北海道の東の端にある根室市に行くと、市の中にとある看板やら公国やらがたくさん目に付くようになってきます。
その内容とは、北方領土は我が領土というような内容のものです。
根室といえば、海を挟んだすぐ目と鼻の先に北方領土の島々が見える場所にあるからなのです。
そんな場所にある根室を含めた道東の地域には、北方領土に関する施設が数多くあるのです。
その中でも今回紹介しているのは北方領土資料館という施設です。
この施設は、日本最東端である納沙布岬にある資料館となっており、北方領土のことについて学ぶことができる資料館となっています。
何よりも特筆すべきは、北方領土にかつてあった日本人の生活についてフォーカスしていること。
戦前、確かにそこには日本人たちが暮らしていたという事実があったのです。
中々詳しく知る機会も少ない北方領土についてのことですが、現代までの経緯について知ることができる貴重な機会となることは間違いないことでしょう。
今回はそんな北海道の根室にある北方領土資料館について紹介していきたいと思います。
というわけで、今回のわきみちは、
これまでの道東の記事です。














北方領土資料館
北方領土資料館は北海道は根室市にある北方領土に関する資料が数多く展示されている資料館です。
なお、日本百名城の登録番号1番、根室半島チャシ跡群のスタンプはここにも設置されています。
この資料館の特徴は、北方領土には確かに戦前まで日本人がそこに暮らしたという事実があったということです。
以前紹介した根室市の金刀比羅神社にも、かつて北方領土の島々にあった神社のご神体が移されていることからもわかるのではないでしょうか。
北方領土問題が勃発したのは、昭和20年8月に終戦した直後のこと。
ソ連によって占拠され、現在もまだロシアによって不法に占拠されている北方領土は、長くの間日本から北方領土の返還要求を続けている島々なのです。
そんな北方領土の問題をしっかりと発信するための一つの拠点としてこの資料館は設けられました。
今であれば日本人が住むことはできない北方領土ですが、戦前までにはそこに日本人が生活していたという事実あります。
人々の何気ない生活があり、日本の街並みがそこにはあったのです。
しかし、この島で実際に暮らしていた元島民の人々は年々減少していく現実があります。
このままであれば、北方領土には日本人が暮らしていたという歴史的な事実が風化していき、返還運動にとっても大きな課題となってきています。
そんなかつて島に暮らしていた人々の生活を正しく後世に伝えていくために、資料館の中にはかつての島の人々の「衣食住」に焦点を当てた資料構成が行われています。
アクセス
納沙布岬から西に400mほどのところにあります。
北方領土資料館へ行ってみた
それでは、北方領土資料館へ行ってみましょう。

こちらが根室市北方領土資料館の入り口になります。

百名城スタンプはこの施設にも置かれていますので、チャシ跡群に実際に訪れるのであれば、ここでスタンプを押すのが便利でしょう。
なお、根室市駅にスタンプはあります。

1階は、島に暮らす自然の生き物たちの紹介と、そこに暮らしていた人々の生活に焦点を当てた内容になっています。

様々な生き物が生息しているのが北方領土の島々なのです。

こちらはかつての色丹島にあった色丹神社にあたとされる、シロナガスクジラの顎骨と肩甲骨を使った鳥居のレプリカが置かれています。
このレプリカは実際の鳥居の4分の1の大きさなので、実物がどれほど大きなものだったか、驚かされますね。
なお、戦前の色丹島には1000人以上の島民がいたのだそうです。
そのため、島内には9つの神社も存在していたのだそうです。
なお、北方領土全域では、17000人以上もの人々が生活をしていたのだそうです。
これこそが、歴史的な事実ですよね。

こちらは、根室と北方領土とをかつて結んでいた海底ケーブルが展示されています。

戦前の明治時代ににそこまでのインフラが整備されていたというのが驚きですよね。
なお、戦後になって、日本側とソ連側双方から切断されており、現在は海底ケーブルでつながれていません。

北方領土の基本情報が書かれています。
北方領の大きさですが、驚くほどの大きさがあることがわかります。
全ての島々を合わせると、福岡県よりも大きくなるのだそうです。

戦前の択捉島の生活の様子を写した写真が展示されています。
そこには確かに村々が存在し、捕鯨を生業とした島の人々の生活がありました。

いくつか北方領土にちなんだ映画の紹介があります。
この生命の冠という映画は、戦前の国後島で撮影された映画なのだそうです。

近年公開されたジョバンニの島という映画です。
この映画は、平和に暮らしていた色丹島に、日本の敗戦を機に旧ソ連が上陸し、その後どのようになっていくのかということが描かれた映画作品となっています。

こちらは択捉島全図の地図と、奉公袋です。
この奉公袋とは、兵隊が出兵の際に持参する袋であり、なかには住所と名前が書かれた木札をはじめ、携行することが必要なものが一通り入っていたのだそうです。
この袋にはそれらに加えて、本土に残る家族への手紙が入っていたのだそうです。

その位置的に、北海道以上に厳しい寒さがある北方領土。
そこで暮らす人々が使っていた防寒着と、鞄です。
いかがだったでしょうか。
北方領土問題について知ってはいても、かつてそこに暮らしていた人々がどのような生活を送っていたのかについて知る機会というのはなかなかないですよね。
そんな貴重な資料の数々を見ることができるのがこの北方領土資料館なのです。
納沙布岬を目的にこの地域を訪れる人々がほとんどだと思いますが、それと一緒に、この北方領土資料館にも少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか。