882【奈良紀行】百人一首を巡る旅。奈良の平群に残る和歌に詠まれた風景を見に行ってみよう『三室の山と竜田川』

近畿地方(Kinki)
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嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり
(能因法師)

千早ふる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くゝるとは
(在原業平)

この二つの和歌は、百人一首にあるものです。
この和歌には、奈良県のとある場所のことが詠まれているわけです。
両方の和歌に詠まれているのが”竜田川“。
そして、先の和歌に詠まれている”三室の山“。
この2つの場所は、今もなお奈良県の斑鳩町にあるのです。

どちらも紅葉の名所であるこの場所の美しさをイメージして詠んだもの。
イメージだけでその美しい景色を言い表せるほどの光景がここには広がるのです。
そろそろ秋を迎えるにあたって、百人一首に詠まれている名所を巡ってみて、1000年ほどを隔てた詠み人の思いを感じてみませんか?

今回はこの奈良県の三室の山と竜田川について紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 和歌で受け継がれるほど人の心を揺り動かす風景。その様子を実際に見に行ってみませんか。

三室山と竜田川

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり
(能因法師)

三室山に嵐が吹き散らしました。
三室山の紅葉の葉は散ってしまいましたが、その葉が龍田川の水面に浮かんで埋め尽くしてしまっています。
そのようすがまるで錦の織物のようであり、再び美しい景色を創り出しています。なんと美しいことでしょう。

これは、宮中の歌合という遊びの場で詠まれた和歌であり、実際に三室山と竜田川を目の前にして詠んだものではありませんが、詠み人の想像力にまるで絵画のようなイメージを膨らませるほど、三室山は赤や黄色の紅葉で覆われます。そして、実際には埋め尽くすことはないのだそうですが、その散った紅葉の葉が竜田川を彩らるイメージを沸かせるほど、脳裏に残る光景なのです。

千早ふる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くゝるとは
(在原業平)

屏風に描かれた龍田川の紅葉の絵を見て詠み人は読みます。
様々な不思議なことが起こっていたとされる大昔の神々でさえも聞いたことがないような出来事が目の前に広がっています。
竜田川の一面に紅葉が浮いて、川一面を真っ赤な紅色にしています。
川の水をしぼり染めに染め上げているかのようだ。

これは、屏風歌と呼ばれる和歌であり、和歌を通して屏風の良さをほめることを目的としています。
屏風には、これまた一面水面に浮かぶ紅葉が描かれています。
この歌にいは”紅葉”という言葉が出てこないものの、人々の頭には秋の色とりどりの紅葉の様子が浮かんできます。

この2つの歌に登場するのが、竜田川
そして、三室の山=三室山
この2つの場所がともに目の前に広がる場所が、現在の奈良県斑鳩町にある紅葉ヶ丘公園(三室山・神南備山)です。
百人一首の歌碑もあるこの小高い丘にある公園が三室山であり、そのすぐ東側を南北に竜田川が流れています。

竜田川は標高82mの小高い丘であり、桜の名所、そして紅葉の名所として知られています。
古くから人々に愛されているこの場所は、聖徳太子の時代に神様のおられる場所”神南備”をこの三室山の場所に移されたと言い伝えられています。
古くから多くの歌人に愛され、この場所を詠んだ多くの和歌が残されています。

嵐吹く・・・、を詠んだ能因法師はこの下方にある集落に住んでいたとされ、三室山によく遊びに来たいたのだそうです。
その能因法師の供養塔と考えられている五輪塔が山頂に残されており、今もこの場所と、百人一首の歌とのつながりを感じさせてくれる場所となっています。

アクセス

奈良県生駒郡斑鳩町にあります。

三室山と竜田川に行ってみよう

それでは、三室山と竜田川に行ってみましょう。

こちらが三室山の入り口です。
現在は、紅葉ヶ丘公園となっています。

山の入り口には、ここが舞台となって詠まれれている百人一首の和歌2首がありました。

それでは三室山を登ってみましょう。
こじんまりとした山ではありますが、なかなか足に来る山です。

この階段から振り返ると、その脇を流れる竜田川が見えます。
まさしく、百人一首に詠まれている光景がここにあるのですね。

なかなか本格的な山登りです。
頂上までは5分くらいかなと思います。

まだまだ続きますよ。

ようやく何かが見えてきました。

この休憩所の建物が見えたら頂上です。
中々見晴らしは素晴らしいですよ。

休憩所そばには五輪塔があります。
これが能因法師の供養塔と考えられている五輪塔です。

いかがだったでしょうか。
美しい風景をイメージするのは、今も昔も変わらないこと。
実際にこの三室山を訪れてみると、当時の人々がここの風景をイメージして和歌を詠みたくなる気持ちもわかるかもしれませんね。
今回は紅葉の季節ではなかったのですが、紅葉の時期のこの三室山の様子は格別なようです。
大昔からつながる景色を今も見ることができる場所。
百人一首は旅を深めてくれるのです。