923【映画あれこれ】ローマ法王にかかる重圧。そしてそこにある苦悩を描いた『ローマ法王の休日』

映画あれこれ(Movie)
この記事は約5分で読めます。

キリスト教の最高権威であるローマ法王
世界中にいるキリスト教徒から常に注目されるローマ法王。
そのローマ法王になるということは、もはや一人の人間としてではなく、世界中のキリスト教徒のローマ法王となるわけで、自由な時間というのは無くなってしまうことでしょう。
そんなローマ法王になるということはどういうことなのでしょうか。
そんな世界中の人々が知っているけれど、実際にどうやってその立場になるのか。
どんな生活をしているのか。
そんなローマ法王の事実をコメディ映画として取り扱っているのが映画『ローマ法王の休日』です。

近年であれば、2005年にあったローマ法を選ぶ手続きであるコンクラーヴェ。
日本でもかなり報道されたので知っている人も多いのではないでしょうか。
そんな手続きから始まるこの映画。
伝統的な選挙手法で選ばれたのは、枢機卿の面々の中でも予想だにされていなかった人物なのででした・・・!?
この選ばれた人物は、どのような行動に出るのか!?
そして、ストレートに結末に結びつかないこの映画のクライマックスとは!?

今回はこの、ローマ法王の休日という映画について紹介していきたいと思います。

というわけで、今回のわきみちは、

【今回のわきみち】
  • 世界中のカトリック最高権威の人物の真実。ローマ法王のことに詳しくなれるこの映画を見てみよう。

映画に関する記事です。

902【映画あれこれ】原爆投下からわずか8年。この出来事を風化させまいとした人々によって作られた映画『ひろしま』
原子爆弾を取り上げた作品の中でも、原爆の悲劇からわずか8年後という時代に、実際に広島での原子爆弾の様子を目の当たりにした多くの一般のエキストラの人々が参加した映画があります。その映画を『ひろしま』といいます。
881【映画あれこれ】インドネシアを震撼させた大虐殺事件を取りあげた映画『アクトオブキリング』
インドネシアは世界でも最大のイスラム教徒人口を誇る国です。それ以外の宗教の人たちには暮らしにくそう・・・。と思ってしまうかもしれませんが、インドネシア国内には、キリスト教の人も、ヒンドゥー教の人も、仏教の人もいます。そして、国の祝日にはそれらのイスラム教徒は違う宗教の特別な日も、国家の祝日として制定されるほどなのです。厳格なイスラム国家とは少し雰囲気が違いますよね。
860【映画あれこれ】インドのムンバイ同時多発テロを取り扱った映画『ホテルムンバイ』
た世界を震撼させた事件は、映画化され後世に語り継がれていく場合があるのです。今回紹介している映画もとあるテロ事件を紹介したものです。その映画とは、ホテルムンバイといい、2008年に起きたインドのムンバイ同時多発テロを取り扱った映画なのです。
839【映画あれこれ】実際の事件を取り上げたドキュメンタリー映画。まさか現代にこのようなことが…『奴隷の島、消えた人々』
今回紹介している映画は、『奴隷の島、消えた人々』。ドキッとしませんか、このタイトル。"奴隷"という言葉が印象的なこの映画のタイトル。いかに古い時代の話なのかなと思いきや、その詳細を見てみると、意外や意外。この映画は実際に2014年に発覚した韓国でのとある事件を取り扱った映画なのです。
818【映画あれこれ】もはや説明の必要のないほどの名作映画。映画と旅とがつながったのはここからかもしれない『ローマの休日』
今回紹介している映画は、日本では1954年に公開されたこの映画ですが、この映画を見て、映画の中で出てきた様々な舞台を巡りに行く!という行動に出た人々も多かったと聞きます。その映画の名前を『ローマの休日』といいます。
797【映画あれこれ】かの有名なこの人物を、一人の少女として新たな角度から映画化した『マリー・アントワネット』
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない。」このセリフを聞いたことがあるのではないでしょうか。誰のセリフだったかなあ、と思い返してみると、歴史上のとある悪女が浮かんでくる緒ではないかと思います。その人物こそが、フランス国王ルイ16世の王妃だったマリー・アントワネットです。
755【映画あれこれ】1950年代のサイゴンが舞台。10歳で奉公に出た少女の成長と人々との交流を描いた作品『青いパパイヤの香り』
今回紹介しているのは、ベトナムの大都市であるホーチミンシティがまだサイゴンと呼ばれていた1950年代のベトナムを取り扱った映画です。その映画の名前は、『青いパパイヤの香り』といいます。
734【映画あれこれ】ベトナムの古い慣習を映像化。しかし、その映像化は問題となり・・・『第三夫人と髪飾り』
ベトナムで作られた『第三夫人と髪飾り』という映画。この映画の舞台は19世紀のベトナム。一夫多妻制が残り、男児を生み育てることが女性の務めとされていた古き慣習の残る時代。その時代に翻弄される14歳の少女が主人公の映画です。
713【映画あれこれ】暗黒の時代を実際に体験した人物が演じるリアリティ『キリングフィールド』
今回紹介しているキリング・フィールドという映画は、地獄のような日々に突き進んでいっていた、当時のカンボジアの状況を表している映画なのです。その映像は非常にリアリティにあふれているのですが、そこまでのリアリティがなぜ表現できたのかというと、この映画の助演の男性が、実際にクメール・ルージュ下のカンボジアを生き抜いた人なのです。
573【映画あれこれ】同じ民族が引き裂かれた悲劇の戦争、朝鮮戦争。ある兄弟の姿を通して戦争の現実を物語る『ブラザーフッド』
映画『ブラザーフッド』は、朝鮮戦争に翻弄されたある兄弟を取り扱った映画なのですが、ストーリーとしてはフィクションであり、実際には起こりえないだろうという点もあったりするため、賛否分かれる映画です。ただ、戦争が同じ民族、家族、恋人たちを引き裂き、多くの人々の心の中に傷を残した戦争の雰囲気は十分に伝えてくれる作品だと思います。
555【映画あれこれ】ベトナム戦争時、アメリカはこの国の中でどのような立場だったのか『グッドモーニング、ベトナム』
ベトナム戦争真っただ中のサイゴン(現在のホーチミンシティ)でアメリカ兵のためにラジオ放送を行っていたある空軍兵且つラジオDJの視点から見たベトナムを描いた作品『グッドモーニング、ベトナム』です。このストーリーは実在の人物の体験に基づいて描かれており、ベトナム戦争のまた違った一面を見ることができる映画なのです。
537【映画あれこれ】ポル・ポト政権下のカンボジアでの実話。この国を襲った歴史の一端が見える『地雷を踏んだらサヨウナラ』
ポル・ポト率いるクメール・ルージュによって激しい内戦状態に陥っていた1970年代のカンボジア。そのような状況下にあったカンボジアに単身乗り込み、カンボジアの実情を伝え続けたのが一ノ瀬泰造氏なのです。そんな一ノ瀬泰造氏の半生を映画化したものが、今回紹介している、『地雷を踏んだらサヨウナラ』です。
522【映画あれこれ】今の時代ではありえないかもしれないが、人が自分の力で生きるためにはありだったのか『フリークス』
今回ふと目に留まったとある白黒映画。その映画なのですが、邦題では『怪物園』、原題では『フリークス』といい、サムネイル画像には下半身がなく、手だけで体を支える人物の画像が。あまりにも強烈なその画像が気になり、この映画を閲覧してみましたが・・・
507【映画あれこれ】イギリス統治時代のインドが舞台。この時代の女性のおかれた立場がよくわかる伝説的な女優『マドビ・ムカージ』
オンデマンドビデオサービスの中では、これまでに全く知らなかったような動画も目に入ります。たくさんのサムネイルを見ていると、その中には目に留まるものもあったりするのです。オンデマンドビデオサービスで目に留まったある映画作品と、そこから知ったとあるインド人女優であるマドビ・ムカージについて書いていきたいと思います。

