881【映画あれこれ】インドネシアを震撼させた大虐殺事件を取りあげた映画『アクトオブキリング』

映画あれこれ(Movie)
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インドネシアは世界でも最大のイスラム教徒人口を誇る国です。
その数は総人口の約90%と、とてつもない数を誇ります。
じゃあ、それ以外の宗教の人たちには暮らしにくそう・・・。
と思ってしまうかもしれませんが、そういうわけではありません。
インドネシア国内には、キリスト教の人も、ヒンドゥー教の人も、仏教の人もいます。
そして、国の祝日にはそれらのイスラム教徒は違う宗教の特別な日も、国家の祝日として制定されるほどなのです。
厳格なイスラム国家とは少し雰囲気が違いますよね。

しかし、そんなインドネシアで唯一国から目をつけられる人々がいるのです。
それが、無宗教の人です。
インドネシアで暮らすためには、必ず何かしらの宗教を信仰している必要があります。
それだどんな宗教であっても国は寛容に認めてくれるのですが、無宗教の人だけにはインドネシア国家は冷遇を強いてきます。

それはなぜかというと、インドネシアが根強い反共産党の立場を持っているからなのです。
共産党というと宗教を否定していることから、人々は無宗教となります。
そのために、インドネシアでは無宗教の人に対して強い疑惑の目を向けるのです。

なぜインドネシアではそれほどまでに共産党に対して否定的な立場をもつのか。
そういったインドネシアがもつ歴史について語っている珍しい映画が、今回紹介している『アクトオブキリング』です。
この映画は、インドネシアのどのような歴史を我々に伝えてくれるのでしょうか。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • かつてインドネシアで行われた大虐殺事件。インドネシアにこれほどまでの負の歴史があったという驚きをこの映画は伝えてくれるのです。

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映画『アクトオブキリング』

世界最大のイスラム教徒を有する国家インドネシア
宗教に対して非常に寛容であるこの国にあって、これほど凄惨な事件があったのかということを伝えてくれる映画が『アクトオブキリング』です。
この映画は1965年にインドネシアで起こったインドネシア共産党勢力を一掃するために起きた軍事クーデター且つ大虐殺事件である、9月30日事件を取り扱った映画です。

この映画ではその歴史を追うだけではなく、その当時実際に虐殺にかかわった人物たちの取材や、その様子を再現させるなどした映像を使ったドキュメンタリー映画として作られています。

テーマとなっている9月30日事件とは、インドネシア二代大統領であるスハルトが首謀となって行われたインドネシア共産党勢力の掃討作戦です。
1965年9月30日に起こったこの事件は、インドネシア初代大統領であるスカルノの政策に起因します。

インドネシア建国の父であるスカルノは、かつてインドネシアを支配していたオランダからインドネシア独立を成し遂げた国民的英雄でした。
しかし、独立後に経済的かつ国際的に国を発揮させていくことは大きく失敗してしまっていました。
深刻な食糧危機とインフレ。
さらには、外交でも失政が相次ぎ、スカルノの立ち位置は危ういものになっていました。
そんなスカルノの支持基盤の一つだったのがインドネシア共産党勢力でした。
スカルノ下で力をつけてきたインドネシア共産党は、徐々にその力を伸ばしていきます。

そんな折に、首都ジャカルタではインドネシア共産党が軍事的な行動を開始し、陸軍の将校たちが殺害されます。
クーデター鎮圧をするために陸軍のスハルト少将は、速やかにクーデター鎮圧作戦を開始します。
スハルトの作戦によりクーデター勢力はその作戦失敗を余儀なくされ、共産党勢力による一連の行動は鎮圧されることとなります。
この一連の事件に対し、スカルノは事件の関与を疑われることとなります。
この事件を契機としてインドネシア共産党に対する国民からの表かは地に落ち、スカルノもその政治的な影響力を失っていきます。

この9月30日事件の後、インドネシア共産党に対する市民の怒りは頂点に達します。
半年ほどの間に、共産党を助長する中国語教育や文化が禁止されるとともに、多くの架橋を中心とした、一説には100万人以上ともされるインドネシア共産党主義者が虐殺されることとなります。
そして、共産党を後ろ盾としてもっていたスカルノも大統領の座を追われ、スハルトにその椅子を委譲することとなったのでした。

こういった経緯から、インドネシアでは現在もなお共産党に対しては強い嫌悪感をもつ状態となっているのです。

アクトオブキリングの映画で扱われているのは、この時に起こった共産党主義者たちの大虐殺のこと。
この大虐殺を起こしたのは、プレマンと呼ばれるインドネシアのやくざたちです。
このプレマンたちによって共産主義者殲滅の名のもとに、とてつもなく多くの人々が虐殺されていったのでした。
映画の中では、実際にプレマンとして多くの人々を殺めた人物にインタビューが行われます。
自分たちのやったことを正当化し、誇らしげに語るプレマンたち。
そして、映画の名かで、実際に虐殺の場面を再現した映像を作成し、映画化しようとしていくことになります。

当時虐殺を行っていた人々は、乗り気な状態で映画撮影を始めていきます。
しかしその再現シーンを撮影していくにしたがって、かつて虐殺を行っていく人々の心に変化が訪れるのです。
映画の中では虐殺する側だけでなく、彼らにも虐殺される側の役割を演じさせます。
ここで初めて彼らの中に、客観的に自分たちのしていたことを見ることができるようになります。
自分たちの死ていることは正しいことだった。
そう思い続けてきた人々。
そんな人々が当時のことを思い出し、自分たちが行ってきた行為に対して思ったことは・・・??

いかがだったでしょうか。
かつてインドネシアでこれほどの大虐殺事件があったというのはほとんどの人が知ってはいないことでしょう。
しかし、インドネシアという国に住む人々がもつ、あえて触れてはいけないような過去というものを知ることによって、よりその国そのものを理解するためには大切なことなのではないでしょうか。
表面的な部分だけではなく、きちんと国の成り立ちにつながる負の部分にも目を向ける。
それがお互いに理解し合えることにもつながるのかもしれません。