険しい山々がたくさんの日本の中では、その山の中を長い時間をかけて湧き出てくる湧き水が出てきている場所というものが意外にたくさんあります。
そういった湧き水は、古くから人々に利用され、受け継がれてきているところがたくさんあります。
地図サイトなどで”湧き水”と入れてみてください。
驚くほど名前が出てくることでしょう。
そういった湧き水の中では、きちんと水質検査が行われ、一般の人々が利用できるところもたくさんあるのです。
水にこだわる人たちにとっては、ポリタンク片手にそういった湧き水を求めて訪れているのです。
毎日の一杯の味が格段に変わるかもしれませんよ。
今回紹介しているのは、大阪と奈良との間にある生駒山から湧き出る湧き水の一つである清浄泉と呼ばれる湧き水についてです。
生駒山の岩盤の中を長い時間かけて湧き出てきたこの湧き水は、その歴史としては空海の時代にまでさかのぼるとされています。
今回はそんな歴史ある湧き水である清浄泉について紹介していきたいと思います。
生駒山に関する記事です。



清浄泉
清浄泉は、浄井戸とも呼ばれ、大阪府柏原市の民家の中にひっそりとある湧き水です。
現在は、ポンプで組みだすようになっており、蛇口が取り付けられて、8時から21時まで誰もがその水を利用できるように整備されています。
行政によって水質検査も行われていることから、飲用としても利用できる由緒ある水なのです。(ただし、生で引用することは控えておいた方がよいです。必ず煮沸してから利用するようにしましょう。)
生駒山の麓近くにある清浄泉の水脈は、生駒山地の地形生成時に生じた岩盤の亀裂である”節理”に沿って長い時間をかけて水が濾過されていき、岩盤が地表近くなったところで上面に向かって湧き出てくる湧水です。
この清浄泉の水は空海(弘法大師)に由来しており、この地を訪れた空海が干ばつに苦しむ農民たちのためにこの場所に井戸を掘り起こして人々を救ったという伝承が残っています。
そのため清浄泉から湧き出住湧き水は、「大師の水」として重宝され続けてきたのでした。
それだけ歴史が古い清浄泉は、今から1300年余前から人々の飲み水として使われていたとされています。
清浄泉のあるこの地は、河内六寺の一つであり、東大寺の大仏の手本となったとされる大きな仏像があった智識寺がありました。
また、聖武天皇などが行幸されていたことから、寺の南には行宮が造られるなど、古くから村人だけではなく天皇や僧侶などが行き交う場所でした。
そして、そういった人々がこの井戸の水を飲み水として利用し、喉の渇きを潤したり、生活のための水として利用していたのでした。
そういった歴史的経緯があることから、昭和58年になると大阪府の文化財保護条例に基づいて史跡として指定されるに至っています。
歴史ある湧き水を一般の人でも利用できるとあって、連日清浄水を求めて多くの人々が訪れてきているのです。
アクセス
大阪府柏原市太平寺2丁目にあります。
清浄泉に行ってみた
それでは、清浄泉に行ってみましょう。

こちらが清浄泉の場所になります。
井戸からポンプで組みだす形になっているようですが、外観からは井戸である様子はわからないようになっています。
ホースのついが蛇口が付けられており、毎日朝8時から21時までは水が出るようになっています。
(厳密には8:15頃から出るようになっていました。)

大阪府の指定史跡となっている碑が立っています。
その後ろには、清浄泉の歴史について解説がありました。


天然の井戸水であるため、たくさん汲まれてしまうと減水しすぎてしまいます。
その時には赤いランプが点灯し、水の汲み上げが止まるのだそうです。
そのため、一人の人が汲む量については制限が記載されています。

蛇口は2つあります。
左側の蛇口は、ひねっている間は水が出る形になっています。
右側の蛇口は、一度ひねると水が出だして、蛇口を締めなければ水は止まりません。
右側で水を汲んだときには、汲み終わった後に水を止めることに注意が必要です。
水の出る量としては左側の方が勢いよく出ており、早く汲むことができていました。

水資源保護のために一人当たり18Lまでと制限されています。

そばには賽銭箱があります。
水を汲んだときには、お気持ち程度は入れておきましょう。



清浄泉のある場所は、このような民家が立ち並ぶほどい路地の奥にあります。
そのため、車での乗り入れは禁止されています。
また、あたりまえのことですが、騒音や大きな話し声などは注意しなければいけません。
いかがだったでしょうか。
蛇口をひねれば出てくるのが当たり前の水。
日本国内にいると水が出るのが当たり前のように感じてしまいますが、水一つだけでもこのようにこだわれば面白いものがたくさん見えてきます。
今回紹介したような湧き水を利用できる場所は、驚くほどたくさんの場所にあります。
日常の生活の中に、少しのこだわりを入れてみてはいかがでしょうか。