映画『ローマ法王の休日』

ローマ法王の休日は、2012年に公開された映画です。
前ローマ法王の逝去に伴って新たなローマ法王が選ばれるための手続きであるコンクラーヴェが開かれることとなります。
全世界の信者や報道関係者が見守る中、清ローマ法王に選出されたのはメルヴィルという枢機卿です。
予想だにされていなかったメルヴィルの選出は、人々が驚く以上にメルヴィル本人が動揺する結果でした。

新たにローマ法王に選ばれた人物は、まずは信者たちに対してお披露目の挨拶をしなければいけません。
しかし、メルヴィルはローマ法王の重圧と、沸き起こる信者たちの歓声に対して不安を抑えきれなくなり、自分の部屋へと逃げ帰ってしまいます。

なかなか信者の前に姿や名前すら表さない新ローマ法王。
人々はその発表を今か今かと待ち続けます。
ところが、いつまでも発表されないことに対して世界各国の首脳陣も遺憾の意を表し始めていきます。

しかし、当のローマ法王であるメルヴィルは、あまりにも心理的な不安や職責の重圧によって情緒不安定となっていきます。
周囲からの多大な期待には応えたい。
しかし、体が思うように言うことをきかない。
メルヴィンは秘密裏に宮殿から移動させられカウンセリングを受けることになります。
カウンセリング後、メルヴィルは報道官が目を離した隙にその姿を隠します。
しばらく戻ることができないという電話を残して。
報道官はメルヴィルが消えてしまったことを隠すための工作をせざるを得なくなります。

そして、街に繰り出したメルヴィルでした。
そこで若いころの自分が演劇に打ち込んでいたが、才能がないと悟り挫折した経験を思い出します。
しかし、メルヴィルが街で見る光景には、熱心に法王を信じて、人々の前に姿を現すのを待っている人々でした。

若いころに心に大きな挫折を味わったメルヴィル。
そんなメルヴィンは観劇のさなかに見つかり、宮殿へと連れ戻されます。
そして、信者の前には待ちに待った新ローマ法王が姿を現します。
しかし、メルヴィルは、自分自身には法王を務めるには力不足であることを認識し、ローマ法王としての自分を投げだしてしまいます。

普通にこの映画を見ていれば、人々が新ローマ法王に期待する町の人々を見て、最後は立派なローマ法王として・・・、となることを想像するのではないでしょうか。
しかし、この映画はそうはなりません。
ローマ法王と言えど一人の人間。
様々な過去があり、重責が重くのしかかるとそこから逃げ出したくなる一人の人間なのです。

ローマ法王としてではなく、一人の人間であり続けることを選んだメルヴィル。
この映画を見る人は、この映画からどのようなことを受け取るのでしょうか。

いかがだったでしょうか。
予定調和で終わりそうでありながら、そのラストには少々驚かされてしまうこの映画。
一人の人間、ローマ法王を、少し異なった角度から見ることができる、希少な映画ではないでしょうか。
カトリックの一大イベントであるローマ法王の選出がどのように行われるか。
それについてもこの映画で知ることができます。
今までは知らなかった世界的な宗教行事への見識を増やす意味でも、一度見てみる価値はあるのではないかと思います。
こういった世界のあらゆることへの知識が増えていくことによって、そこから旅のきっかけへとつながっていくこともあるかもしれませんね。