日本の最北端にある北海道。
明治期になって開拓使が多く入り、北海道独自の気候を生かして様々な産業が開発されていました。
そんな数々の産業の中で、北海道で始められたものの中の一つに、ビール製造があります。
ビール製造というと、その原料の調達がまず必要です。
大麦やホップといったビールの原材料を安定的に調達する必要があります。
また、その製造には低温環境の中で発酵させ熟成させていかなければいけいない必要があるため、北海道はこういったビール製造に必要な条件がそろっている場所なのでした。
そのため、日本のビールはこの北海道から始まったともいえるのです。
そんな日本のビール製造が始まったのは今から約150年前。
そして、その伝統は現在のサッポロビールへとつながっているのです。
そんなサッポロビール発祥の地にあるのが札幌開拓使麦酒醸造所なのです。
元々はビール製造工場であったこの建物。
現在は無料で見学できる見学館となっています。
実際にビール製造で使われている設備などを見ることができるこの小さな見学館を今回は見に行ってみましょう。
というわけで、今回のわきみちは、
北海道絡みの記事です。




















札幌開拓使麦酒醸造所
札幌開拓使麦酒醸造所は、北海道は札幌にあるサッポロファクトリー内にあるレンガ造の見学館です。
この年季のあるレンガ造の建物は、かつて北海道のビール製造発祥の地に立つ、約150年もの歴史をもつビール製造所(ブルワリー)跡なのです。
明治時代といえば、北海道の開拓がはじまった時代。
明治2年には、北海道開拓のために、明治政府によって開拓使が設置されました。
新たな広大な大地では、新たな産業づくりが早急に行われました。
広大な大地と、北海道ならではの気候を生かした農産物が育てられ、新たな産業の創出も積極的に取り組まれました。
このころには、海外からビールなるものが日本にも伝えられ始めます。
広く知れ渡ってくると、日本も独自にビールづくりを進めていきたいと思うようになります。
ところがビールづくりに必要なのは、大麦やホップという原材料を安定的に調達することができること。
そして、製造過程で発酵や熟成をさせる時に大量の氷が必要なことでした。
ドイツ式ビールを製造するには、摂氏10度以下の中で発酵させる工程を欠かすことはできませんでした。
実際、ヨーロッパでビール製造を行っている場所でも、何らかの形でこの氷をなんとか調達できる場所にありました。
ヨーロッパの中でもイギリスやドイツなど世界的なビール生産国の生産地の気候と似た場所を日本国内で探すと、それは北海道に他ならなかったのです。
こういった条件を満たす場所として北海道は早くからビール製造に最適な場所として考えられていました。
そこで、北海道には、海外でビールの製造法を学んだ人々などが集まって、明治9年(1876)年に現在も一部が残る開拓使麦酒醸造所が作られ、ドイツ式のビールが日本国内で製造されるようになりました。
元々その建屋は木造で建造されていましたが、だんだんとレンガ造の建物として増築され続けていきました。
現在では、古いレンガ造の建物の一つと、ビール工場のシンボルでもある黒い鉄の高い煙突が残されています。
開拓使麦酒醸造所の大部分は平成5年にショッピングモールであるサッポロファクトリーとなっています。
その一角に一部が残る開拓使麦酒醸造所には、無料で見学することができる見学館が設けられています。
この見学館では、札幌でのビール製造の歴史や、ビールにまつわる展示品の数々、そして麦酒醸造で使われている仕込釜や、濾過槽といった大きな設備なども見ることができるようになっています。
アクセス
札幌駅から南東に約1㎞、サッポロファクトリーというショッピングモール内にあります。
札幌開拓使麦酒醸造所に行ってみた
それでは、札幌開拓使麦酒醸造所へ行ってみましょう。

こちらが札幌開拓使麦酒醸造所です。
この中に見学館が設けられています。

すぐ左側には、この工場のシンボルでもある黒い鉄の煙突があります。
中々の高さがあり、北海道開拓時代にはこれに並ぶほどの建物はなかったであろうことを考えると、シンボルというのも納得です。



館内に入ると、仕込釜や、濾過槽がアクリルパネル越しに眺めることができるようになっています。

小さな見学館ではありますが、この札幌開拓使麦酒醸造所の歴史や、北海道でのビール製造についての物語が書かれています。

こちらには、この工場で製造されたビールの展示があります。

上にはサッポロビールの歴代の看板やポスターなどの展示もあります。
いかがだったでしょうか。
サッポロビールにつながる純日本産のビール製造に人々が務めた伝統ある建物が今もなお残り、さらに見学館として活用されているのです。
しょっぽんぐモールでの買い物ついでによることができる立地の良さもあるため、気軽に足を運べるスポットではないでしょうか。