奈良県奈良市。
中心部である奈良駅から東に15kmほどの場所にあるのが今回紹介している布目ダムです。
淀川水系の木津川につながる布目川に設けられたダムであり、木津川上流ダム群の中では、竣工から30年ほどとまだ比較的新しい部類のダムです。
増え続けていた関西圏の水需要を満たすために非常に重要な拠点にあるダムなのです。
ダムがつくられるとそこにはダム湖が生まれます。
布目ダムもそのそばに布目湖というダム湖があります。
ここはダム湖となってから湖岸道路が様々な目的で利用されるようになっており、地元の人々や近隣に住む人々によって多目的なレジャーに利用される場所と案っているのです。
今回はこの奈良県にあるダム、布目ダムについて紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
木津川系のダムに関する記事です。




布目ダム
布目ダムは、奈良県奈良市にあるダムです。
淀川水系の木津川につながる布目川に設けられたダムの1つです。
重力式コンクリートダムに分類されるダムとなっており、上水道の供給だけではなく、淀川からつながる木津川、そして布目川の洪水調整と、農業用水の補給といった利用が行われている多目的ダムとなっています。
洪水調整機能は、このダムができたことによって、そこにつながる河川の洪水被害をかなり軽減することができているのだそうです。
また、水道用水としては、奈良市及び山添村の水道用水として日々多くの人々から利用されています。
ダムのそばには構造の異なったわきダムが連なっているようにも見えますが、実際は別に建造されている岩石や土砂を積み上げることで設けられたロックフィルダムもあります。
また、上流にはダム湖に流入する土砂などを軽減する目的で副ダムも設けられています。
淀川につながる木津川流域には数多くのダムが設けられて、関西圏の治水に大きな役割を果たしています。
昭和40年代から数々のダムが設けられ、増え続ける水需要に対して対応をしていました。
そのような増え続ける水需要のために1970年代序盤に策定された計画の中にてこの布目ダムの事業計画が策定されました。
実際に工事に着工されたのが1975年でありこの年から計画調査が行われることになりました。
ダム建設で必ずのように起こるのが、その地域に対する補償問題です。
布目ダムでもこの問題は起こりました。
この建設予定地でも、48戸の家屋と、40haの農地が水没するとあって、ダム湖ができることによって湖底に沈む住居と農地に対して強固な反対活動があったりました。
しかし、そういった問題はあったものの、様々な補償を提示することによって粘り強い交渉が功を奏し、ダムは1992年に完成を迎えます。
ダムが完成すると必ずそこにはダム湖が現れます。
布目ダムができたことによってそこには布目湖というダム湖が設けられることになりました。
この布目湖の湖岸道路は、アップダウンやカーブが連なり、自転車競技やランニングの練習で心肺機能を強化するためには最適な場所となっています。
実際に、1999年から2010年までは、世界的に知られた自転車ロードレースのツアー・オブ・ジャパンの周回コース及びゴール地点としても使われていた場所でした。また、毎年12月にはマラソン大会「やまぞえ布目マラソン」も開かれており、毎年2000人規模の参加者があるマラソン大会となっています。
さらに、湖岸道路だけではなく、湖自体もブラックバスをはじめヘラブナやワカサギなどの釣りが楽しめる場所としても多くの人々から利用されています。
布目ダムが建設される予定だったこの地域には、古くから人々が定住し、室町・南北朝時代から江戸時代に造られた石仏なども多く存在していました。ダムの完成によって水没する場所にあった石仏などは、ダム湖周辺に移設が行われています。
また、後醍醐天皇にゆかりのある笠置山や、剣豪の里としても有名な柳生にも近い場所となっています。
アクセス
奈良駅からは15kmほど東の山の中にあるため、公共交通機関でのアクセスは難しいかもしれません。
布目ダムへ行ってみた
それでは、布目ダムへ行ってみましょう。

布目ダムの管理所にやってきました。
ここまでダム名をアピールしている管理所もなかなか珍しいですね。

これは建設の碑であり、石を積み重ねて人の形を表しています。
ダム完成の喜びと、多くの人々がそれを支えている姿を表現しているのだそうです。

すぐそばに布目ダムがあります。

こちらが布目ダム、そして布目湖です。

布目ダムですね。
ここを超えるとわきダムがあります。
また、右岸広場という広場もあるようです。

こちらが放水側です。

この日は水が放水はされていませんでした。
いかがだったでしょうか。
ダム湖ができたことにって、それまでの歴史が深い地域ということだけではなく、新たなレジャーを楽しむ多くの人々が集まる場所となった布目ダム。
多くの人々のための治水とともに、地域の人々から親しまれる場所として、これからも多くの人々を呼び込みそうですね。