大阪と奈良との間には、生駒山という高い壁が立ちはだかっています。
そのため、双方を行き来するためには何らかの形でこの壁を乗り越えなければいけません。
生駒山を北や南から迂回していくのか。
トンネルを通るのか。
そして、峠を越えるのか。
です。
現代であれば、生駒山を直進するトンネルを利用するのが最速ですね。
ただしその場合、近鉄電車を利用するか、有料の自動車道を使うかということです。
この方法は双方を行き来するためには最も効率の良い方法です。
土木建築技術の発展の恩恵さまさまですよね。
では、そんなトンネルがない時代は??
もちろんその場合は迂回するか、峠越えだけしかありません。
そして、その中でも大阪ー奈良間を最短で結ぶ峠越えが存在します。
その峠越えは、かつての街道として存在した峠なのですが、現在も存在し利用し続けられている峠なのです。
その峠を暗峠(くらがりとうげ)といいます。
この峠、知る人ぞ知るあることで有名な峠なのです。
今回は、この大阪ー奈良間を最短で結ぶ街道にある峠、暗峠について紹介していきたいと思います。
生駒山に関する記事です。








暗峠
暗峠(くらがりとうげ)とは、大阪の河内平野を横切り、生駒山を越えて大阪と奈良とを結んでいる暗越奈良街道の途中にある、生駒山にいくつか存在する山越えルートの一つです。
いくつかある山越えの中でも、大阪ー奈良間を約34kmで結ぶ道であり、現在のように大阪ー奈良間がトンネルで結ばれるまでは、比較的多くの人や車などに利用されてきた峠を有する街道でした。
その歴史は古く、奈良時代以前から利用され続けてきている古道の一つです。
古道として利用され続けてきましたが、江戸時代に入ってからは本街道としてではなく脇往還(江戸時代の五街道以外の主要な街道)として、人の往来や貨物の移動ななど、重要な交通路として盛んに利用紗続けてきました。
大阪と奈良を最短距離で結ぶ。
それだけ聞くと、双方の行き来にはここを使うことが最適解のように感じてしまいますが、そうは単純な話ではありません。
現在は国道であるこの暗峠をこえる交通路。
少し調べてみるとわかると思うのですが、別名では酷道(こくどう)ともよばれているのです。
なぜ、そのような呼び方があるのか。
暗峠は標高455mのところにあります。
短い距離でその高さを登るということは・・・。
そうです。
この暗峠に続く道は、とんでもない急勾配の道が続く難所となっているのです。
特に大阪側の傾斜角はすさまじく、距離にすると麓から峠までは約2.5kmという距離なのですが、その勾配のために難所として知られているのです。
あまりにも急勾配であるためアスファルトの道路にすることはできず、コンクリート舗装の道となっているほどなのです。
しかし、奈良時代以前から使われている古道ということから、沿道には古寺や地蔵、石仏といった見どころも数多く点在しており、徒歩で峠越えを行っている人もたくさん見かけます。
暗峠には古くから石畳が敷かれたいることが特徴です。
現在は数件のお店と小さな集落があるのみになっているのですが、かつては河内屋や油屋といった20軒近くの茶店や旅籠(はたご:江戸時代に街道宿駅などで人々を宿泊させた食事付の宿)がありました。
この街道を主に利用したのは、伊勢参りに出かける人々。
多くの伊勢参りの人々でにぎわいをみせた峠だったのだそうです。
石畳の道や石仏、道しるべや石灯篭など、ここが歴史ある峠であることがわかる風景が残されており、日本の道百選にも選ばれている由緒ある場所となっています。
この峠の場所に敷設されている石畳事態も非常に歴史があるらしく、江戸時代の参勤交代時に、殿様が乗った篭が滑らないようにするために、奈良県にあった郡山藩によって敷かれたものなのだそうです。
滑ることはないかもしれませんが、足はくじいてしまいそうなほどの石畳なんですけどね。
この歴史ある古道をぜひ体験してもらいたい。
とは思いますが、何よりもそのハードルの高さは酷道であること。
とんでもない傾斜のある道をひたすら進む必要があるため、何よりも体力に自信があることが求められるでしょう。
アクセス
大阪の東大阪市から奈良の生駒市に抜けます。
暗峠の地点で、大阪と奈良の境界があります。
暗峠に行ってみた
それでは、暗峠に行ってみましょう。

こちらが暗峠、山頂部分になります。
石畳の様子が見えますね。
なお、上の写真の地点が大阪府と奈良県の境になる場所です。

日本の道百選に選ばれている碑です。

現在の暗峠には、このような茶店が残っています。
峠を訪れた力者には大人気なようです。
とんでもない傾斜の坂道ではあるものの、人やバイク、車もちょいちょい往来しています。

小さな集落もあります。
なお、大阪側からの峠越えの方が、酷道にふさわしい傾斜になっています。
奈良側の方が比較的傾斜角や道幅もましでした。

いかがだったでしょうか。
この暗峠に到着するまでには、おそらく他ではお目にかかれないような坂道が続きます。
大阪と奈良とを代表する道の名所。
ぜひ一度、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。