々は自然に流れていたものではありましたが、大阪という街を形成していく過程で、人の手が加えられて今のような形に落ち着いています。
そしてそれ以外にも、かつては数多くの川が縦横無尽に走っていた大阪ではありますが、そのほとんどは現在では埋め立てられているところが多くはなっています。
しかし、その痕跡は今もたくさん残されているのです。
あきらかにかつては川だったであろうくねり方をした道。
かつての堤防を利用して設けられた建物の数々。
大阪に残された川の痕跡を感じさせる地名。
そういった見どころがたくさんあるのです。

上町台地をのぼる、数々の坂をたどる旅
長く大阪に存在し続けていた唯一の陸地であった上町台地。
ここには、ここが台地であるということがよくわかる数多くの坂の名所があるのです。
その中でも最も有名ではないかと思われるのが天王寺七坂と呼ばれる坂の数々なのです。
今はそれららの坂の起点は松屋町筋という大きな通りになっていますが、かつてはこの起点まで海が来ていたと考えられています。
そんな海から連なる台地の坂。
坂を上りきったところからは、西の海に沈む夕日を拝むことができるスポットだったのです。
そんな坂の数々も、この本を片手にめぐることができるのです。
こういった旅以外にも、大阪市天王寺とその周囲についてのことや、かつての環濠都市であった平野。
さらには大阪市の周辺にのこる様々な場所など、地形からかつての大阪の姿を読みとり、紹介してくれているのです。
・梅田
・重曹
・道頓堀
・住吉大社
泉州
・堺
・貝塚
・岸和田
河内
・古市古墳群
・八尾・久宝寺
・石切
・枚方
北摂
・高槻摂津峡
・箕面
などなど。
これだけではなく、このほかにも数多くの大阪の名所を地形から考える内容が盛りだくさんです。
一つでも気になる地名があったのなら、一度手に取ってみることをお勧めできる書籍なのです。

いかがだったでしょうか。
大阪には長い歴史が存在します。
それは、やはり、様々な交通の便で大阪の土地が非常に利便性が高かったこと。
だからこそ、土地のない所に土地をつくり、様々な建造物がつくられていったのです。
何気なく見ただけではわからない大阪さんぽ。
この本を片手に、ディープな大阪を見て回ってみませんか。